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CRISPR(クリスパー)究極の遺伝子編集技術の発見(ジェニファー・ダウドナ著)を再読し、コロナ後の世界を考える
究極の遺伝子編集技術として2012年に発表されたCRISPR-Cas9。発表されて間もない頃に一度読んでいたが、今般The Tangled Treeを読む中、人の遺伝子の8%がウイルス由来という件に既視感を覚え、そうだ、ダウドナの本に書いてあったなと思い出し再読してみた。
この技術が開発される前は、無害化したウイルスを運び屋として使う方法、即ち無害化ウイルスに遺伝子を搭載し、ターゲットに向け打ち
生命の起源について今分かっていること The Tangled Tree - A Radical New History of Life by David Quammen
邦訳は「生命の<系統樹>はからみあう」。書評などでよく紹介されているのは、「人の遺伝子のうち8%相当がウィルス由来」という衝撃的な一節だが、本書を読み終えるとこれに違和感が無くなる。コロナ危機の今、ウィルスを打倒すというスローガンを掲げる政治家も居るが、歴史的にみると人類とウィルスは共存してきただけではなく、人の進化の過程ではウィルスの遺伝子を取り込んでバージョンアップをしてきたという説が有力とな
もっとみるTHE HUMAN SWARM: How our societies arise, thrive and fall by Mark W. Moffett (Introduction)
The Human Swarm、直訳すると「人間の群れ」。「社会」でなく「群れ」という表現を使うところにこの本のエッセンスがある。
冒頭、著者は、人類の歴史を振り返ると、社会に属することで一つの集団としてのイメージを強める一方、集団外の人を違うものとみなし、外国人のことを足で踏みつぶしても構わない虫けらのように蔑んできた("That foreigners might be considered