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“日々、真剣に雑談を” がモットー。リトルプレス「ユカリロ」連載『秋田のことば収集帖』https://yukariro.jimdofree.com/ 好きなものは散歩と蛙とガラモン。人混みは苦手です。秋田在住。

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百合子、貴女ほんとにそれでいいの?──大林宣彦『さびしんぼう』

ふと、大林宣彦監督『さびしんぼう』を思い出して、やけに胸が苦しくなった時があって。 尾道で悪友たちと青春を謳歌する高2のヒロキ(尾美としのり)は、近くの女子校に通う百合子(富田靖子)に恋をする。しかし百合子は、いつもヒロキが見つめている、爽やかでピアノが好きな女子高生という顔の反対側で、ヒロキの知らない苦しい境遇で生活していた。 「恥ずかしいから…」と言いかけて家までは絶対に近づかせない百合子。そして、もうさよならしてほしいと言う百合子。 ヒロキは恋を経験して大人になって

    • 『インターステラー』を今ごろ見る。(AIと恐怖の話再び)

      たった今、クリストファー・ノーラン『インターステラー』を見たのですが (やっと今ごろかよ) 、はぁ~面白かった。こんなヒューマンなラストだったんですね。 以前自分で書いた、AIと恐怖の話がやっぱり出て、 AIに心はあるのでしょうか 考えてみるとそりゃそうですね。 「愛か恐怖か」とは、文明─迷える子羊である私たち、にとって、命題なのではないでしょうか。 「ロボットには恐怖がないからダメだ!」とかって言ってますね。それからロボットTars (あのフォルムとても興味深い!) を

      • フェリーニ『道』と、寅さんの口笛

        さっき、突如、やっと判明……。 親がかつて「寅さん全作制覇する!」と言って休みの日にビデオ借りてきて見ていて、私もつられて全作見ていて、そんなわけでいろんな有名な映画より先に、寅さんが先入観(?)としてある私なのだけど、 後にフェリーニ『道』をTVか何かで見た時に、綱渡りのイル・マットが、 「♪ジェルソミーナ、ジェルソミーナ…」 と歌うのを聞いた時に、 あれ、これ寅さんも口笛吹いてるよな… と。 で、確かめようと、寅さんを何作か見始めてみたけど、たった1つの口笛

        • “永遠” を見誤った話

          いつだったか、 仕事で豪華客船に乗ってきたという友人に、その土産話を聞いたことがありました。 南米へと向かう航海の真ん中、そこは見渡す限りの海。何処にも陸は見えない。 360度、ぐるりと水平線があった。 水平線を見ていると、ふと “永遠” を思った。 行けども行けども辿り着かない水平線。いつまでたっても遙か彼方の水平線。 永遠というものを、もしも視覚化できたなら、こういうものだろう。 ああ俺は今、永遠を見ている。 遙かな、切ない気持ちになった。 やがて船は、 ア

        百合子、貴女ほんとにそれでいいの?──大林宣彦『さびしんぼう』

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          「傷つく事は悪い事じゃない。」──絶望と色について

          絶望した事はありますか? 私自身も以前、ある事で大変に悔しく、腹立たしく、悲しい思いをした事があります。 詳細は置いておくとして、 その時は、なんで私が?というショックと、人の信頼なんてこんなものか、という落胆で、何をしていてもその事が頭から離れず、何かを楽しむなんて全くできなくなりました。 経緯を知る友人達に、君は悪くない、ひどいのはあっちのほうだ、と慰められてもショックは癒えず、毎日ひとりでに涙が出てくるのでした。 そんな状態で、数カ月たった頃です。 仕事先からの

          「傷つく事は悪い事じゃない。」──絶望と色について

          深夜のトランジスタラジオ

          子どもの頃。 夜中、電波の空いた時間。 枕元に置いてあるトランジスタラジオのアンテナを、最大限に伸ばす。 このラジオは、生まれた時から家にあった古いもので、当時でももうトランジスタなんて使ってなかったから、勝手に自分のものにしていた。 ここからが楽しい時間。 ベッドに寝ころんで、 ゆっくりとダイヤルを回していく。 昼間にはキャッチしない、隣国の放送が雑音に混じって聞こえてくる。 例えば唐突に、中国語の歌が (内容は全く分からない) 。 またクリスマスには、ロシア語圏の

          深夜のトランジスタラジオ

          近所を福の神が歩いていた。

          正月二日。 用事の合間、近所に散歩に出かけた。ここは手形山の縁。少し行けば森林の空気を吸える良いところだが、昨年の記録的な水害と記録的な猛暑に続いて、秋には記録的な熊の出没。山方面を散策する気分にならなかったが、今は真冬だ。熊は冬眠した、、、はずだ。 坂道をウネウネと登ると、地元の氏子さんしか行かないような小さな神社にさしかかる。若宮八幡宮という。その境内の脇に、爺さんが独り座っているのが見えた。おや、あの爺さんは、、、 “あの爺さまん ではないか! “あの爺さん” とは

          近所を福の神が歩いていた。

          おかきを食うおじちゃんを見て出した結論──人生とは○○。

          コンビニに入った。 イヤリングをジーンズのポケットに突っ込んだまま家を出てきてしまったのでつけようと思い、イートインスペースで鞄を置いた。 ひとりの男性が、今買ってきたと思われるスナック菓子の袋から、しょうゆ味のあられ的なものをひとつ、またひとつ、つまんでいた。 この、仮に男Aは、年齢は60代だろうか、例えるなら、どこに行くにもトレパンに煙草、みたいな、私の住む田舎あるあるのおじちゃんである。 男Aのすぐ近くにコーヒーマシンがあり、30代くらいの男Bがいそいそとコーヒーを

          おかきを食うおじちゃんを見て出した結論──人生とは○○。

          友情か恋か、決めたがるのは何故だろう─大島渚『戦場のメリークリスマス』

          クリスマス、NHK-BSでお昼の映画の時間帯に大島渚『戦場のメリークリスマス』放送してましたね。 追悼で放送しないのかな、と思っていたけどまさか、クリスマス当日にやるとは。 ハラ、ヨノイ、セリアズ、ローレンスのそれぞれから漏れてくる「想い」は、濃厚な友情なのか恋なのか。 その疑問を解決しようと、頭から離れずに最後まで見てしまうのだけど、 今日見ていて、おや?と自分で思った。 友情なのか恋情なのか。 どちらなのかを決定しなければならない理由は何だろう。 ローレンスが「

          友情か恋か、決めたがるのは何故だろう─大島渚『戦場のメリークリスマス』

          誰も彼もが本当は長い長い背景を背負っている─小津安二郎『東京物語』

          小津安二郎『東京物語』と言えば、上京した両親を子ども達が邪険にして、唯一、原節子だけが優しい。 だいたいそういうことだけど。 中でも印象的にデリカシーに欠けるように見える長女の志げ(杉村春子)。昨日たまたまTVでやっていて、何度も見たし悲しい映画だ、と思いつつ、また見てしまった。もうだいぶ話は進んでいて、その志げが、久しぶりに酒に酔った父(笠智衆)を家に入れるシーンが始まった。 私はこのシーンがとても悲しくて、でもとても好きだ。なぜ好きなのか分からなかったが、昨日は、よく分

          誰も彼もが本当は長い長い背景を背負っている─小津安二郎『東京物語』

          AIに心はあるのでしょうか (2001年宇宙の旅、エイリアン、そしてオズの魔法使い…映画の話です)

          人工知能 AIに心はあるのでしょうか。 少し前に、GoogleのLaMDAが意識・感情を持ったかもしれない、と話題になりましたが、実際のところは、いったい誰が、何によってそれを証明できるのでしょう。意識は心とも言えるでしょうか。そもそも心とは何かを、何によって証明すればいいのでしょうか。 映画 (原作小説もそうですが)『2001年宇宙の旅』では、宇宙船に搭載されている人工知能HAL9000が、自分が破壊されるかもしれないと知り、ストレスを感じるシーンがあります。人工知能が

          AIに心はあるのでしょうか (2001年宇宙の旅、エイリアン、そしてオズの魔法使い…映画の話です)

          (続)リファレンスの意味。

          (過去記事『リファレンスの意味。』の続き、といえば続きです。) 私たちは他人を完全に理解することはできません。 理解したように感じても、それは自分の理解の範疇に相手を当てはめているだけです。 自分の理解の範疇とは、自分の過去の経験と記憶によってできています。 たとえ兄弟姉妹や恋人同士でも、経験と記憶が全く同じ人などいません。 ですから自分の理解したいように相手を理解しているだけです。 どこまでいっても、そうです。 しかし自分と他人の中に、 “同じもの” を発見する

          (続)リファレンスの意味。

          ペトロの真実、そして私の真実とあなたの真実

          たまたまなのですが、同年代の牧師による、ある日の日曜礼拝を動画で見ました(本当に便利な世の中ですね)。 その日はペトロがイエスに出会った場面を題材にしていて、牧師は、牧師とは思えないような(実際、彼は牧師とは思えないようなやんちゃな経歴をお持ちなのです)フランクで小気味よい語り口で、聞く人を惹きつけていました。 ガリヤラの漁師シモン・ペトロの兄弟はその時、極貧の淵で喘いでいました。いくら水面に網を投げ入れても魚は一匹も獲れないのでした。 そこへ、イエスが通りがかり、もう一

          ペトロの真実、そして私の真実とあなたの真実

          「…もしもそんな音楽があるとしたら、それがバッハなんじゃないかな。」

          あるライブが終演して、まったりしていたら、ミュージシャンの一人が「今度バッハやるから聞きに来て」とフライヤーをお客さん達に見せていた。まだ全然弾けてない、と言いながら 笑。そんなに難曲ですかと聞くと、ほんとに難曲だ、と 笑。 バッハに挑戦したいミュージシャンは多いと思うし、私個人的には、和音をとても大切にする(…と私には感じられた)その人がバッハに行き着くのは当然のような気がしていて、苦戦だと言うのが意外だったのでつい、「でもこの前ナベサダもバッハやってたじゃないですか。」

          「…もしもそんな音楽があるとしたら、それがバッハなんじゃないかな。」

          歌手Oさんと結婚したH氏の話

          ある時、両親と歩いているところに、 「あれ久しぶり~」 と声をかけられました。 見ると、その人は両親と同年代と思われる女性、、、歌手のOさんでした。 私は全く面識がないのですが、なぜか両親と顔見知りらしく、フランクに世間話を少しして、買い物に行くところだから、と去っていきました。 どういうわけであの人と知り合いなのか親に訊ねると、それはこういうわけなのでした。 両親がまだ若い頃、近所にH氏という男性が住んでいて、同年代ということもあって親しくしていたそうです。 H氏

          歌手Oさんと結婚したH氏の話

          舞踏家の身体と五輪塔─安定と不安定。

          先日、五輪塔とは何かをお聞きする機会がありました。お寺や墓所で見かける、あの石塔のことです。 五輪塔は、パゴダ、ストゥーパ(仏塔)が起源ですからインド由来の概念ですが、面白いことに、△や○や□を積み上げたあの独特の姿は、日本独自のものらしい、というのです。 5つの立体物はそれぞれが火、水、地…というように五元素の象徴であり、五輪塔は、その完全なる安定状態を表しているそうです。 さらに… この5つのエレメントは、単に物質的な意味合いだけを言っているのではなく、我々の意識

          舞踏家の身体と五輪塔─安定と不安定。