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生きづらすぎて面白すぎる!石川啄木の短歌を令和の文体にREMIXした!
はじめに
こんにちは!二日酔い明け文学と申します。
この度は、明治時代を代表する短歌の天才にしてダメ男の典型例・石川啄木の作品をREMIXした記事においで下さりありがとうございます。
以前、別のアカウントで同じ記事を発表したのですが一度削除。文学語り専門のアカウント「二日酔い明け文学」でもう一度アップします。また読んでねー。
その二次創作REMIXの一例を以下に記します。
まずは『一握の砂』から。
東海の小島の磯の白砂に
われ泣きぬれて
蟹とたはむる
↓
in the Japanのon the beachで
俺は泣く
メソメソしながらカニを突いて
はたらけど
はたらけど猶わが生活(くらし)楽にならざり
ぢつと手を見る
↓
気分では
6連勤後の7連勤それでも貧乏
なんだよ、この手
不来方のお城の草に寝ころびて
空に吸はれし
十五の心
↓
城跡の草に寝転ぶ
青空に吸いこまれてく
fifteen heart(フィフティーン・ハート)
そして『悲しき玩具』からも3首挙げます。
呼吸すれば、
胸の中にて鳴る音あり。
凩よりもさびしきその音!
↓
息をする
胸の奥底で響いてる
木枯らしよりも寂しいメロディ
遊びに出て子供かへらず、
取り出して
走らせて見る玩具(おもちや)の機関車。
↓
出たっきり子供が帰って来ないけど……
そんなら
機関車トーマスで遊ぼ☆
誰か我を
思ふ存分叱りつくる人あれと思ふ。
何の心ぞ。
↓
俺のこと
とことん叱ってくれる人、急募。
(案外、Mかもしれない)
元の歌と改変後では大分、印象が違いますよね?
しかし当然、前者のイメージのみを残して、清貧の天才として世に名を遺した啄木。それでも最近は、研究とメディアの発達のおかげで化けの皮が剥がれつつあります。
啄木はダメ人間でした。中学でカンニングがバレて処分される前に自主退学。親友に借りたお金で遊郭に行き、放蕩三昧。
火事になったらはしゃいで踊った。母親にお饅頭を持ってこさせ、直ぐに要らなくなり受け取るなり目の前で叩きつけた……。
……もう止めましょう。それくらいファンキーでルーズでクズ人間の短歌を、令和に生きる我々に読みやすくしよう。それがこの記事の趣旨です。
正直、枡野浩一さんの『石川くん』を始めとして、石川啄木の現代語訳は行われています。万葉集の令和風の翻訳本含めて、既に作品はあります。新しい試みではありません。
そもそも、啄木の短歌は原文でも読みやすいです。近代を代表する国民的歌人なので。
ならば、おこがましくも筆者が啄木の駄目さ加減を強調し二次創作してみたらどうか。かなりふざけ倒して、啄木の人間臭さを出してみました。
因みに、昭和のベストセラー歌集が俵万智さんの『サラダ記念日』なら、明治の国民的歌集は啄木の『一握の砂』という本なんです。
と、いうことで『一握の砂』ともう一つの歌集『悲しき玩具』から訳せそうな歌を選び二次創作REMIX翻訳しました!
しかも、REMIX版もきちんと五七五七七の七五調です。
いつかは、この記事で訳しきれなかった啄木の歌や、他の近代歌人の作品、そして和歌や百人一首も自己流で訳したい!
そしてそれを本にしたい!
そんな気持ちです!よろしくお願いします。
『一握の砂』REMIX
まずは第一歌集の『一握の砂』から。
東海の小島の磯の白砂に
われ泣きぬれて
蟹とたはむる
↓
in the Japanのon the beachで
俺は泣く
メソメソしながらカニを突いて
いのちなき砂のかなしさよ
さらさらと
握れば指のあひだより落つ
↓
命がない砂って悲しい
サラサラと
指の間をこぼれていくよ
しつとりと
なみだを吸へる砂の玉
なみだは重きものにしあるかな
↓
しっとりと
僕の涙を吸った砂
重さは悲しい気持ちの証
たはむれに母を背負ひて
そのあまり軽きに泣きて
三歩あゆまず
↓
冗談でオカンをおぶって
あまりにも軽くて泣ける
歩けなくなる
実務には役に立たざるうた人と
我を見る人に
金借りにけり
↓
社会的戦力外の短歌好き
そう思われつつ
「金貸してください」
我に似し友の二人よ
一人は死に
一人は牢を出でて今病む
↓
俺に似た友達2人
片方は死んでて
片方、出所後メンヘラ
はたらけど
はたらけど猶わが生活(くらし)楽にならざり
ぢつと手を見る
↓
気分では
6連勤後の7連勤それでも貧乏
なんだよ、この手
友がみなわれよりえらく見ゆる日よ
花を買ひ来て
妻としたしむ
↓
誰も彼も立派に見えて仕方ない
花でも買って
妻とイチャつこう
何かひとつ不思議を示し
人みなのおどろくひまに
消えむと思ふ
↓
なんでもいい「あっ」と言わせて
驚いたみんなを尻目に
消えちゃいたいな
くだらない小説を書きてよろこべる
男憐れなり
初秋の風
↓
どうでもいい小説書いて自己満の
哀れな俺と
初秋の風
わが恋を
はじめて友にうち明けし夜のことなど
思ひ出づる日
↓
恋バナを
親友に話した夜のこと
思い出しちゃう甘酸っぱい日
不来方のお城の草に寝ころびて
空に吸はれし
十五の心
↓
城跡の草に寝転ぶ
青空に吸いこまれてく
fifteen heart(フィフティーン・ハート)
そのかみの学校一のなまけ者
今は真面目に
はたらきて居り
↓
あの頃は学校一の落ちこぼれ
そんなあいつも
正社員だと
かなしきは
かの白玉のごとくなる腕に残せし
キスの痕かな
↓
寂しいな
君の綺麗な色白の腕に残した
僕のキスの痕
つくづくと手をながめつつ
おもひ出でぬ
キスが上手の女なりしが
↓
じっと手を眺めて
思い出している
貴女の上手なキスと貴女を
世わたりの拙(つたな)きことを
ひそかにも
誇りとしたる我にやはあらむ
↓
生き方が下手な自分が嫌いじゃない
嫌いじゃない
……と思ってたんだよ
かの年のかの新聞の
初雪の記事を書きしは
我なりしかな
↓
あの年のあの新聞の
初雪の記事を書いたの
〝俺〟なんですよ
あらそひて
いたく憎みて別れたる
友をなつかしく思ふ日も来ぬ
↓
喧嘩して
すげぇムカついてそのままの
元友達すら今じゃ懐かしい
わが妻に着物縫はせし友ありし
冬早く来る
植民地かな
↓
【俺の嫁、友達に服作らされる】
やたらと寒い
植民地かよ
寂寞を敵とし友とし
雪のなかに
長き一生を送る人もあり
↓
ぼっちって敵or味方?
寒い土地で
一生過ごす人もいるしなぁ
その膝に枕しつつも
我がこころ
思ひしはみな我のことなり
↓
ひざまくらに甘えてるけど
全部オレ
考えてること自分のことだけ
わが室(へや)に女泣きしを
小説のなかの事かと
おもひ出づる日
↓
俺の部屋で彼女が泣いてる
小説の世界みたいだと
他人(ひと)ごと精神(スピリッツ)
かの時に言ひそびれたる
大切の言葉は今も
胸に残れど
↓
あの時に言い出せなかった
大切な言葉は今も
胸につかえてる
馬鈴薯の花咲く頃と
なれりけり
君もこの花好きたまふらむ
↓
ジャガイモの花が咲いてる
季節だね
君もこの花、好きだったよね
山の子の
山を思うがごとくにも
かなしき時は君を思えり
↓
山育ちが
山が恋しくなるように
悲しい時は君が恋しい
君に似し姿を街に見る時の
こころ躍り(おどり)を
あはれと思へ
↓
君に似た女性を街で見かけると
はしゃいじゃうんだ
可哀想だろ?
長き文
三年(みとせ)のうちに三度(みたび)来ぬ
我の書きしは四度(よたび)にかあらむ
↓
長いLINE
3年間で3度来た
俺は4回送ったと思う
古文書のなかに見いでし
よごれたる
吸取紙をなつかしむかな
↓
古本の中から見つけた
ボロボロの
栞がなんか懐かしいのよ
窓硝子
塵と雨とに曇くもりたる窓硝子にも
かなしみはあり
↓
塵と雨で
窓のガラスが曇ってる
窓ガラスだって哀しくなるよね
新しきサラドの皿の
酢のかをり
こころに沁しみてかなしき夕
↓
新鮮なサラダに漂う
ドレシッングの
匂いが漂う哀しい夕方
よく怒る人にてありしわが父の
日ごろ怒らず
怒れと思ふ
↓
何かあればキレてた親父が
最近はまぁるくなった
何だよ、怒れよ
ゆゑもなく
海が見たくて海に来ぬ
こころ傷みてたへがたき日に
↓
意味なんて無いよ
見たくて海に来た
辛くて心が壊れた日のこと
ゆゑもなく憎みし友と
いつしかに親しくなりて
秋の暮れゆく
↓
意味もなく嫌いなヤツと
気づいたら仲良くなって
秋が暮れるよ
『悲しき玩具』REMIX
次は第二歌集にして遺歌集(最後の本)である『悲しき玩具』です。
呼吸すれば、
胸の中にて鳴る音あり。
凩よりもさびしきその音!
↓
息をする
胸の奥底で響いてる
木枯らしよりも寂しいメロディ
眼閉づれど、
心にうかぶ何もなし。
さびしくも、また、眼をあけるかな。
↓
眼を閉じてみたけど
なんにも浮かばない
寂しいけれど、瞳を開く
途中にてふと気が変り、
つとめ先を休みて、今日も、
河岸をさまよへり。
↓
気が変わり
仕事をドタキャン、今日もまた
川辺の岸をウロウロしてます☆
咽喉がかわき、
まだ起きてゐる果物屋を探しに行きぬ。
秋の夜ふけに。
↓
喉乾くぅ〜!
24時間コンビニへジュースを買いに
秋の深夜だ
遊びに出て子供かへらず、
取り出して
走らせて見る玩具(おもちや)の機関車。
↓
出たっきり子供が帰って来ないけど……
そんなら
機関車トーマスで遊ぼ☆
本を買ひたし、本を買ひたしと、
あてつけのつもりではなけれど、
妻に言ひてみる。
↓
「本が欲しい」「買いたいなぁ」と
当てつけにならないギリで
妻に攻めてる
誰か我を
思ふ存分叱りつくる人あれと思ふ。
何の心ぞ。
↓
俺のこと
とことん叱ってくれる人、急募。
(案外、Mかもしれない)
何がなく
初恋人のおくつきに詣づるごとし。
郊外に来ぬ。
↓
これはまるで
初恋の人の墓参り
郊外に出ると何となく思う
何となく、
案外に多き気もせらる、
自分と同じこと思ふ人。
↓
同じこと思ってる人
意外にも沢山いるって
何となく思う
古新聞!
おやここにおれの歌の事を賞めて書いてあり、
二三行なれど。
↓
見ろよこれ!
古新聞に俺の歌が絶賛されてる!
(2、3行か……)
この四五年、
空を仰ぐといふことが一度もなかりき。
かうもなるものか?
↓
4、5年も
空を見上げてないなんて
こういうことか?生きるのなんて
そんならば生命が欲しくないのかと、
医者に言はれて、
だまりし心!
↓
「おい!アンタ、死にたいのか」と
言われてる、お医者に
(流石に何も言えない……)
いつも子を
うるさきものに思ひゐし間に、
その子、五歳になれり。
↓
「うるさいなぁ」「うるさいなぁ」と
思ってた
そんな我が子も、もう5歳だよ
「労働者」「革命」などといふ言葉を
聞きおぼえたる
五歳の子かな。
↓
「社畜」とか「ストライキ」とか
知っている
そんな我が子は5歳児なんすよ
最後に
いかがでしたか?楽しんで貰えたかな?
何だか……感情のジェットコースターみたいだなと思いました笑。
令和の文体にする時に「現代にもいそうな甲斐性のないダメ男」をイメージしました。結構、こういう人いそうですね。
筆者も決して立派で余裕ある青年とは程遠いまま啄木の享年26歳をとっくに過ぎてしまいました。それでも段々「啄木、頑張れよ!」とお尻を叩いてやりたくなりました。
啄木って、金田一京助からお金も借りていたし世話になった人から仕事も回してもらっていたのに。あんまり感謝していなさそう。
訳しているこっちの人格が疑われるような短歌の数々笑。正直で純粋な人は罪ですね!
現代人の生きづらさを予見したのか、はたまたこんな人いつの時代にもいるのか。
偉大な元ネタを自己流に訳すことは、短歌の勉強になりました!
またいつかお会いしましょう(出来れば書籍化という形で!)
読んで頂きありがとうございました!
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