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今村夏子「むらさきのスカートの女」レビュー

文学系YOUTUBERさんが結構取り上げていたので、読んでみることにしました。
芥川賞受賞作です。

冒頭、文章が自分に合っているのかすぐに引き込まれ、「これなら楽しめそう!」と読み進めていったものの、なんかすぐに疲れてきました。
まず主語の「むらさきのスカートの女」が頻出することにイライラ。
「彼女は」とか「その人は」とか言い換えたりせず、ずっと「むらさきのスカートの女は」という主語が続きます。
関西人の性か「”むらさきのスカートの女”言いたいだけやん!」と突っ込みたくなり、読書を阻害されました。

会社に入ったあたりから文章がエッセイみたいになってき、つまんなく感じました。
あと、その辺から作品の構造に気づき、たぶんそういうことなんだろうなーと予測し、それが当たっていそうだったので萎えました。
ライトミステリかよ……

1/3ぐらいでもう読む気をなくし、めったにしないんですが飛ばして最後だけ確認すると、予想通り。
オチをしっかり用意していることにゲンナリ。
この作品を純文学と呼んでいいのかどうか、僕には分かりません。

中村文則氏もそうですが、どうやら僕はエンタメ仕立ての純文学が嫌いなようです。
特に、ミステリに近いもの。
話がちゃんと解決するもの。
オチがあるもの。
確かに読みやすくはなるし、読後感もすっきりしやすくなるけど、別に純文学にそんなもん求めていないので。

で、これを推した人たちの意図が知りたくて芥川賞選考委員の選評を読んでみました。

女性独特の不条理を不条理のまま受け入れる感性と、変に構えない日常感……
あーそういうところを読んでいるのか……とちょっとだけ納得。
女性作家さんが推しているのもうなずけます。
個人的には島田雅彦氏の「物足りない」に共感。

残念ながら合わない作品でした。
うーん……現代日本文学読むのまたやめよっかな?
でも小川洋子「ことり」のようなバチバチの傑作もたまにあるからなあ……
とりあえず次は長年避けてきたユゴーの「レミゼラブル」にします。
抄訳版ですが。

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