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ルイ・ヴィトンというブランド名を初めて知った時(毎日読書メモ(458))

知り合いが最近松本清張の話をしているのを読んでいて、その人が書いていることとは全然関係なく、そういえばわたしがルイ・ヴィトンというブランド名を知ったのは松本清張の小説を読んでいた時だったな、と思い出した。
松本清張『迷走地図』(上下・新潮文庫、現在もKindleで読める)は、1982年2月から1983年5月にかけて朝日新聞で連載していた小説で、永田町の権力闘争を泥臭く描いている。その後映画やテレビドラマにもなっている。

この小説の重要な小道具としてルイ・ヴィトンのボストンバッグが出てくる(この頃のルイ・ヴィトンって言えばボストンバッグだった)。銀座のママが、裏金の運び屋として、ヴィトンの鞄に札束を詰めて運搬し、それを奪われる、という失態を犯す。
田舎の高校生だったわたしは、この小説でルイ・ヴィトンの名前を知った。マジで。今みたいに新聞の裏面に草間彌生とのコラボ広告が1面まるまる使われるなんて時代じゃなかった。若い子が色とりどりな、おしゃれなLVバッグを持ち歩く時代じゃなかった。ルイ・ヴィトンって言えば銀座のママが持ってて、裏金運んじゃう、そんなバッグだったのよ当時は(と思っているのはわたしだけかもしれない)。

政治家の妻と愛人関係にあった秘書が、秘書の職を辞して外国に行って事故死して、日本を出る前に友人のジャーナリストに貸金庫の鍵を渡していて、その中に不倫の証拠が残されていて、というのも、田舎の高校生(しつこい)には初めて見るシチュエーションだった。たぶん銀行の貸金庫、という機能について初めて知ったのも、この小説だったな…。

小説の本筋とは全然関係ないのだが、わたしにとっての松本清張の思い出はルイ・ヴィトンと貸金庫、らしい。なんじゃそりゃ。

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