自身が不老不死だと勘違いしているかのような人がいる。ただ馬齢を重ねることが目的かのような人がいる。人はわけのわからぬまま産まれて、瞬く間に死ぬ。いつ死ぬのかは分からない。常にその事実に真摯に向き合い、刹那に三昧しなければ、私の生は砂のように掌からこぼれゆくだろう。
砂山の 砂に腹這い 初恋の いたみを遠く おもひ出づる日 石川啄木「一握の砂」より
叱られてわっと泣き出す子供心 その心にもなりてみたきかな 石川啄木「一握の砂」より
気の変わる 人に仕へて つくづくと わが世がいやに なりにけるかな 石川啄木「一握の砂」より
たはむれに 母を背負ひて そのあまり 軽きに泣きて 三歩歩まず 石川啄木「一握の砂」より