いなば博士の玉手箱@利他クリエイター

利他のエバンジェリスト、伝道師としてnoteで社会貢献にチャレンジ💕。利他共生論(おか…

いなば博士の玉手箱@利他クリエイター

利他のエバンジェリスト、伝道師としてnoteで社会貢献にチャレンジ💕。利他共生論(おかげ様の生き方)、防災、宗教の社会貢献がテーマ。稲場圭信:大阪大学大学院教授。主な著書に『利他主義と宗教』https://twitter.com/inabakeishin。よろしくお願いします。

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利他のひろがり

 私の母はもうこの世にはいませんが、利他を考えるきっかけは母でした。20世紀末からの人文学・社会科学の研究は、利他性は社会生活によって学ぶことができるということを示しています。利他を論じた書籍にアプローチの違いはありますが、社会をよくしたいという思いは共通して存在します。日本社会の中にもです。とりわけ若い世代の中にそのような思いがあることを頼もしく感じています。  今、格差社会、分断社会にあって、他者を助ける行為、利他的行為を自己犠牲とは感じない人がいます。あるところでは、

    • 『阪大生の宣言文4』刊行

      大阪大学の学生の宣言文第4弾『阪大生の宣言文4:“共生”に関心を持つ38人の学生が目指す社会』が刊行されました。 監修 稲場圭信 編集協力 大原理彩子、 安達夢乃、大野裕貴、中丸萌、松永凌太朗、溝口晴友、森弘樹 Amazon Kindle版 2024年4月 「他の人たちの個人ステイトメントを聞いて、すごく刺激を受けた。みんな何かしらに問題意識をもって自分にできることを考えてそれを共有できたこの時間は、やりたい分野、作りたい社会が違っていても自分にとって「仲間」意識というか

      • 関東大震災から百年 神社・宗教と自然災害

        稲場「今、自衛隊は、被災地に野外風呂を設置しますが、関東大震災のときは神社の敷地内にバラックや入浴施設などを建てちゃったわけでせう。やはりかういふ歴史を、もう一度いま百年といふ節目の時に振り返る必要があります。百年前にかういふことができてゐて、今の日本はどうですかと。一部の人だけではなくて国民全体がさういふ認識を持って、災害復興時には国が予算をつけて、地域コミュニティの安全・安心のために取り組む気運を作っていかなければ駄目だと思ひます。」 避難所としての神社 稲場「災害時

        • 「宗教施設を避難場所に」、「倒壊と火災が東京を襲う 首都直下地震に備える」(『AERA』、2023年8月28日号、p.13.) 

          以下、関連です。

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        • リスク社会と宗教
          5本

        記事

          『阪大生の宣言文3』刊行

          大阪大学の学生の宣言文の第3弾『阪大生の宣言文3:“共生”に関心を持つ35人の学生が目指す社会』が刊行されました。 監修 稲場圭信 編集協力 辻和花、神谷侑希、森嶋里穂、油井健之祐 Amazon Kindle版 2023年6月 Amazon Services International, Inc.  これらはこの3年間に「共生社会論」の授業を受けた学生の声です。大阪大学の学生は、何を学び、社会をどのように見ているのでしょうか。  学生たちの思いが皆様の心にも響くことを願

          「人助け指数」最下位の日本 「無自覚の宗教性」若者に期待

           イギリスの慈善団体チャリティーズ・エイド・ファンデーションが毎年発表している世界人助け指数の報告書がインターネット上で公開されている(WORLD GIVING INDEX 2021)。  これは、過去1カ月間に「見知らぬ人を助けたか」「寄付をしたか」「ボランティアをしたか」を調査して、国別ランキングをつけて公表しているものた。今回、日本は調査対象114カ国の中で最下位となった。  2022年参院選にむけて、この調査結果を朝日新聞が取り上げ、格差が広がる社会にあって必要なこ

          「人助け指数」最下位の日本 「無自覚の宗教性」若者に期待

          宗教施設と自治体の災害時協力に関する国の見解

          寺院および神社など宗教施設と自治体の災害時協力の輪がひろがっています。宗教団体・施設と自治体の災害時協定、災害時協力に関して、以下、令和4年4月15日「文部科学委員会」における末松文部科学大臣および小寺大臣政務官の発言を紹介します。 末松国務大臣@令和4年4月15日「文部科学委員会」 「地方公共団体の中には、宗教団体と災害協定を締結するなどして、宗教施設を指定避難所として活用しているところもあると承知をいたしております。宗教団体が地方公共団体と連携しましてこうした社会貢献

          宗教施設と自治体の災害時協力に関する国の見解

          宗教施設が自治体と災害協定を結ぶ際の留意

          遺体の一時安置所における枕経等の読経 愛知県岡崎市が市仏教会と「災害時における被災者支援活動の協力に関する協定」を締結しています。災害時に必要が生じたときに、岡崎市が市仏教会に要請する協力事項のひとつに「遺体の一時安置所における枕経等の読経」があります。驚かれる人も多いのではないでしょうか。  協力要請の内容の第一は「被災者及び帰宅困難者を一時的に受け入れることを目的とした、災害時協力避難場所としての場所の提供」です。協力要請に「遺体の一時安置所における枕経等の読経」があるの

          宗教施設が自治体と災害協定を結ぶ際の留意

          大阪大学の学生の宣言文の第2弾『阪大生の宣言文2』刊行

           大阪大学の学生の宣言文の第2弾が刊行されました。  これらは、この宣言文に取り組んだ大阪大学の学生たちの声です。阪大生は、何を学び、社会をどのように見ているのでしょうか。  『阪大生の宣言文2:今を生きる学生の目指す社会』その思いが皆様の心にも響くことを願っています。  本書の収益は社会貢献に使わせて頂きます。たとえ少額でもそれを社会貢献に活用するということで、授業で学生たちが考えた利他の実践、社会的力にする取り組みの社会学習の場でもあります。編集協力の学生たちとどの

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          つながる知と知の響き合い 『MIRATUKU FORUM ARCHIVES 2016-2019 ミラツクが500人と考えた未来のこと つながる知と知の響き合い』

           さすが、ミラツク! 素敵な装丁の素晴らしい本が刊行されました。 紹介文を書こうかと思ったら、以下にすでにありました。 さすが、写真も素晴らしい。光の入り方で、この本の装丁の美しさがさらに際立っています。  私も2019年12月にフォーラムに参加しました。それが本書の中に収められています。 ・稲場圭信、杉下智彦、内野加奈子、佐分利応貴「未来をより良くしていくために。社会の盲点とどう関係性を築き直すか?」pp.533-554.  ライターの平川友紀さんが担当してください

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          市民が助かる減災

           今年は、市民が助かる減災のために、行政に加えて社会福祉協議会、自治会などの地縁団体、地域資源としての宗教施設、企業、学校、防災士、宗教者など多様な方々と連携して、未来共生災害救援マップ(災救マップ)の社会実装をより一層進めます。多様性によるイノベーションです。  未来の共生は、地域住民が主体で、地域住民のためのもので、行政の仕事の効率化、合理化のためではありません。避難所を開設運営し、時々刻々と変わる避難所の状況を役所の対策本部および市民に通知する、これらをすべて市職員だけ

          ネット世界だけでは無理。多様な意見、異なる価値観に出会い、共同作業をする場が必要。

           現代の日本社会に「分断」はあるのか。あるとすればどのような意味で、どのような形で私たちの生きる社会に存在し、影響を与えているのか。11月、インターネットの影響力を研究する社会学者、社会心理学者が『ネット社会と民主主義~「分断」問題を調査データから検証する』(辻大介編、有斐閣)を上梓した。  インターネットが民主主義の分断を促進するように作用しているのか。同書では、2019年に実施した全国調査と17年から19年に実施したウェブ調査の結果を分析し、検証している。まさに「分断」

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          島根県における宗教施設の災害時協力

           2021年12月9日、島根県安来市と安来市仏教会が「災害時等における一時退避施設としての使用に関する協定書」を締結しました。  今回の協定では、安来市仏教会に加盟する36か所の寺を一時退避施設として1週間程度の利用(たとえば、本堂、トイレ、駐車場など利用)を想定しています。  以下のように全国でも珍しいとの報道がありますが、寺院および神社など宗教施設と行政の災害時協力の輪がひろがっています。素晴らしい取り組みです。  実は、島根県では、益田市が市内50ほどの宗教施設と

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          『阪大生の宣言文 今を生きる学生の目指す社会』収益寄付報告

          『阪大生の宣言文 今を生きる学生の目指す社会』をご購入くださった皆さま、ありがとうございました。 「想像以上にこの世の中には優しさに溢れており、その優しさに気がつくことができてよかった」「普段の生活では聞くことのできない個々の決意を知ることができて、大学で学ぶ面白さを改めて実感」、「みんなが思い描く社会が実現したらどんなに素敵な社会になるのだろう」、「自分のやりたいこと大事にしたいことを話し聴くような機会はあまりないので楽しかった」 上記は、この宣言文に取り組んだ大阪大学

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          知は発明・生産され、智恵は発見・発掘される

           今、世の中に多くの社会的課題が山積している。しかし、政治の世界は国民の声に耳を傾けているだろうか。筆者が身を置く人文学・社会科学の世界は応答できているだろうか。  学問の世界では専門領域のタコつぼ化が指摘され学際性の重要性が唱えられて久しい。現実はどうか。昨年度後半から「未来社会を見据えて、そこで求められる新しい考え方や技術、社会的課題を提示するとともに、人文学・社会科学を軸とした学術知を共創する」ことを目的とする文部科学省事業が実施されている。  この「学術知共創プロ

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          宗教vs(?)防災×自治体×科学技術~新たな災害時協力の提案~

          9月27日(月)20時から、「オンライン市役所防災対策課」のzoomオンラインで話します。 タイトル 「宗教vs(?)防災×自治体×科学技術〜新たな災害時協力の提案〜」 参加無料ですが、以下で申し込みが必要です。 ------------------------------------ 地域防災だよりNo.1793(拡散希望) ○毎週月曜日20時からは「防災関係人口」全員集合、オンライン市役所防災対策課公開ミーティングです。 ○次回(9/27)は、「防災×ダイバーシティ」

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