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利他主義

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『阪大生の宣言文4』刊行

『阪大生の宣言文4』刊行

大阪大学の学生の宣言文第4弾『阪大生の宣言文4:“共生”に関心を持つ38人の学生が目指す社会』が刊行されました。

監修 稲場圭信
編集協力 大原理彩子、
安達夢乃、大野裕貴、中丸萌、松永凌太朗、溝口晴友、森弘樹
Amazon Kindle版 2024年4月

「他の人たちの個人ステイトメントを聞いて、すごく刺激を受けた。みんな何かしらに問題意識をもって自分にできることを考えてそれを共有できたこの

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「人助け指数」最下位の日本 「無自覚の宗教性」若者に期待

「人助け指数」最下位の日本 「無自覚の宗教性」若者に期待

 イギリスの慈善団体チャリティーズ・エイド・ファンデーションが毎年発表している世界人助け指数の報告書がインターネット上で公開されている(WORLD GIVING INDEX 2021)。

 これは、過去1カ月間に「見知らぬ人を助けたか」「寄付をしたか」「ボランティアをしたか」を調査して、国別ランキングをつけて公表しているものた。今回、日本は調査対象114カ国の中で最下位となった。
 2022年参

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大阪大学の学生の宣言文の第2弾『阪大生の宣言文2』刊行

大阪大学の学生の宣言文の第2弾『阪大生の宣言文2』刊行

 大阪大学の学生の宣言文の第2弾が刊行されました。

 これらは、この宣言文に取り組んだ大阪大学の学生たちの声です。阪大生は、何を学び、社会をどのように見ているのでしょうか。

 『阪大生の宣言文2:今を生きる学生の目指す社会』その思いが皆様の心にも響くことを願っています。

 本書の収益は社会貢献に使わせて頂きます。たとえ少額でもそれを社会貢献に活用するということで、授業で学生たちが考えた利他の

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ネット世界だけでは無理。多様な意見、異なる価値観に出会い、共同作業をする場が必要。

ネット世界だけでは無理。多様な意見、異なる価値観に出会い、共同作業をする場が必要。

 現代の日本社会に「分断」はあるのか。あるとすればどのような意味で、どのような形で私たちの生きる社会に存在し、影響を与えているのか。11月、インターネットの影響力を研究する社会学者、社会心理学者が『ネット社会と民主主義~「分断」問題を調査データから検証する』(辻大介編、有斐閣)を上梓した。

 インターネットが民主主義の分断を促進するように作用しているのか。同書では、2019年に実施した全国調査と

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『阪大生の宣言文 今を生きる学生の目指す社会』収益寄付報告

『阪大生の宣言文 今を生きる学生の目指す社会』収益寄付報告

『阪大生の宣言文 今を生きる学生の目指す社会』をご購入くださった皆さま、ありがとうございました。

「想像以上にこの世の中には優しさに溢れており、その優しさに気がつくことができてよかった」「普段の生活では聞くことのできない個々の決意を知ることができて、大学で学ぶ面白さを改めて実感」、「みんなが思い描く社会が実現したらどんなに素敵な社会になるのだろう」、「自分のやりたいこと大事にしたいことを話し聴く

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知は発明・生産され、智恵は発見・発掘される

知は発明・生産され、智恵は発見・発掘される

 今、世の中に多くの社会的課題が山積している。しかし、政治の世界は国民の声に耳を傾けているだろうか。筆者が身を置く人文学・社会科学の世界は応答できているだろうか。

 学問の世界では専門領域のタコつぼ化が指摘され学際性の重要性が唱えられて久しい。現実はどうか。昨年度後半から「未来社会を見据えて、そこで求められる新しい考え方や技術、社会的課題を提示するとともに、人文学・社会科学を軸とした学術知を共創

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「住みたかとよね。景色が変わっても ここが安心するとよ」

「住みたかとよね。景色が変わっても ここが安心するとよ」

「球磨川に生きる 熊本 神瀬 豪雨1年の記録」
(NHK「目撃!にっぽん)

「こうのせ再生委員会」代表の岩崎哲秀さん

さしより 住むところば (何より住むところを早く)
これが委員会の総意。

球磨村 松谷浩一村長

時間ははっきり いつぐらいまでということは言えませんけれど、確実に住めるような場所に今後なっていくのは間違いこざいません

 全長115キロの球磨川の氾濫。被害は流域全体に及び、

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心の持ちよう

心の持ちよう

 人間には期待や希望とともに不安や心配もあります。心配というものは、自らの心によって次から次へと生み出されます。希望も同じです。どのような苦難にあっても希望を持てる人もあれば、平穏無事の生活にありながら常に先を心配する人もいます。心配性という言葉もあるくらいです。心配や希望は誰かが与えるのではなく、心の持ちようで自らの心が生み出すのであれば、希望をたくさん生み出して前向きに生きたいと思います。

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おもてなし

おもてなし

 この言葉ありましたね。もうひと昔といった感がありますが。

 もう何年も前のことです。北米出張で日本の航空会社の飛行機に乗りました。その際、その航空会社のサービス向上の教育係がモニターのために搭乗しており、食事や客室乗務員のサービスに関して私に意見を求めてきました。サービス向上のために意見を求められたので、少し間をおいて、きちんと答えました。

「国際競争が激しい今、コスト削減は必要なこと。食事

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変わる力

変わる力

 わが子のために、可能であれば、少しでも良い環境をと願うのが親です。ロンドンに住むイギリス人の友人は、以前、娘の学校のために引っ越し、所属する教会も変えました。子どもの教育のために、評判の良い学校のある校区にわざわざ引っ越すということも聞く話です。まるで孟母三遷の現代版です。中国、戦国時代の思想家である孟子の母親は、お墓の近くに住んでいた時、孟子が葬式の真似ばかりするので、市場の近くに引っ越しまし

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伝える

伝える

 あるNPO法人のスタッフの方から素敵な話を聞きました。その方は、市営の駐輪場の管理をしています。地域社会を良くしたいと、駐輪場を通りかかる小学生たちにも「おはよう」と声掛けをしたそうです。無視する子どももあったようですが、次第に挨拶を返すようになったそうです。
 ある日、母親と子が一緒に来ました。「この人?」と母親が子に聞き、その子がうなずくと「おかげさまで、学校でも、地域でも、あいさつが元気に

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年月をかけて育むもの

年月をかけて育むもの

 もう随分と前のことです。ハワイ州オアフ島のホノルルに出張しました。常夏の島、ハワイとはいえ、スーツケースには書類や文献資料が鎮座し、水着などは入っていません。ハワイで海にも入れない・・・残念。空き時間にホノルル空港から5分ほどのところにあるモアナルア・ガーデン・パークに向かいました。
 そこは、24エーカー、東京ドームでいうとおよそ2個分の広さをもつ私有の一般公開庭園です。もともとはハワイ王国を

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なぜ変われないのか

なぜ変われないのか

 今まさに読むべき1冊だ。山本七平は、イザヤ・ベンダサンの名前で出版した『日本人とユダヤ人』がベストセラーになり知られるようになった。『「空気」の研究』や『日本人とは何か』など日本人論を展開した。本書『なぜ日本は変われないのか 日本型民主主義の構造』は、1975年から1976年にわたって連載された「日本型民主主義の構造」を編集して、2011年に一冊の本として刊行されたものである。今から45年も前の

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「助かる」【note】で社会貢献にチャレンジ #利他のエバンジェリスト

「助かる」【note】で社会貢献にチャレンジ #利他のエバンジェリスト

 近年頻発する大災害時のみならず、平常時の支え合いにおいて、自助・共助・公助が大切という認識は広がっている。地域の支え合いの仕組み、地域包括ケアシステムをうまく機能せるには、誰が(主体)、誰を(客体)「助ける」のかを明確にすることが大事だとされる。
 「助ける」は他動詞で、誰かが誰かを「助ける」ということになる。「助けて」もらった受け手としては、「助かる」(自動詞)ことになるわけだが、直接的な誰か

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