見出し画像

毎日読書メモ(115)『ほんとうの空色』(バラージュ・ベラ)

2006年5月の日記より。青い花の花びらを絞ってとった絵の具はほんとうの空色で、それを塗った絵の中では空が時間や天気によって色を変えていく。美しい物語。

バラージュ・ベラ『ほんとうの空色』(徳永康元訳・岩波少年文庫)。1月頃に、子どもの頃に読んだ本を再読したい熱が盛り上がった時に、探して、岩波少年文庫から復刊されているのを発見して買っておいた本、ようやく手に取ることが出来た。子どもの頃、この本(当時読んだのは講談社の「こどもの世界文学」、という全集の中の1冊だった)を何回くらい読んだんだろう? 細部をやけに鮮明に覚えていて(好きな女の子が、ほんとうの空色で描いた絵と引き換えに封ろうをくれるところとか、その絵の中で雷が落ちて、絵から火が出て燃えてしまったときに、なんで避雷針を描いておかなかったのか責められたところとか、ほんとうの空色を塗った木の板で水の上を漂っていたら、水に浮かんでいるように見えて、聖人扱いされて、司祭館でご馳走になり。チョコレートボンボンを貰うところとか)最後に絵の具をたらしたズボンを大事にはいていた主人公の少年がとうとうそれを捨てるときがきて、それが成長を暗示していて胸がきゅっとしたり、記憶の中にあったより短かったが、すごくオリジナルな発想の、見事な物語だと思った。読書の歓びを感じたよ。(2006年4月)


#読書 #読書感想文 #ほんとうの空色 #バラージュ #ハンガリー #徳永康元 #岩波少年文庫 #講談社こどもの世界文学  

この記事が参加している募集

#読書感想文

189,831件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?