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【俳句観15】「衝撃→感傷」の流れがある句は人の心理をついている件

偏見ながら、キャッチーな句を作るには衝撃からの感傷が鉄板だと思います。まず「衝撃」は読み手が共感しやすいショッキングな出来事や経験を言います。例えば、死別・離別や大失敗、裏切り、天災被災などですね。このようなショックを繰り出してから、一転カットを切り替えて対象の人物が「感傷」に浸ることで句を〆ます。こうすると、読み手は寄り添いや好奇心、同情などの心が動かされます。

身近な例で言えば「留年した→やけ食いした」などでしょうか。ヘビーなものなら例えば「家族が大津波にさらわれた→海を見て呆然と突ちつくした」とか「信頼を寄せていた人に大金を持ち逃げされた→煙草をふかした」も(創作的には)ありかもしれません。こういった、不幸な境遇に立った人がその後どう行動したかで構成される句は確実に人の心理をついています。

これを支持する根拠は、2005年のハーバード大の論文「Neighbors as Negatives: Relative Earnings and Well-Being(よくない隣人たち・相対的な収入と幸福)」です。論文の中では、金持ちが近所に住んでいる一般人家庭は口喧嘩が多いと言及されているそうです。似たようなケースでいうと、めちゃくちゃ太っている人が苦しんで減量に励む様子を「太るのにも限度ってもんがあるやろ……」と思いながら見ている普通体型の人の構図があります(自分はこのケースをテレビで嫌ほど見たので例に出しました)。

これら2つのケースから分かるように、他人と自分とを比較することで優越感(幸)や劣等感(不幸)のような心理が生まれるのです。これは倫理的な問題ではなく、人類が生き残るために自然と身についたものなので拭い去ることはできません。下の動画のように、動物でも同じ傾向があるようです。

そうなると、他人に優越感を抱かせるような不幸話や失敗話には人の興味を引く力があると言えそうです。先ほどのめちゃくちゃ太った人と普通体型の人とのケースでは、この心理によって視聴者に優越感を与えて食いつかせる狙いがあると考えられます。

これと同じロジックを使えば、人目を引く俳句ができるはずです。「衝撃(人の不幸、失敗など)→感傷」の流れを意図的に採り入れた句は倫理に反しているかもしれません。しかし、読み手の心理をつく意味では理に適っています。なので、作句で困った時は自分か誰かを不幸・犠牲にすることで人の気を引きましょう(鬼畜)。

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これから俳句を始めようと言う方、初心者におすすめです。日常会話とは違った言葉の使い方や、何をどう意識すればいいのかを簡単にまとめています。

素人レベルが俳句に対する見方をまとめたエッセイです。個人の勝手な見方ですので、必ずしも正しいとは限りません。

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