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1961年生まれ男性です。ロンドンに10年、香港に3年在住しました。仕事、海外経験、先…

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1961年生まれ男性です。ロンドンに10年、香港に3年在住しました。仕事、海外経験、先人たちにも導かれた本、マンガ、映画、演芸や様々な舞台を、自分なりに吸収してきました。現在進行形の事柄も含め、アウトプットしています。読んでくださる方の日々が、少しでも潤えば幸いです

記事一覧

令和六年大相撲九月場所総括〜お疲れさま、貴景勝そして木村庄之助

大相撲九月場所は、関脇・大の里の優勝、そして大関昇進当確で千秋楽を終えた。大銀杏を結えない状態で既に2度目の優勝、新入幕からの5場所での大関昇進は、大鵬の6場所を…

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12時間前

「侍タイムスリッパー」は時代劇を継承した〜とにかく観るべし

騙されたと思って、映画館に行ってください。「侍タイムスリッパー」を観るために。 すでに各所で話題になっている映画「侍タイムスリッパー」(2024年 未来映画社)、8…

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1日前
4

三遊亭圓生の置き土産の裏側〜京須偕充著「圓生の録音室」

落語関連の本、散々買って読んできたのでもう買うまいと思っているのだが、つい買ってしまっているものがある。 そうした在庫の中から読んだのが、京須偕充の「圓生の録音…

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2日前
1

大阪人が初めて新世界で呑む〜昭和を残す街にはインバウンド観光客が

大阪に新世界というエリアがあります。通天閣のたもとと言えば分かりやすいでしょうか。大阪出張時に、中高の同級生が集まってくれて、新世界で呑みました。 新世界に拠点…

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3日前
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Netflix「地面師たち」〜ハリソン山中の造形と綾野剛の色気

2017年積水ハウスが、地面師詐欺に遭い、50億円以上を騙し取られた。不動産取引とは恐いものだと思いながら、詳しい中身は見ていなかった。 その事件にインスパイアされた…

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4日前
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NFL知ったかぶり(2024第2週)〜一から出直しか

Week1で知ったかぶりを書いたので、しばらく展開をながめていようと思っていたのだが、Week2はとんでもないことになった。これまでの私の予想、知ったかぶりは全部リセット…

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5日前
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時代の空気がそこに〜ポール・マッカートニー写真展

六本木ヒルズ森タワーの52階、東京スカイビューで「ポール・マッカートニー写真展1963−64〜Eyes of the Storm」が9月25日まで開催されている。近くで所用があったので、本…

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6日前
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「SHOGUN 将軍」シーズン1がエミー賞受賞〜時代劇は“国境を越えた“

真田広之のドラマ「SHOGUN 将軍」、ディズニープラスで配信(DVDも発売中)されているが、ダブリン行きのフライト中に観始め、今朝(9月16日)ジムでウォーキングしながら…

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7日前
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大相撲秋場所は中日を終えた〜大の里と尊富士の快進撃そして伏兵は

大相撲秋場所は中日を終えた。先場所優勝の横綱・照ノ富士は初日から休場、大関から陥落し復帰を目指した貴景勝も途中休場と、残念なニュースがあるものの、連日満員御礼、…

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8日前
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秋はまだ遠いけれど〜小津安二郎監督「秋日和」は食欲もかき立てる

昨年は小津安二郎生誕120年&没後60年、それもあって何本か小津作品を鑑賞。今年も積み残しを見ようと思っていたが、年初に「お早よう」(1959年)、「長屋紳士録」(1947…

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9日前
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“労働市場改革 争点に浮上“〜過去を振り返っての感想

自民党総裁戦まであと2週間となった。9月13日付の日本経済新聞の総裁選記事の小見出しには、“解雇規制など争点“。同様に、同日の朝日新聞の小見出しにも“労働市場改革 …

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10日前
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芥川賞受賞作と萩尾望都「半神」〜朝比奈秋著「サンショウウオの四十九日」

第171回芥川賞受賞作、松永K三蔵の「バリ山行」(講談社)が良かったので、文藝春秋九月号に同時掲載されていた、朝比奈秋の「サンショウウオの四十九日」(新潮社)を読ん…

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11日前
6

“始末人はえぇ米食う“〜米不足を実感したランチタイム

桂枝雀の落語「八五郎坊主」。秋の噺として一度紹介したが、話の冒頭、坊主志願の八五郎が甚兵衛さんのところにやって来る。寺への推薦状を書いてくれと頼むのだが、手紙を…

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12日前
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NFL知ったかぶり(第1週)〜各チームの実際のプレイから得た印象

米アメリカンフットボールNFLが第1週を終えた。色々予想を書いたが、あくまでもメディア等の予想を参考にした机上のもの。Week1のゲーム結果、実際のプレイを垣間見ながら…

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13日前
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遅延等のおかげで機上にて映画〜ドキュメンタリーのような「ONCE ダブリンの街角で」

ダブリンからロンドン経由で帰国。ロンドンでの乗り継ぎ時間は2時間40分と、比較的余裕のある旅程。ロンドンのラウンジで食事をして、ロンドンー東京の機内食はスキップ、…

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2週間前
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私は名画の何を見ていたのか〜iPadで読むのが最適、高階秀爾著「カラー版 名画を観る眼 I」

西洋絵画の鑑賞を続けていると、西洋絵画史に興味をかき立てられる。当たり前だが、個々の画家は独立しているわけではない。過去の巨匠・名画、同時代のアートからさまざま…

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2週間前
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令和六年大相撲九月場所総括〜お疲れさま、貴景勝そして木村庄之助

令和六年大相撲九月場所総括〜お疲れさま、貴景勝そして木村庄之助

大相撲九月場所は、関脇・大の里の優勝、そして大関昇進当確で千秋楽を終えた。大銀杏を結えない状態で既に2度目の優勝、新入幕からの5場所での大関昇進は、大鵬の6場所を抜く新記録である。

私が期待した十両の尊富士は、全勝とまではいかなかったが、13勝2敗で十両優勝。来場所の幕内復帰は、かなり濃厚ではないかと予想する。大の里24歳、尊富士25歳、9月23日付の日刊スポーツは見出しに<大相撲新世代「大尊時

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「侍タイムスリッパー」は時代劇を継承した〜とにかく観るべし

「侍タイムスリッパー」は時代劇を継承した〜とにかく観るべし

騙されたと思って、映画館に行ってください。「侍タイムスリッパー」を観るために。

すでに各所で話題になっている映画「侍タイムスリッパー」(2024年 未来映画社)、8月にインディーズ映画として池袋の単館で上映され、ジワジワと評判が広がり、今月から全国のシネコンが取り扱うようになりました。集客が予想できない中、パンフレットを作ることもできず、現在、急遽製作中とのことです。

これは見逃せない、私が観

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三遊亭圓生の置き土産の裏側〜京須偕充著「圓生の録音室」

三遊亭圓生の置き土産の裏側〜京須偕充著「圓生の録音室」

落語関連の本、散々買って読んできたのでもう買うまいと思っているのだが、つい買ってしまっているものがある。

そうした在庫の中から読んだのが、京須偕充の「圓生の録音室」(講談社文芸文庫)。京須氏は、ソニー・ミュージックのプロデューサーとして多くの作品を世に出しているが、中でも落語関連のものが有名である。“圓生“とは、もちろん昭和の名人・六代目三遊亭圓生である。

私が落語をCDで聞くきっかけになった

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大阪人が初めて新世界で呑む〜昭和を残す街にはインバウンド観光客が

大阪人が初めて新世界で呑む〜昭和を残す街にはインバウンド観光客が

大阪に新世界というエリアがあります。通天閣のたもとと言えば分かりやすいでしょうか。大阪出張時に、中高の同級生が集まってくれて、新世界で呑みました。

新世界に拠点を置き、今回の幹事役を務めてくれた友人によると、このエリアは明治時代“万博“(内国勧業博覧会)が開催され、“大林タワー“が建設されました。その跡地の東側が動物園を含む天王寺公園、西側が新世界となり、そのシンボルとして通天閣が建設され、ルナ

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Netflix「地面師たち」〜ハリソン山中の造形と綾野剛の色気

Netflix「地面師たち」〜ハリソン山中の造形と綾野剛の色気

2017年積水ハウスが、地面師詐欺に遭い、50億円以上を騙し取られた。不動産取引とは恐いものだと思いながら、詳しい中身は見ていなかった。

その事件にインスパイアされた小説が、新庄耕の「地面師たち」(集英社文庫)。本作を原作に制作されたドラマが、Netflixの「地面師たち」。

全7話、楽しませてもらった。

配役が良い。地面師グループの元締め、ハリソン山中を豊川悦司が演じる。この造形は私の好み

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NFL知ったかぶり(2024第2週)〜一から出直しか

NFL知ったかぶり(2024第2週)〜一から出直しか

Week1で知ったかぶりを書いたので、しばらく展開をながめていようと思っていたのだが、Week2はとんでもないことになった。これまでの私の予想、知ったかぶりは全部リセットしようかとも思った。

TNFは、ビルズが31−10でドルフィンズに勝利。QBタゴヴァイロアが脳震盪で退場(3度目。数試合は欠場)した後は、ドルフィンズは試合を捨てた感じ。ビルズは地力の差を見せつけ、ここまでは予想された展開だった

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時代の空気がそこに〜ポール・マッカートニー写真展

時代の空気がそこに〜ポール・マッカートニー写真展

六本木ヒルズ森タワーの52階、東京スカイビューで「ポール・マッカートニー写真展1963−64〜Eyes of the Storm」が9月25日まで開催されている。近くで所用があったので、本展を観に行った。

ロンドンのナショナル・ポートレイト・ギャラリーの改装オープンを記念しての展覧会が、日本に巡回してきたもの。

ビートルズが “ラブ・ミー・ドゥー“でレコード・デビューしたのが1962年。翌63

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「SHOGUN 将軍」シーズン1がエミー賞受賞〜時代劇は“国境を越えた“

「SHOGUN 将軍」シーズン1がエミー賞受賞〜時代劇は“国境を越えた“

真田広之のドラマ「SHOGUN 将軍」、ディズニープラスで配信(DVDも発売中)されているが、ダブリン行きのフライト中に観始め、今朝(9月16日)ジムでウォーキングしながら最終の第10話をフィニッシュした。

タイミング良く、エミー賞の発表があり、本作は作品賞、真田広之の主演男優賞など、史上最高の18部門で賞を獲得した。

1600年、舞台は太閤殿下が逝去した後の日本、若き後継を補佐する形で、石堂

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大相撲秋場所は中日を終えた〜大の里と尊富士の快進撃そして伏兵は

大相撲秋場所は中日を終えた〜大の里と尊富士の快進撃そして伏兵は

大相撲秋場所は中日を終えた。先場所優勝の横綱・照ノ富士は初日から休場、大関から陥落し復帰を目指した貴景勝も途中休場と、残念なニュースがあるものの、連日満員御礼、土俵上は熱戦が続いている。

まず嬉しいのは十両の尊富士の快進撃。ここまで8連勝で勝ち越しを決めた。今年の三月場所、負傷をおして千秋楽の土俵に上がり、見事110年ぶりの新入幕での優勝を飾った。その背後には同じ伊勢ヶ濱部屋の照ノ富士の後押しが

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秋はまだ遠いけれど〜小津安二郎監督「秋日和」は食欲もかき立てる

秋はまだ遠いけれど〜小津安二郎監督「秋日和」は食欲もかき立てる

昨年は小津安二郎生誕120年&没後60年、それもあって何本か小津作品を鑑賞。今年も積み残しを見ようと思っていたが、年初に「お早よう」(1959年)、「長屋紳士録」(1947年)と観たきり、ご無沙汰していた。

ロンドン行きの飛行機な中で観る映画を考えた時、小津作品のことを思い出した。そこで選んだのが「秋日和」(U-NEXTで配信)、「お早よう」の翌年1960年の映画である。9月に入っても猛暑が続い

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“労働市場改革 争点に浮上“〜過去を振り返っての感想

“労働市場改革 争点に浮上“〜過去を振り返っての感想

自民党総裁戦まであと2週間となった。9月13日付の日本経済新聞の総裁選記事の小見出しには、“解雇規制など争点“。同様に、同日の朝日新聞の小見出しにも“労働市場改革 争点に浮上“とある。

私が解雇規制の緩和がテーマになると知ったのは、小泉進次郎の発言である。これを聞いた時に、やはりこの人はセンスが良いと思った。今後の日本経済を考える上で、極めて重要、かつシンプルなテーマである。一方でハンドリングを

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芥川賞受賞作と萩尾望都「半神」〜朝比奈秋著「サンショウウオの四十九日」

芥川賞受賞作と萩尾望都「半神」〜朝比奈秋著「サンショウウオの四十九日」

第171回芥川賞受賞作、松永K三蔵の「バリ山行」(講談社)が良かったので、文藝春秋九月号に同時掲載されていた、朝比奈秋の「サンショウウオの四十九日」(新潮社)を読んだ。

なかなかに難しい小説である。決して読みづらい言葉が続くわけではないのだが。

杏と瞬は、“結合双生児“である。肉体を共通としているが、“意識“はそれぞれ別にある。一般的にイメージされる、頭部が二つある結合双生児ではなく、それも共

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“始末人はえぇ米食う“〜米不足を実感したランチタイム

“始末人はえぇ米食う“〜米不足を実感したランチタイム

桂枝雀の落語「八五郎坊主」。秋の噺として一度紹介したが、話の冒頭、坊主志願の八五郎が甚兵衛さんのところにやって来る。寺への推薦状を書いてくれと頼むのだが、手紙を書いた甚兵衛さん、八五郎に台所から飯粒を取ってきてくれと指示する。手紙に封をするための糊の代わりである。

台所に入った八五郎、炊き立てのご飯を前にして、思わず盗み食い。そこで、「“始末人はえぇ米食う“というけれど、ほんまやな」とつぶやく。

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NFL知ったかぶり(第1週)〜各チームの実際のプレイから得た印象

NFL知ったかぶり(第1週)〜各チームの実際のプレイから得た印象

米アメリカンフットボールNFLが第1週を終えた。色々予想を書いたが、あくまでもメディア等の予想を参考にした机上のもの。Week1のゲーム結果、実際のプレイを垣間見ながらの印象を書く。

AFCの予想を再掲すると
1番手グループ:チーフス、レイヴンズ
2番手グループ:ベンガルズ、テキサンズ、ビルズ、ドルフィンズ
“穴馬“グループ:チャージャーズ、ジャガーズ、コルツ、ブラウンズ、スティーラーズ、ジェッ

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遅延等のおかげで機上にて映画〜ドキュメンタリーのような「ONCE ダブリンの街角で」

遅延等のおかげで機上にて映画〜ドキュメンタリーのような「ONCE ダブリンの街角で」

ダブリンからロンドン経由で帰国。ロンドンでの乗り継ぎ時間は2時間40分と、比較的余裕のある旅程。ロンドンのラウンジで食事をして、ロンドンー東京の機内食はスキップ、即座に寝る体制に入ろうと目論んでいた。

ダブリンからのフライトが30分ほど遅延、それでも余裕と思っていたが、ロンドンに着陸した飛行機にボーディング・ブリッジは接続されず、タラップで降機。バスに乗せられ、ターミナル5まで移送されたが結構な

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私は名画の何を見ていたのか〜iPadで読むのが最適、高階秀爾著「カラー版 名画を観る眼 I」

私は名画の何を見ていたのか〜iPadで読むのが最適、高階秀爾著「カラー版 名画を観る眼 I」

西洋絵画の鑑賞を続けていると、西洋絵画史に興味をかき立てられる。当たり前だが、個々の画家は独立しているわけではない。過去の巨匠・名画、同時代のアートからさまざまな影響を受けながら作品が生み出される。

この世界の書物で、燦然と輝くのはゴンブリッチの「美術の物語」(河出書房新社)。私も読んだが、大書だけに気軽に人に勧めるという代物ではない。

そこで私が勧めていたのは、高階秀爾の「近代絵画史」(上・

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