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毎日読書メモ

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2021年9月の記事一覧

毎日読書メモ(121)『チョコレートコスモス』(恩田陸)

毎日読書メモ(121)『チョコレートコスモス』(恩田陸)

日記の中から拾いだしてきた本の感想。もう一度読みたいな、チョコレートコスモス。単行本が毎日新聞社から出ていたのは、「サンデー毎日」に連載されていた小説だから。

恩田陸『チョコレートコスモス』(毎日新聞社、現在は角川文庫)、まだ読み始めたばかりだが、これはお芝居についての物語か? 三谷幸喜とか、『ガラスの仮面』とか、そういうひとやものを思い出しイメージしつつ読む。

『チョコレートコスモス』(毎日

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毎日読書メモ(120)湊かなえ『山女日記』、『物語のおわり』、『贖罪』

毎日読書メモ(120)湊かなえ『山女日記』、『物語のおわり』、『贖罪』

湊かなえ『山女日記』(幻冬舎文庫)を読んだら、イヤミスじゃなかった! 最後まで、どこでイヤミスになるかと疑いながら読んでしまったが、読後感がよくて、逆にもやもやするってどうよ?(笑) 取り上げられている山は、妙高~火打山縦走、槍ヶ岳、利尻山、白馬岳、金時山、トンガリロ(ニュージーランド)。白馬岳と金時山は登ったことあるので親近感。他の山も行ってみたくなりました。(2018年7月)

『山女日記』を

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毎日読書メモ(119)『想像ラジオ』(いとうせいこう)

毎日読書メモ(119)『想像ラジオ』(いとうせいこう)

いとうせいこう『想像ラジオ』(河出文庫)、ヨーロッパ旅行に行く途中のトランジットで、イスタンブールの空港で読んだ。

深夜に、高い杉の木の上から、DJアークが「想像~ラジオ~」と語りかける。Stay Tunedしているのは一体誰か、アークが一番届けたい人に、彼の声は届くのか。垣根があって、ラジオが届くか届かないかの境目で、もう一度話したかった人と脳内で会話する人。東日本大震災を通奏低音に、喪失と再

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毎日読書メモ(118)『麦本三歩の好きなもの』(住野よる)

毎日読書メモ(118)『麦本三歩の好きなもの』(住野よる)

『君の膵臓をたべたい』『また、同じ夢を見ていた』と読んできて、とらえどころがないと感じてきた住野よる、今度は『麦本三歩の好きなもの』(幻冬舎、現在は幻冬舎文庫)を読んでみた。

大学で司書資格を取って、大学図書館の職員となって3年目位、一人暮らし、彼氏なしの麦本三歩の日々の暮らし。仕事で凡ミスをしては先輩たちに叱咤され、焦ると何を喋っても噛みまくる。ちょっと気を抜くと、転倒する。頼りなくて、見てい

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毎日読書メモ(117)『灯台はそそる』(不動まゆう)

毎日読書メモ(117)『灯台はそそる』(不動まゆう)

和歌山旅行で潮岬に行って灯台見よう♪、と決めた頃、書店でトラップされた不動まゆう『灯台はそそる』(光文社新書)、読みながら梶取埼灯台(風見鯨が付いている)、潮岬灯台(本州最南端)、樫野埼灯台(エルトゥールル号至近)を見て回り、帰ってきてから本の続きをぼちぼち読んでます。オタクの世界は深く、楽しい。そして、灯台守の回顧譚を読んでいると泣ける。
電車の中で読んでいて、ふと視線を上げたら、JALの先得の

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毎日読書メモ(116)『アフリカ出身サコ学長、日本を語る』(ウスビ・サコ)

毎日読書メモ(116)『アフリカ出身サコ学長、日本を語る』(ウスビ・サコ)

ウスビ・サコ『アフリカ出身サコ学長、日本を語る』(朝日新聞出版)を読んだ。2018年から京都精華大学の学長を務めている、マリ共和国出身のウスビ・サコによる日本人論。2020年7月刊行なので、大学のコロナ対策等についても触れられている。コロナ禍の元でのBlack Lives Matterの問題についても触れている。

京都精華大学といえば、初めてマンガ学部を作ったことで有名になり、マンガ学部の教授→

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毎日読書メモ(115)『ほんとうの空色』(バラージュ・ベラ)

毎日読書メモ(115)『ほんとうの空色』(バラージュ・ベラ)

2006年5月の日記より。青い花の花びらを絞ってとった絵の具はほんとうの空色で、それを塗った絵の中では空が時間や天気によって色を変えていく。美しい物語。

バラージュ・ベラ『ほんとうの空色』(徳永康元訳・岩波少年文庫)。1月頃に、子どもの頃に読んだ本を再読したい熱が盛り上がった時に、探して、岩波少年文庫から復刊されているのを発見して買っておいた本、ようやく手に取ることが出来た。子どもの頃、この本(

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毎日読書メモ(114)『経産省の山田課長補佐、ただいま育休中』(山田正人)

毎日読書メモ(114)『経産省の山田課長補佐、ただいま育休中』(山田正人)

過去の日記を辿っていて、読んだことも忘れていた本の記録が出てきた。夫婦とも経産省のキャリア官僚で、双子を含む3人の子どもを育ててきた家の記録。山田正人『経産省の山田課長補佐、ただいま育休中』(日本経済新聞社、その後文春文庫)。2004年時点で、男性キャリア官僚がまる1年育休を取ったのは画期的だったとは思うが、たぶん、現在夫婦で分担して育休を取っている家庭の人が読んだら生ぬるい、という内容かも。しか

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毎日読書メモ(113)『とっぴんぱらりの風太郎』(万城目学)

毎日読書メモ(113)『とっぴんぱらりの風太郎』(万城目学)

どの作品を読んでも発想の奇想天外さに驚かされる万城目学、『とっぴんぱらりの風太郎』(文藝春秋、現在は上下巻で文春文庫)は、導入がやや重かったが、分かっている史実の切なさを思いつつ最後まで突き進んだ。話も重いし、本も重かった...。

この本を読む直前に京都に行って、豊国神社とか耳塚とか見ていたので、豊臣家の滅びの過程が殊更に切なかった。

重たかった!(そこかよ) 風太郎が何を目指し、どこに向かっ

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毎日読書メモ(112)『物語のものがたり』(梨木香歩)

毎日読書メモ(112)『物語のものがたり』(梨木香歩)

読書メモを整理していて、あー面白いじゃん、と思いながら、全著作をフォローしきれない作家の方がずっと多い。そんな中、新刊が出る都度出来るだけ読むようにしているのは、恩田陸、三崎亜記、村上春樹、梨木香歩といったところか。堀江敏幸、川上弘美、桐野夏生あたりも割と読んでいるかな...。ルールがあるんだかないんだか。

で、梨木香歩の近刊、『物語のものがたり』(岩波書店)、児童文学関係の評論をまとめた一冊。

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毎日読書メモ(111)門井慶喜の美術探偵・神永美有シリーズ

毎日読書メモ(111)門井慶喜の美術探偵・神永美有シリーズ

宮沢賢治を、父の視点から描いた『銀河鉄道の父』で直木賞をとった門井慶喜、近年は史実に題材をとって大胆に解釈した小説が多いが(『銀河鉄道の父』もそうだったし、『家康、江戸を建てる』とかもすごく面白かった)、初期は美術館や図書館をテーマにした小説が多かった。そんな中、シリーズ展開されていたのが、美術探偵・神永美有シリーズ。やや若書きでこなれていない感じの部分もあったが、題材の取り方が独特で、唯一無二の

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毎日読書メモ(110)『花や今宵の』(藤谷治)

毎日読書メモ(110)『花や今宵の』(藤谷治)

しばらく前に、『睦家四姉妹図』を愉しく読んだ(ここ)、藤谷治の2016年の小説『花や今宵の』(講談社)を読む。「小説現代」に連載されていた小説を単行本化したもの。アイスグリーンのイラストの表紙(re° red flagship)が冬至の山の寒さを象徴している感じか。

平家の落人伝説のある山奥の村。不思議なエネルギーを放出する村の中の小山で神隠しにあった少女。その場にいたことで運命が変わってしまっ

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毎日読書メモ(109)『彼岸先生』(島田雅彦)

毎日読書メモ(109)『彼岸先生』(島田雅彦)

島田雅彦は、わたしの時代の文学ヒーローだ。通っていた大学は違うが、わたしが大学に入学した年には島田雅彦もまだ大学生で、『優しいサヨクのための嬉遊曲』でデビューしたばかりだった。大学生協の書籍部が島田雅彦を講演会に呼んで、残念ながら講義と重なっていたので終わってから駆けつけて、本当に最後の部分だけ、会場の一番後ろでちらっと見て「青二才...」と思ったことを覚えている。断片的な記憶ですみません。大学オ

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毎日読書メモ(108)オダギリジョーのドラマ「オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ」を見ていて、志賀直哉「剃刀」を思い出す

毎日読書メモ(108)オダギリジョーのドラマ「オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ」を見ていて、志賀直哉「剃刀」を思い出す

NHKの金曜22時のドラマ枠で、オダギリジョーが脚本を書いた「オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ」というドラマを放映していた。永瀬正敏が出演していて、主題歌がEGO-WRAPPIN’で、まるで「私立探偵 濱マイク」のテレビドラマ版みたい、な-んて思ったが、主演は池松壮亮とオダギリジョー。そして、共演者が豪華すぎて目の前がキラキラしている。

その中で、第1話では何のために出てきたのか全くわか

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