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1961年生まれ男性です。ロンドンに10年、香港に3年在住しました。仕事、海外経験、先…

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1961年生まれ男性です。ロンドンに10年、香港に3年在住しました。仕事、海外経験、先人たちにも導かれた本、マンガ、映画、演芸や様々な舞台を、自分なりに吸収してきました。現在進行形の事柄も含め、アウトプットしています。読んでくださる方の日々が、少しでも潤えば幸いです

記事一覧

芸歴四十周年「立川談春独演会2024年」8月24日昼〜三代目桂三木助トリビュート?〜

立川談春の芸歴四十周年記念興行、これで私は5回目の出陣となった。 冒頭、談春は「今日はちゃんとした独演会になる」と話した。演目は「へっつい幽霊」と「ねずみ」、ど…

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22分前

芥川賞にもバリエーション・ルートあり〜松永K三蔵「バリ山行」

文藝春秋9月号は、芥川賞受賞作二作品が掲載されている。前回受賞作はパスして読んでいなかったのだが、今回は読んでみたい作品があった。松永K三蔵の「バリ山行」(講談社…

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1日前
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BBC Prom 42 オーロラ・オーケストラ〜ベートーヴェン交響曲第9番を暗譜で

身内の宣伝と、ユニークなオーケストラの紹介です。指揮者のニコラス・コロンが2005年に創設したオーロラ・オーケストラ(Aurora Orchestra、以下オーロラ)、オケのメンバ…

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1日前

アラン・ドロンの訃報〜「地下室のメロディー」名優二人が仕掛ける“最後の大仕事“

8月18日、フランスの男優アラン・ドロンが亡くなりました、88歳でした。 男前の代名詞、大スターで日本でも人気が高く、CMにも登場、紳士服「ダーバン」で僕には意味不明…

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3日前
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加害者・被害者・罪・罰・赦し、これらは一体なにか?〜平野啓一郎「決壊」

ふとしたきっかけから、平野啓一郎作品を初めて読んだ。それが「ある男」(2018年)で、これが素晴らしい小説だったので、続けて「マチネの終わりに」(2016年)、「本心」…

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4日前
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8月24日土曜日の朝刊〜「毎日新聞」の人生相談、「朝日新聞」の多事奏論

8月24日土曜日の朝、平日に比べるとゆったりと新聞に目を通していた。私のルーティーンは、日刊スポーツ→日本経済新聞→毎日新聞→朝日新聞である。 毎日新聞を眺めてい…

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5日前
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榊原玲奈、祝!!早稲田大学合格〜橋本治「帰って来た桃尻娘」

橋本治の“桃尻娘シリーズ“第二作「その後の仁義なき桃尻娘」については、6月に感想文を書いたのですが、そのタイトルは“橋本治も登場人物も羽ばたき始める“でした。 …

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6日前
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大島弓子をさらに追いかける〜「さようなら女達」所収作品(その2)

(承前) 大島弓子「いたい棘いたくない棘」です。1977年「ミミ」2月号に掲載されました。「夏の終わりのト短調」の前です。 マンガは、こう始まります。 <ぼくは こ…

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7日前
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大島弓子をさらに追いかける〜「さようなら女達」所収作品(その1)

大島弓子のマンガ「夏の終わりのト短調」を読んだら、もう少し読み返したくなりました。 1977年雑誌「LaLa」に掲載された、「夏の終わりの〜」の前後に発表された作品を所…

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8日前
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1976年創刊 白泉社「LaLa」の挑戦〜大島弓子「夏の終わりのト短調」

大島弓子の「綿の国星」がマンガ界に衝撃を与え、若干後追いでハマっていった私。本作を含め、少女マンガ界が変動した1970年代後半、それを牽引した雑誌の一つが白泉社の「…

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9日前
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恐るべし駅ナカ〜新宿駅イイトルミネ「らーめん鴨to葱」

よくないことです。分かってます。 多摩地域という我が家からは遠く離れた場所での飲み会の後、あまり食べなかったので、小腹が‘空いていた。乗り換え駅は新宿、蕎麦でも…

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10日前
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小林信彦が選ぶ“エノケン映画ベスト3“そして〜「決定版 世界の喜劇人」

文藝春秋の八月号(先月発売号)の特集は、「昭和100年の100人 激動と復活編」、昭和天皇から始まる100人を100人の書き手が紹介する。 芸能人が並ぶセクション、“喜劇王…

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11日前
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NFL新人争奪戦の内幕を描くドラマ〜ケヴィン・コスナー主演「ドラフト・デイ」

先日の「レシーバー:風を切って走る」に続いて、アメリカン・フットボールに関する映像作品のご紹介。 近所の立ち呑み屋に行ったら、アーロン・ロジャースのジャージ(グ…

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12日前

Hirukoたちの旅は終わったのか〜多和田葉子「太陽諸島」

多和田葉子の小説「地球にちりばめられて」(2018年 講談社文庫)、「星に仄めかされて」(2020年 講談社文庫)と続いたシリーズは、2022年の「太陽諸島」(講談社)で完結…

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13日前
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おめでとう!大社高校!!〜全国高校野球選手権 93年ぶりのベスト8

夏の甲子園、全国高校野球選手権はベスト8が出揃った。私は、中学から高校にかけては、かなり熱心に観ていたが、今はさほどではない。かつて熱中していた頃の状況を調べて…

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2週間前
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NFLシーズン開幕のための復習〜Netflix「レシーバー:風を切って走る」

オリンピックも終わり、私はラグビー南半球四カ国対抗戦「チャンピオンシップ」に移行しています。初戦で、アルゼンチンが敵地でオールブラックスに史上3度目の勝利。今日…

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2週間前
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芸歴四十周年「立川談春独演会2024年」8月24日昼〜三代目桂三木助トリビュート?〜

芸歴四十周年「立川談春独演会2024年」8月24日昼〜三代目桂三木助トリビュート?〜

立川談春の芸歴四十周年記念興行、これで私は5回目の出陣となった。

冒頭、談春は「今日はちゃんとした独演会になる」と話した。演目は「へっつい幽霊」と「ねずみ」、どちらも三代目桂三木助の十八番とし、そこから崩すことはできないと説明する。落語好きには有名だが、「芝浜」に文学性を持たせ“名作“に仕立て上げたのが三木助である。

談春は、三木助について少し解説した。1956年東横落語会が始まる。プロデュー

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芥川賞にもバリエーション・ルートあり〜松永K三蔵「バリ山行」

芥川賞にもバリエーション・ルートあり〜松永K三蔵「バリ山行」

文藝春秋9月号は、芥川賞受賞作二作品が掲載されている。前回受賞作はパスして読んでいなかったのだが、今回は読んでみたい作品があった。松永K三蔵の「バリ山行」(講談社)である。

受賞会見で、著者が「純文学になじみのない方でも読みやすいものを目指した」と話していたのが印象に残っていたからだ。

タイトルの「バリ山行」、最初はインドネシアのバリで山に行くのかと思った(笑)。読み始めて違うことが分かる。六

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BBC Prom 42 オーロラ・オーケストラ〜ベートーヴェン交響曲第9番を暗譜で

BBC Prom 42 オーロラ・オーケストラ〜ベートーヴェン交響曲第9番を暗譜で

身内の宣伝と、ユニークなオーケストラの紹介です。指揮者のニコラス・コロンが2005年に創設したオーロラ・オーケストラ(Aurora Orchestra、以下オーロラ)、オケのメンバーが暗譜で演奏するというスタイルで活動するのですが、数年前からロンドン夏の音楽祭BBC Promsに出演していますと。

私の次女はスコットランド室内管弦楽団(Scottish Chamber Orchestra)でヴァ

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アラン・ドロンの訃報〜「地下室のメロディー」名優二人が仕掛ける“最後の大仕事“

アラン・ドロンの訃報〜「地下室のメロディー」名優二人が仕掛ける“最後の大仕事“

8月18日、フランスの男優アラン・ドロンが亡くなりました、88歳でした。

男前の代名詞、大スターで日本でも人気が高く、CMにも登場、紳士服「ダーバン」で僕には意味不明のフランス語が流れていました。「笑点」における、三遊亭小遊三のキャッチフレーズが「大月のアラン・ドロン」(笑)

アラン・ドロンにあまり興味が持てませんでした。一つには、映画を見始めた1970年代半ばにおいては、やや“過去の人“にな

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加害者・被害者・罪・罰・赦し、これらは一体なにか?〜平野啓一郎「決壊」

加害者・被害者・罪・罰・赦し、これらは一体なにか?〜平野啓一郎「決壊」

ふとしたきっかけから、平野啓一郎作品を初めて読んだ。それが「ある男」(2018年)で、これが素晴らしい小説だったので、続けて「マチネの終わりに」(2016年)、「本心」(2021年)と読み、記事にした。

意図したわけではないが、これらは現時点で単行本化されている最新の三作品である。

過去の平野作品はどのようなものだったのか。本人の公式サイトを見ると、小説のキャリアを四つに分けている。

芥川賞

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8月24日土曜日の朝刊〜「毎日新聞」の人生相談、「朝日新聞」の多事奏論

8月24日土曜日の朝刊〜「毎日新聞」の人生相談、「朝日新聞」の多事奏論

8月24日土曜日の朝、平日に比べるとゆったりと新聞に目を通していた。私のルーティーンは、日刊スポーツ→日本経済新聞→毎日新聞→朝日新聞である。

毎日新聞を眺めていると、「人生相談」のコーナーの見出し“24歳年上の彼とのこの先“という見出しに引っかかった。野次馬精神旺盛の私としては、見逃せない相談である。

内容は、これほど典型的なものはないといったもの。相談者は28歳の女性、職場の24歳年上の上

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榊原玲奈、祝!!早稲田大学合格〜橋本治「帰って来た桃尻娘」

榊原玲奈、祝!!早稲田大学合格〜橋本治「帰って来た桃尻娘」

橋本治の“桃尻娘シリーズ“第二作「その後の仁義なき桃尻娘」については、6月に感想文を書いたのですが、そのタイトルは“橋本治も登場人物も羽ばたき始める“でした。

シリーズは、“桃尻娘“こと榊原玲奈始めとする群像劇でしたが、実は第二作で榊原玲奈だけは、羽ばたくことができなかったのです。

なぜか、だって彼女は浪人生だったから。木川田源一も浪人生でしたが、彼は大学受験からは超越した場所にいます。「その

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大島弓子をさらに追いかける〜「さようなら女達」所収作品(その2)

大島弓子をさらに追いかける〜「さようなら女達」所収作品(その2)

(承前)

大島弓子「いたい棘いたくない棘」です。1977年「ミミ」2月号に掲載されました。「夏の終わりのト短調」の前です。

マンガは、こう始まります。

<ぼくは こんど15歳だけど 心は もはや老人のよう>

主人公のまもるは、青春につきものの<恋とうわさ話>に背を向けて生活しています。そんなところに転校してきたのが須崎かほる、かつてのガキ大将。かほるが近況を尋ねると、まもるは顔を赤らめます

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大島弓子をさらに追いかける〜「さようなら女達」所収作品(その1)

大島弓子をさらに追いかける〜「さようなら女達」所収作品(その1)

大島弓子のマンガ「夏の終わりのト短調」を読んだら、もう少し読み返したくなりました。

1977年雑誌「LaLa」に掲載された、「夏の終わりの〜」の前後に発表された作品を所収した単行本が「さようなら女達」(白泉社文庫を底本にした電子書籍)です。

表題作は、1976年「別冊少女コミック」に連載された作品です。主人公の館林毱は、マンガ家を目指す高校生。開業医の父、心臓の弱い母を持ち、母の体質を受け継い

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1976年創刊 白泉社「LaLa」の挑戦〜大島弓子「夏の終わりのト短調」

1976年創刊 白泉社「LaLa」の挑戦〜大島弓子「夏の終わりのト短調」

大島弓子の「綿の国星」がマンガ界に衝撃を与え、若干後追いでハマっていった私。本作を含め、少女マンガ界が変動した1970年代後半、それを牽引した雑誌の一つが白泉社の「LaLa」だった。

本誌を私がいつ頃から購読し始めたか、1978年5月号掲載の“綿の国星シリーズ“第1作は単行本で読んだので、おそらく1978年の終わりあたりだろう。高校2年生の終わり、いよいよ受験準備に入る時期である。

「ナタリー

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恐るべし駅ナカ〜新宿駅イイトルミネ「らーめん鴨to葱」

恐るべし駅ナカ〜新宿駅イイトルミネ「らーめん鴨to葱」

よくないことです。分かってます。

多摩地域という我が家からは遠く離れた場所での飲み会の後、あまり食べなかったので、小腹が‘空いていた。乗り換え駅は新宿、蕎麦でもたぐろうかと、駅構内に立ち食いそば屋でもないかと探した。

話はそれるが、かつての新宿駅東口近辺に立ち食いそば屋があり、大阪から上京して初めて“コロッケそば“なるものを食べた。コロッケという不思議なトッピング、真っ黒な色のつゆに驚いたこと

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小林信彦が選ぶ“エノケン映画ベスト3“そして〜「決定版 世界の喜劇人」

小林信彦が選ぶ“エノケン映画ベスト3“そして〜「決定版 世界の喜劇人」

文藝春秋の八月号(先月発売号)の特集は、「昭和100年の100人 激動と復活編」、昭和天皇から始まる100人を100人の書き手が紹介する。

芸能人が並ぶセクション、“喜劇王“榎本健一について小林信彦が書いている。週刊文春の連載も随分前に終了、小林さんの文章に触れる機会が減っている中、貴重な寄稿である。この中でエノケン映画ベスト3を選んでいるので記録しておく。

「エノケンのどんぐり頓兵衛」(19

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NFL新人争奪戦の内幕を描くドラマ〜ケヴィン・コスナー主演「ドラフト・デイ」

NFL新人争奪戦の内幕を描くドラマ〜ケヴィン・コスナー主演「ドラフト・デイ」

先日の「レシーバー:風を切って走る」に続いて、アメリカン・フットボールに関する映像作品のご紹介。

近所の立ち呑み屋に行ったら、アーロン・ロジャースのジャージ(グリーンベイ・パッカーズ時代の)を着ていたおっちゃんがいた。ロジャースは、NFLシーズンMVP4度、スーパーボウル制覇とMVP獲得、現在40歳のベテラン クォーター・バック(以下、QB)である。昨年ニューヨーク・ジェッツに移籍するも、開幕戦

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Hirukoたちの旅は終わったのか〜多和田葉子「太陽諸島」

Hirukoたちの旅は終わったのか〜多和田葉子「太陽諸島」

多和田葉子の小説「地球にちりばめられて」(2018年 講談社文庫)、「星に仄めかされて」(2020年 講談社文庫)と続いたシリーズは、2022年の「太陽諸島」(講談社)で完結した。

「太陽諸島」を読んで考えたのは、「感想をどう表現してよいか分からない」。第1作「地球に〜」は新鮮な世界で軽快に読めた。第2作は、動きがスローになったが、活動はあった。しかし第3作の主たる舞台は船上である。

このシリ

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おめでとう!大社高校!!〜全国高校野球選手権 93年ぶりのベスト8

おめでとう!大社高校!!〜全国高校野球選手権 93年ぶりのベスト8

夏の甲子園、全国高校野球選手権はベスト8が出揃った。私は、中学から高校にかけては、かなり熱心に観ていたが、今はさほどではない。かつて熱中していた頃の状況を調べていたら、「私とよく似た経験をした人が書いているな」と感じる投稿があった。よく読むと、自分が書いた記事だった。かなりボケが進行している。

今回も、なんとなく眺めていたが、昨日(8月17日)の第四試合、大社高校(島根)vs早稲田実業(西東京)

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NFLシーズン開幕のための復習〜Netflix「レシーバー:風を切って走る」

NFLシーズン開幕のための復習〜Netflix「レシーバー:風を切って走る」

オリンピックも終わり、私はラグビー南半球四カ国対抗戦「チャンピオンシップ」に移行しています。初戦で、アルゼンチンが敵地でオールブラックスに史上3度目の勝利。今日(8月17日)の第2戦、ニュージーランドの雪辱なるか。

アメリカン・フットボール、NFLもプレシーズンが始まり、いよいよ開幕まで1ヶ月を切りました。

昨シーズンの復習、気分を盛り上げるためには、Netflixのドキュメンタリー「レシーバ

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