2023年1月の記事一覧
『キツネ潰し―誰も覚えていない、奇妙で残酷で間抜けなスポーツ』(毎日読書メモ(461))
エドワード・ブルック=ヒッチング『キツネ潰しー誰も覚えていない、奇妙で残酷で間抜けなスポーツ』(片山美佳子訳、日経ナショナルジオグラフィック)を読んだ。10月に新聞の書評欄で読んで(ここ)、面白そうだな、と思っていたのだが、年末に書評子(トミヤマユキコさん)が、今年の3冊、という欄で再度取り上げていらしたのに肩を押され、取り掛かる。
古代ギリシアから現代に至るまでの、さまざまな時代に、人々が思い付
直木賞受賞おめでとうございます! 小川哲『君のクイズ』(毎日読書メモ(459))
昨年末、小川哲『地図と拳』(集英社)が直木賞にノミネートされたあたりから、小川哲さんの名前を聞く機会が一気に増えた。多くの書評家が、昨年の収穫として、小川さんの著作をあげるようになり、まずは『君のクイズ』(朝日新聞出版)を読んでみた。一気読み。
クイズを究める人たちの物語。であると同時にミステリー。
テレビの『Q-1グランプリ』第1回大会の決勝戦で、僕、三島玲央は、7問先勝の早押しクイズで先行し
ポディマハッタヤさんとカルナナンダさん(毎日読書メモ(457))
日本で一番よく知られているスリランカ人は、ポディマハッタヤさんらしい。
子どもが小学校2年生の頃、図書館で見かけた「いっぽんの鉛筆の向こうに」(谷川俊太郎文 /坂井信彦写真 /堀内誠一絵 ・福音館書店)という絵本に、わたしがはまって、子どもたちの学年4クラス全部で朗読したのだった。ポディマハッタヤさんは、スリランカの鉱山で黒鉛を掘っている人。アメリカでインセンス・シダーという木を切っている人、ト
柚木麻子『らんたん』、朝ドラみたいな、明治~昭和の光景(毎日読書メモ(456))
世田谷にある恵泉女学園の創始者、河井道の生涯を描いた柚木麻子の小説『らんたん』(小学館)、かなり前に買ってあったのだが、買ったことで油断してなかなか読めずにいたのをようやく読了。
作者、柚木麻子自身が恵泉の出身で、恩師一色義子から聞いた話も含め、膨大な資料にあたって書いた、「史実に基づくフィクション」。
わたし自身が恵泉女学園とあまり馴染みがなかったこともあり、この本の主人公である河井道、道とシス
本屋さんでガレット・デ・ロワ(毎日読書メモ(455))
仕事帰りに、丸の内オアゾの丸善に入ったら、入口にGallette des Roisって書いてある。この半月、出先でガレット・デ・ロワを探し続けていて、とうとう、本屋さんで幻影を見るようになっちやったのかと思ったら、一昨年刊行された絵本『王様のお菓子』(石井睦美文、くらはしれい絵、世界文化社)の原画展示+グッズ販売だった。本物のガレット・デ・ロワも売って欲しかったところね…、と思ったら1月6日~8日
もっとみる梯久美子『散るぞ悲しき―硫黄島総指揮官・栗林忠道 』(毎日読書メモ(454))
正月に実家に帰っているときに、手持ちの本を読み終わって、父の書架にあった梯久美子『散るぞ悲しきー硫黄島総指揮官・栗林忠道』(新潮文庫)を読んでみた。梯久美子のノンフィクションライターとしてのデビュー作であり、梯はこの作品で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞している。2005年の作品。
冒頭に、栗林忠道を慕い、硫黄島にも付いていきたい、と志願したが、軍人ではなく軍属だったため、同行を許されなかった貞岡