今村夏子

こちらあみ子  今村夏子  ちくま文庫

こちらあみ子  今村夏子  ちくま文庫

 息子に次の本を貸せと言うと、「これはどうだろうか」と書棚から取り出してきたのが「こちらあみ子」。  ここ3冊、学者先生の本が続いたから、「一般人」の本であることにほっとする。「この人、別の本で芥川賞を取ってるし、この本は映画化作業中らしい」と息子。でも、私、この人のことはまったく知らなかった。で、ウィキペディア。  『広島県内の高校を経て大阪市内の大学を卒業。その後は清掃のアルバイトなどを転転とした。29歳の時、職場で「あした休んでください」といわれ、帰宅途中に突然、小

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今村夏子の『ピクニック』を読んで何か感じた方の人

今村夏子の『ピクニック』を読んで何か感じた方の人

映画「花束みたいな恋をした」で2回くらい出てくる台詞に興味をそそられたので読書感想文。例のあれです。「あの人はきっと今村夏子さんのピクニックを読んでも何も感じない人なんだよ」です。 今村夏子さん初めてなんですが「こちらあみ子」っていう短編集の2番目の話だったから素直にあみ子からスタート。読書自体久々だったからめちゃ時間かかったのだった。もっと本を読みましょう まずはあみ子なんだけど途中まで特にこれといったショッキングな出来事や山場等は無かったものの徐々に不穏になってくあの

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【幸福とは騙されること? -- 解説『星の子』『完全教祖マニュアル』を読んで】

【幸福とは騙されること? -- 解説『星の子』『完全教祖マニュアル』を読んで】

 各書籍の感想はこちらから。 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆ 【本日の参考文献】 《楽天市場で詳細を見る》 《楽天市場で詳細を見る》 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆ 【解説】  宗教という特殊な環境下を通して、社会にある「騙される側」と「騙す側」の両者の心理を知りたく、この2冊を書かせていただきました。ちひろの両親は、ちひろの難病を治してくれたことで特別な水「金星のめぐみ」を生む教団「ひかりの星」に信仰します。その心理状態の経緯について、『完全教祖マニュアル』で

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【非情に面白かった -- 書評『星の子』】

【非情に面白かった -- 書評『星の子』】

--------------- タイトル: #星の子   著者: #今村夏子   書籍: #文庫 ジャンル: #ヒューマンドラマ  初版年: #2019年  出版国: #日本  出版社: #朝日新聞出版  全巻数: #1巻 #完結  全頁数: #256ページ   評価:★★★★★ --------------- 【あらすじ】  生後間もなくから病弱な主人公・林ちひろは、父親の職場の同僚から紹介された特別な水「金星のめぐみ」のおかげで見事に完治する。小さな体で苦しむ姿の

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芥川賞受賞者と最終学歴⑨

芥川賞受賞者と最終学歴⑨

⑨ 第143回~第162回(2010年~2019年)   第143回(2010上) 『乙女の密告』 赤染晶子→京都外国語大学外国語学部独語学科卒業、北海道大学大学院文学研究科独文学専攻博士課程中退  第144回(2010下) 『きことわ』 朝吹真理子→慶應義塾大学大学院文学研究科国文学専攻修士課程修了            『苦役列車』 西村賢太→町田市立中学校卒業  第145回(2011上) 該当作なし  第146回(2011下) 『道化師の蝶』 円城塔→東京大学

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転生して経巡るこの生命世界の〈幻視〉

転生して経巡るこの生命世界の〈幻視〉

書評:今村夏子『木になった亜沙』(文藝春秋) 本作品集には「木になった亜沙」「的になった七未」「ある夜の想い出」の三短編が収められているが、いずれもすばらしい幻想小説として、きわめて高い完成度を見せている。 個人的には、今村夏子の最高傑作(集)だと思うし、今村自身、今後この水準を超えるのは、容易なことではないのではないだろうか。 本作品収録の三短編に共通するのは「生まれ変わり」である。 「木になった亜沙」は、人間から木に生まれ変わるし、「的になった七未」は、人間から「射的

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読書感想「木になった亜沙」、「つかず離れず婚」

読書感想「木になった亜沙」、「つかず離れず婚」

3つのお話しが1冊に詰まった本でした。 不思議な世界が描かれています。あっという間に読み終わり、気分転換になりました。 60歳からの夫婦の関係をいろいろと考えている今、いろんな人の考えを知りたいと読んでみました。 図書館で目について手に取ると、2020/3月発行なので新しく、精神科の医師が書いていますが、病気の話ではなく心構えが書かれています。自分の考えていることは、それほど相方に無理難題を突きつけていないし、読みながらこれでいいわとさらっと読めました。 この本から、新し

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今村夏子さんの「こちらあみ子」読みました

今村夏子さんの「こちらあみ子」読みました

三十路女小説家志望です。 題名の通りです。 太宰治賞と三島由紀夫賞ダブル受賞された作品。 太宰と三島ってそんな相反する存在を…贅沢… さて、作品ですが、なんかすごい。 謎が多いまま終わるのにきちんと終わっていて、だからずっと考えてしまう。 あの人のあれ、何?これは?というのがたくさんある。 主人公あみ子が見た世界しか書かれていないから、周りは結局、何を考えていたのかなというのが、明かされないまま。 まずこの視点で書こうとしたきっかけが気になる。。。平凡な語り口

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あなただって変な人:今村夏子論(拡張版)

あなただって変な人:今村夏子論(拡張版)

書評:今村夏子『父と私の桜尾通り商店街』(KADOKAWA) 本書『父と私の桜尾通り商店街』には、表題作の他「白いセーター」「ルルちゃん」「ひょうたんの精」「せとのママの誕生日」「モグラハウスの扉」が収められている。 現時点での最新作である『むらさきのスカートの女』から読み始めて、『こちらあみ子』『星の子』『あひる』と読んできて、現在刊行されている本としては最後に残った本書『父と私の桜尾通り商店街』を読了した現時点では、本書が最も完成度の高い1冊だと思う。 今村夏子の作

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〈普通の人々〉の生活世界

〈普通の人々〉の生活世界

書評:今村夏子『星の子』(朝日文庫) 今村作品は、『むらさきのスカートの女』『こちらあみ子』に続いて3冊目。 本書『星の子』は、芥川賞候補作になった作品だが、前の2冊に比べると、しごく真っ当な小説に仕上がっていて、若干の物足りなさを感じた。 題材的には「新興宗教」を扱っており、語り手は新興宗教の信者家族の娘で、たしかにその少し変わった家族の様子や、周囲との軋轢なども描かれているので、そこに何か意味慎重なもの、特殊なものを読み取ろうとする人もいるのだろうが、私としては、これ

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