記事一覧
2月の歌舞伎座、実は第1部の「泥棒と若殿」がすごく良かったことについて
今月の歌舞伎座は、注目の舞台がたくさん。毎年、年末に中村屋スペシャルを放送するフジテレビを中心に、テレビでもたくさん取り上げられているのが勘九郎と9歳の長男の勘太郎の連獅子。勘太郎は、父・勘九郎が持っていた連獅子の最年少記録を塗り替えたのだとか。また、同じ第3部には次男の長三郎が叔父の七之助と共演する袖萩祭文。やや難しいお話ではあるけれど、長三郎の成長ぶりに笑みを隠せない観客は、大満足だろう。第
もっとみる令和3年も新春浅草歌舞伎はここにあり!―歌舞伎座・壽初春大歌舞伎第1部
毎年花形独特の華やいだ雰囲気に魅せられる新春浅草歌舞伎。本年は、時勢に鑑みてやむなく中止。大変残念だけれど、歌舞伎座の幕開きは、浅草の花形メンバーで寿曽我対面をモチーフに取った柱建がかかるという、粋な計らい。しかも「壽浅草柱建」と銘打って、「浅草」を「はながたつどう」と読ませるのだから、心憎い。
國矢と橋吾、そして冒頭 その冒頭、浅葱幕の前で、奴役は、國矢と橋吾。それぞれ、台詞に超歌舞伎やかぶ
関西に歌舞伎が戻ってきた歓び―南座吉例顔見世興行第1部
南座の顔見世といえば、12月の京都の風物詩。劇場前に掲げられる俳優の名前が書かれた木札は「まねき」と呼ばれ、11月のうちに毎年真新しく作られる「まねき」の準備が進む様子も、季節のニュースとして取り上げられる。戦時中も絶えることのなかった風物詩だが、今年は、どうなることかと多くの観客が(そしてきっと俳優やスタッフの方々も)緊張して待っていたのではないだろうか。
結果、例年より期間も客席数も減ら
歌舞伎ファンにとってのプレミア公演⁉-第22回音の会
夏の勉強会シリーズ、今日は8月22日・23日に開催された音の会へ。こちらは、国立劇場の研修の中でも、歌舞伎音楽の研修生の皆さんの年に1度の発表の場。長唄や三味線、囃子方の方たちだけの舞台はもちろん、竹本の太夫と三味線方のために歌舞伎俳優さんも助太刀する演目があります。歌舞伎ファンにとっては垂涎ものの公演なれど、おそらく自分は歌舞伎ファンだと思っている方たちなのでしょう、歌舞伎音楽の研修生が主役の
もっとみる「にっぽんの芸能」を観よう!
「にっぽんの芸能」というテレビ番組を御存じだろうか。Eテレで毎週金曜23時から1時間放送されている番組で、歌舞伎、文楽等を中心に、毎週様々な伝統芸能が紹介されている。今日は、その番組の魅力について。
<今年4月のリニューアル、最高。> 「にっぽんの芸能」は以前から放送されている番組だが、今年4月に放送時間帯こそ変わらないものの全面的にリニューアルされ、新装開店した。司会には、高橋英樹さんを起用
歌舞伎好きにとっての8月と言えば…
8月の歌舞伎。昔は、歌舞伎俳優たちがこぞって夏休みに入るので芝居小屋は閑古鳥…というのが、むしろ風物詩ぐらいの状況だったよう。が、平成2年から歌舞伎座で若手(と言っても、当時は後の勘三郎と三津五郎とか…)が奮闘して納涼歌舞伎が始まってからは、状況が一変した。
<去年の8月の記録> ここで、手元の去年の観劇記録を見返してみると…。高砂会、音の会、歌舞伎座(第1部、第2部、第3部)、蔦之会、稚魚の
家で一人で呑むのに最適なお酒は何か。
これは、お酒が好きな人にとっては、呑める量が多いか少ないかに限らず、永遠のテーマなのではなかろうか。特に、現在は、経済との両立の観点から少し緩和されているとはいえ、なかなか大手を振って外でお酒を吞みにくい状況。であれば、家で美味しく呑みたい!という探求心に駆られる人も少なくないはず。ぼくも、そんな一人。
<ありがちな展開:缶ビールの便利さ> ありがちな展開としては、ワインや生酒が好きなのだけれ
当たり前の評価を疑おう。ショパンの協奏曲、第2番の魅力に気付いてほしい!
最近、平野啓一郎さんの『葬送』をかなり久しぶりに再読し、やはり良い小説だなぁと感じ入っている。他人の一挙手一投足を、それぞれの登場人物がどのように見て、その結果、どのような心持ちになるかという人間社会の反応が言葉を尽くされて描かれていて、夢中になる。未読の方には、是非読んでほしい。一見長いけど、そんなこと全然気にならないぐらい充実の作品なので。
<『葬送』のBGMは、もちろんショパンで決まり!
興行再開の歌舞伎座・連獅子。愛之助=親獅子の慈愛に満ちた父性と、歌之助のナイストライ。
というわけで、歌舞伎座での八月花形歌舞伎、時勢に鑑み、1部当たり1演目の4部制というイレギュラーな興行の第1部を観てきた。5か月ぶりの歌舞伎興行が威勢よく連獅子で始まるというのは、なかなか乙な企画ではないだろうか。愛之助と壱太郎という組合せも、このようなイレギュラーな状況ならではの取り合わせという感じもあって興味深い。
<開演。アナウンスに続き、愛之助の父性が滲み出る。> この日の開演前のアナ