なりいち

本好きの「読書note」記録がメインです。本の感想にかこつけて、こころの中身をさらけだ…

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本好きの「読書note」記録がメインです。本の感想にかこつけて、こころの中身をさらけだす。熱語り阿呆の読書日記となっています。

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  • 読書ノート

    頭が動いたままに、心が感じたままに残した記録となっています。 読書の感想に正解はなくていいと思っています。 どういう人生だったかで、捉えかたはたくさんあっていい。

最近の記事

4月、読みおわった本「まとめ」

今月は「8冊」読みました。 コンビニ人間 / 村田沙耶香 普通って、なんだろう。 大丈夫、みんな、わかってないから。 水中の哲学者たち / 永井玲衣 水面を、ちゃぷちゃぷしているだけでは、もの足りない。 深く潜るように、問いつづける。 誰が勇者を殺したか / 駄犬 勇者になりたい? 休むヒント。 / 群像編集部 休み、なにしてる? 問うとはどういうことか / 梶谷真司 考える。疲れるし、難しい。 たまごのはなし / しおたにまみこ ささくれた、こころが

    • 【ペンギン・ハイウェイ】 - 少年は、おとなへ -

      夏休みまえのある日、登校中に不思議な光景を目にする。住宅街にペンギンが現れたのだ。 小学4年生のアオヤマ君は、ペンギンを研究することに決める。  歯磨きを忘れて虫歯になるほど勉強熱心なアオヤマ君。 ある日、歯科医院に勤めるお姉さんの投げた缶コーラがペンギンに変わる瞬間を目撃する。 「この謎をといてごらん。どうだ。君にはできるか」 ペンギンの謎を解明することは、お姉さんの謎を解明するのとイコールになる。 友達のウチダ君と調査をつづけている森の丘に「球体の海」があることをクラ

      • 【レーエンデ国物語 夜明け前】 - 消えた歴史が、語られる -

        「革命の話をしよう」 この一節からはじまる物語も、ついに第4の歴史を記します。舞台となるのは帝国の支配にすっかり慣れてしまったレーエンデ。 ついにレーエンデを「国」と表現する場面があります。感慨深いです。 3部までに語られなかった謎や、歴史の裏側に触れている今作。運命は激流となって加速します。 「夜明け前」にふさわしい内容となっており、最終巻ではどんなラストを迎えるのか、楽しみです。  ◇◇◇ レーエンデの自由のために翻弄し、解放の英雄となる「レオナルド」 御子のた

        • 【たまごのはなし】 - ひねくれ哲学たまご -

          第27回 日本絵本賞 大賞 第14回 MOE絵本屋さん大賞 第2位 第 2回 TSUTAYAえほん大賞 第2位 第28回 ブラチスラバ世界絵本原画展 金牌  ◇◇◇ 1玉だけ目覚めた、たまご。 ほかのたまごは起きない。ころがしたら割れてしまった。 マシュマロならどうだろう。やっぱり起きない。マシュマロたちに埋もれてみた。それでも起きないから、かじってみた。 「なんで かじるのさ?」 みじかいボッチ生活に別れをつげて、たまごとマシュマロはキッチンをとびだし、冒険のような散

        4月、読みおわった本「まとめ」

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        • 読書ノート
          39本

        記事

          【問うとはどういうことか】 - 正しさに殺されないために -

          2021年の元首相でありオリンピック委員会会長であった森喜朗氏の発言からはじまります。 「女性差別」だと騒がれて、叩かれていました。梶谷さんはもっと厳しく捉えていて、「反民主主義」と主張。森氏だけではなく、マスコミや疑問をもたなかった大人たちへ「問う力がない」と言及しています。  ◇◇◇ 問うことをしなくなる要因は5つ、考えられるそうです。 基本歓迎されない 「わからない=質問」教育の基本はわかることだから質問は好ましくない しばしば攻撃的である 「どうして」や「な

          【問うとはどういうことか】 - 正しさに殺されないために -

          【休むヒント。】 - 仕事と休みの関係性 -

          群像 2024年 01 月号 特集「休むヒント。32人の休みにまつわるエトセトラ」の単行本化。 益田ミリ「休み時間」描き下ろし。  ◇◇◇ 休むことが苦手な日本人。 いまだに「休むのは悪いこと」と認識している人が一定数います。 仕事をしていると安心できる。むしろ、仕事をしていないと不安になるようです。 仕事に夢中になる時期はあっていい。私にもそんな時期はありました。 ムリをしているわけではない。充足感があったからやっていた。今では違法になった長時間労働。日付けが変わるま

          【休むヒント。】 - 仕事と休みの関係性 -

          【誰が勇者を殺したか】 - 勇者をつむぐ物語 -

          魔王を倒した勇者一行。 王都に帰還したのは仲間の3人だけだった。 高潔の剣聖 性悪の聖女 偉才の賢者 なぜ勇者は死んだのか。その質問に答えるときの3人は歯切れがわるい。 様々な疑惑はあるけれど、誰もウソをいってないようだ。それなのに真実がみえてこない。  ◇◇◇ 才能に恵まれた剣聖、聖女、賢者をまとめる勇者は、なんの才能もなく、ただ努力をするだけの普通の人でした。 その努力が異常だったのです。 休むこともなく、体力の限界まで動いて気絶するように眠る。毎日そこまで自分を

          【誰が勇者を殺したか】 - 勇者をつむぐ物語 -

          【水中の哲学者たち】 - 息をするように考える -

          ㊗️受賞 第17回「わたくし、つまりNobody賞」 哲学研究者であり、哲学対話ファシリテーターでもある永井玲衣さんの哲学エッセイとなります。  ◇◇◇ 水の中をたゆたうように、言葉に揺られるような文章を読んでいると癒されます。 ユーモアがあり、静かで柔らかくありながらも感情が揺れ動き、コミカルで面白く、とても好きな文章です。 哲学対話をしたことはないけれど、疑問を投じるという点では、会社の会議も似たようなことかもしれません。 だれかの発言が、水面に投げた小石

          【水中の哲学者たち】 - 息をするように考える -

          【コンビニ人間】 - これは愛の告白 -

          普通がわからない。 他者のいうことがわからない 社会に生きる正常がわからない。 幼少期、行動や発言に周りが引いた。 どうしてかは理解できなかった。 そんなことが何度も繰り返された。 いつしか彼女は話さなくなり、何もしなくなっていった。 異常とみられる彼女を「治す」と表現する家族。妹のアドバイスのおかげで人間に擬態して生きてきた。コンビニをとおして世界と触れているときだけ人間になれた。 体の全てはコンビニのものでできていた。 2番目の店長の「体調管理も自給のうち」という呪い

          【コンビニ人間】 - これは愛の告白 -

          文庫本の「解説」には愛がある

          文庫本の後ろにある「解説」 私は必ず読むのです。読まないなんてもったいない。 あるとき「読む派」と「読まない派」に分かれていると知り、ビックリしました! 単行本を持っているのに、わざわざ文庫本を買うのは解説を読むためでもあるからです。 プロの作家が書かれる解説は、感想を言い合っているような楽しさがあります。 私には読書仲間がおりませんので、そのような至福な時間をつくれる人を羨ましく思うのです。 サラッとブクログなどでレビューを見ても物足りない。もっとheavyで、よ

          文庫本の「解説」には愛がある

          3月、読みおわった本「まとめ」

          今月は「7冊」読みました。 地雷グリコ / 青崎有吾 全力で挑むのは気持ちがいい。 勝ちを確信した後の、負けるかもしれないと違和感を感じた瞬間の表情がたまらない。 シャーロック・ホームズの凱旋 / 森見登美彦 事件を解決しない探偵。 うだうだしているホームズに、やきもきするワトソン。名コンビ復活は叶うのでしょうか。 正欲 / 朝井リョウ 読むまえの価値観には戻れない。 誰にも理解されないと、諦めて生きている。理解者のいない絶対の孤独はどんなものなのだろう。 満

          3月、読みおわった本「まとめ」

          マンガ【あくたの死に際】 - あきらめた情熱がよみがえる -

          31歳、独身、休職中。 夢を追いかけるのに遅いことはない! ぶっ飛んでる。 熱量がすごい。 周りを焦がすように、こちらまで熱くなる。 自分の中にもまだ種火がのこっていて、燃えあがる情熱を感じました。 既刊は2巻までだけれど、マンガワン・裏サンデーで連載中です。  ◇  ◇◇  ◇◇◇ いい歳になってからやりたいことが見つかることもあるんですよね。 年齢をいい訳にしてモヤモヤするくらいなら、思いきってチャレンジしようぜ!ってなる。 人によっては劇薬になりかねない、

          マンガ【あくたの死に際】 - あきらめた情熱がよみがえる -

          読書ノート 『列』

          その列は長く、いつまでも動かなかった。 先が見えず、最後尾も見えなかった。 第1部 気がつくと列に並んでいた。なんのために、いつから並んでいるのか分からない。 第2部 チンパンジーの野生群観察調査を行なう、大学の非常勤講師である男へと話は変わる。 第3部 列の謎がみえてくるが、それは無限のはじまりを意味していた。   ◇◇◇ その列は長く、いつまでも動かなかった。 先が見えず、最後尾も見えなかった。 人はなにかの競争や比較に晒されつづける。 人生のように凝

          読書ノート 『列』

          トラウトサーモン、君はどっちなの?

          トラウトサーモンを分解する。 トラウト(鱒--ます)淡水一筋 サーモン(鮭--さけ)海へ川へ トラウトとサーモンを合体する。 トラウトサーモン 淡水魚の鱒を海で養殖したもので、アニサキスなどの心配がなく、生で食べることができる。 トラウトサーモンは正式名ではなく、商品名という。そうしたら君はいったい。 JAS法でいえば、トラウトになるそう。 結局は鱒だった。鮭と表記すると、不適正表示となるらしい。 いつも食べているサーモンだと思っていた君は、ニジマスだったのか。

          トラウトサーモン、君はどっちなの?

          幸せの占星術

          「満月珈琲店の星詠み」を読んで、占星術を学びたくなり、入門書を買いました。  占星術にはインド式と、西洋式の2種類あり、今回選んだのは西洋式になります。 占星術というと、星占いのことでしょ!っていわれます。その星占いの基になっているのが西洋占星術になります。 インド式は、より科学的な占星術になっているので概念がまったく違います。 西洋占星術は、「ある時間に、ある場所からみたとき、どの方向に惑星があったか」をみて、性質や運勢などを読み解く占いです。 そこでつかわれるのが

          幸せの占星術

          読書ノート 『怖い食べ物』

          事故物件にばかり住んでいると、人の死んだ場所が怖くなくなるみたい。慣れとは怖いものですね。 死んだ人間と、生きている人間、どちらが怖いのかと聞かれたら、後者なのかと思う。 霊よりも人間のほうが多いというのもある。身近にすぐいるのは人間だし、そもそも霊にあう機会はあまりない。 否定はしない。その代わり、今後も私との接点をもってほしくはない。人間のほうが怖いのだと思って生きているほうが、きっと幸せだと思う。  ◇◇◇ この本は「食」が関わる怖い話になります。 いつも食

          読書ノート 『怖い食べ物』