誰も彼もが本当は長い長い背景を背負っている─小津安二郎『東京物語』
小津安二郎『東京物語』と言えば、上京した両親を子ども達が邪険にして、唯一、原節子だけが優しい。
だいたいそういうことだけど。
中でも印象的にデリカシーに欠けるように見える長女の志げ(杉村春子)。昨日たまたまTVでやっていて、何度も見たし悲しい映画だ、と思いつつ、また見てしまった。もうだいぶ話は進んでいて、その志げが、久しぶりに酒に酔った父(笠智衆)を家に入れるシーンが始まった。
私はこのシーンがとても悲しくて、でもとても好きだ。なぜ好きなのか分からなかったが、昨日は、よく分