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エッセイ

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ノンフィクション、実録エピソードです。生きづらさ、自己肯定感、悩みが中心。
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#小説

「最近、面白い小説がないな」という人へ、絶対にお勧めできる海外の小説たち(2024.3.5更新)

「最近、面白い小説がないな」という人へ、絶対にお勧めできる海外の小説たち(2024.3.5更新)

本屋をブラブラしても「面白そうな小説がない」と感じる。あるいはパラパラっめくってみても、全く食指をそそられない。昔は小説が好きだったんだけど、最近は面白いものに出会えない。そんな人は多いと思う。

そこでおすすめしたいのが、外国人作家の小説を読んでみることだ。ドストエフスキーとかエミール・ゾラとかの古典ではない。本屋を当てもなく彷徨っている人の大半は心が疲れているから、古典を読む元気はないと思う。

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【エッセイ】創作大賞の中間選考を通過するまで~自己肯定感とのデスマーチ~

【エッセイ】創作大賞の中間選考を通過するまで~自己肯定感とのデスマーチ~

「五菱銀行 怪奇事件 専門課」が漫画原作部門を通過するまで

五菱銀行 怪奇事件 専門課「呪いの銃①」 が、noteが主催する創作大賞の中間選考を通った。これまでに出版詐欺に遭い、賞に応募して落選することに慣れ切っていたから、「【おしらせ】あなたの作品が創作大賞の中間選考を通過しました」というメールを受け取った時、「詐欺か?」と感じてしまった(運営さん、疑ってすみません)。

また創作大賞には四部

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【エッセイ】いきなり老人ホーム

【エッセイ】いきなり老人ホーム

 物心ついた時から「高学歴で大企業の会社員か医者か弁護士にならないと、人生終了」という思い込んでいた。これが変わったきっかけは、大学入試に惨敗したことだけではない。祖父の老人ホームで遭遇した、ある出来事だった。(思い込みが変わった後も、「今まで必死に求めてきた学歴が全てじゃない。だとしたら、自分は今まで何をしていたんだ? そもそも人間の価値って何なんだ?」という問いに、苦しむことになるのだが)。

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存在理由

存在理由

陽が暮れた学校ほど、おかしなことが起こる場所はない。人生で最もおかしなことが起きたあの場所は愛知と岐阜の県境にある、私立の中高一貫校だった。

あの頃、高校校舎の一階廊下の突き当りに鏡が置かれていた。何の特徴もないガラスの板だ。だだ、置いてある場所が妙だった。誰が廊下で身だしなみを整えるだろう? 機能としては最悪だが、高校生の暇潰しには最高だった。正解のある受験勉強に飽き飽きしていた生徒たちは、「

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少年院の職員

少年院の職員

彼に声をかけられた時。私は歩道に寝転がっていた。
三月と思えない陽気。金曜日の夜。マンションの入り口で。

「お前。こんなとこで何してんの?」

聞かれなくても分かっていた。私のような二十三歳の会社員は、誰かと過ごすべきなのだ。悩みを話せる上司。共にいて息苦しくない彼氏。夢を語り合う友達。そんな類の知人は、持ち合わせていなかった。私にあるのは朝までの時間と、静かな歩道だけだった。

「あんたこそ、

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【エッセイ】ずるいお好み焼き

【エッセイ】ずるいお好み焼き

 三人目を産んで退院した朝。病院に迎えに来た夫は夜勤明けらしく、人生最悪の夜を乗り越えたように疲れ果てて見えた。これではどっちがお産をしたか分からないなと思いながら家まで歩いていると、彼は言った。「昼飯はおかんが準備して、家で待ってる」。彼の弾んだ声は空腹と、不吉な予感をもたらした。彼の好物はたいだい苦手だった。「何だった?」「お好み焼き」。沈黙。夫は言葉を続けた。「まとがお好み焼き嫌いって、おか

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