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動物の問題

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#アニマルウェルフェア

「野宿者にヴィーガン弁当を配ろう!」企画レポ①準備編

「野宿者にヴィーガン弁当を配ろう!」企画レポ①準備編

アメリカには「ブラック・ヴィーガニズム」というムーブメントがあります。安い加工肉食品による健康被害が、低所得者層のアフリカン・アメリカンに偏って生じてしまうという社会問題が起きており、そういった健康不公正への対抗と同時に、「ヴィーガニズム=白人の中流階級・上流階級による排他的な思想」といった固定観念を打ち壊すような動きです。

*詳しくは以下の記事参照のこと

日本においても現在のヴィーガニズムは

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ヴィーガン・ベジタリアンの人権③「植物はかわいそうじゃないのかよ?」に答えます

ヴィーガン・ベジタリアンの人権③「植物はかわいそうじゃないのかよ?」に答えます

※②の続きです。

ヴィーガン・ベジタリアンへの偏見や不快な質問

——引き続きアンケートを見ていきます。

「実生活の中で偏見を持たれることや不快な質問されることありますか? 具体的なエピソードやセリフがあれば教えてください」という質問がありました。これに対して一番多かった回答は、皆さん薄々おわかりかと思いますが・・・

「植物はかわいそうじゃないんですか?」ですね。

「宗教と思われる」「変な

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ヴィーガン・ベジタリアンの人権——アンケート調査結果② 知られていない苦悩編  【ゲスト:ASー動物の倫理と哲学のメディア】

ヴィーガン・ベジタリアンの人権——アンケート調査結果② 知られていない苦悩編  【ゲスト:ASー動物の倫理と哲学のメディア】

*①の続きです。

ヴィーガン・ベジタリアンの抱える苦痛
——ではアンケートの後半を見ていきましょう。

今も話が出たように、“偉そうな存在”みたいに見られがちなヴィーガンですけども、普段どれくらい我々ヴィーガンやベジタリアンが苦しんでるかということって、一般の人に全然知られていないと思うんです。今回はぜひ、わたしたちがどういったところで苦しんでいるのかを明らかにしていきたいと思います。

まず、

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世界の動物運動から⑤不完全さをシェアする【ゲスト:アニマル・アライアンス・アジア】

世界の動物運動から⑤不完全さをシェアする【ゲスト:アニマル・アライアンス・アジア】

*④の続きです。

友達を運動に巻き込む方法
関 わたしは今26歳くらいなんですけど、どうやって友達をヴィーガニズムや社会運動に巻き込んでいけるかなと考えます。小中学校は普通の公立高校に通ってたんですが、教室の中でさえ自分の意見を言えない子ばかりで、ちょっとでも目立つと気まずい雰囲気になったり、変な目で見られたりする環境がありました。クラスの中の1人や2人が、レナさんやわたしみたいに何か表現を始め

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世界の動物運動から④アジア諸国での比較【ゲスト:アニマル・アライアンス・アジア】

世界の動物運動から④アジア諸国での比較【ゲスト:アニマル・アライアンス・アジア】

*③の続きです。

運動と資金の問題

生田 活動とお金の問題は非常に大きな問題だと思います。僕は主に野宿者ネットワークで活動しているんですが、基本的に全部ボランティアです。寄付の他は、寝袋を買うための助成金を取ったこともあるぐらいで、活動は無給です。これはいい面も悪い面もあって、もらうお金がないと、紐がつかないので自由にできる。行政への批判とかは気にせずできる。一方で、フルタイムで活動することが

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世界の動物運動から③カナダ編【ゲスト:アニマル・アライアンス・アジア】

世界の動物運動から③カナダ編【ゲスト:アニマル・アライアンス・アジア】

*②の続きです。

批判的動物研究

——では次にかほさん、ヴィーガンになった理由や、活動の経験について教えてください。

かほ わたしは日本の岐阜県で生まれ育って、高校を卒業後にカナダに留学して、それからずっとカナダに住んでいます。ヴィーガンになった大きなきっかけは、学部生のときに社会学を専攻していたんですけど、社会学ではいろんな社会問題を扱うので、人種差別や性差別、資本主義や植民地主義によって

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世界の動物運動から②イギリス編(あとちょっとスペイン)【ゲスト:アニマル・アライアンス・アジア】

世界の動物運動から②イギリス編(あとちょっとスペイン)【ゲスト:アニマル・アライアンス・アジア】

*①の続きです。

アニマル・アライアンス・アジアの設立まで

——では、次にエリーさん。ヴィーガンになったきっかけや活動の経験について教えてください。

エリー わたしは日本で生まれ育って、18歳の時に大学にいくためにイギリスに渡って、それから20年ぐらい住んでいました。去年1年は色々動いてたんですけど、今年からパートナーの関係もあってスペインに移住することになり、今はスペイン語を学んでいるとこ

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世界の動物運動から①アメリカ編【ゲスト:アニマル・アライアンス・アジア】

世界の動物運動から①アメリカ編【ゲスト:アニマル・アライアンス・アジア】

動物問題連続座段階第4回目。今回は世界の動物運動を知るために、海外での活動経験豊富なアニマル・アライアンス・アジアの方々にゲストに来ていただきました。アメリカ、イギリス、カナダやアジア7カ国(+ちょっとスペイン)と、日本での活動を比較し、どういった運動が効果的か、日本にはどのような問題があるかなどを議論していきます。

※動画の内容を一部、加筆・修正しています。

アニマル・アライアンス・アジアの

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動物園を考える③ わたしたちは動物の何を見ているのか? 【ゲスト:佐藤栄記さん(動物ジャーナリスト)】

動物園を考える③ わたしたちは動物の何を見ているのか? 【ゲスト:佐藤栄記さん(動物ジャーナリスト)】

*②の続きです。

※動画の内容を一部、加筆・修正しています。
   

戦争のプロパガンダに利用された動物たち——平和外交としてのパンダ

——動物たちに芸をさせるというのもグロテスクですよね。まるで楽しんでやってるかのように演出されてしまって。

栗田 今日の映画『かわいそうな象を知っていますか』の最初で、当時は象に「バンザイ」をさせていた、というのがいろいろ象徴していると思いました。人間の社

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動物園を考える② 【ゲスト:佐藤栄記さん(動物ジャーナリスト)】——動物にまつわる思い込み

動物園を考える② 【ゲスト:佐藤栄記さん(動物ジャーナリスト)】——動物にまつわる思い込み

※ ①のつづきです。

※動画の内容を一部、加筆・修正しています。
   

動物園の新しいとりくみ——人間主体から動物主体に

——動物園のように、常に人間に見られているような状態というのは、野生動物たちにとってストレスになるんでしょうか?

佐藤 もちろんなります。有名なのは、日本で最初にパンダ(カンカンとランラン)がきた時は、すごい熱狂の中でぜーぜー言っちゃってたらしいです。最初からそういう

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動物園を考える①【ゲスト:佐藤栄記さん(動物ジャーナリスト)】——動物たちの本来の生態、動物園の歴史

動物園を考える①【ゲスト:佐藤栄記さん(動物ジャーナリスト)】——動物たちの本来の生態、動物園の歴史

2023年下半期からはじめたシリーズ「動物問題連続座談会」。第3回目は、ドキュメンタリー映画『かわいそうな象を知っていますか』上映会を開催し、この映画の監督であり動物ジャーナリストである佐藤栄記さんをアフタートークにお呼びしました。レギュラーメンバーとともに、動物たちの生態と動物園の実際、動物園と教育との結びつき、植民地主義との類似性など、動物園のあり方についてとことん議論しています。

※動画の

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ヴィーガン・ベジタリアン、もしくはそれらにご興味のある方へ、アンケート実施中です!

ヴィーガン・ベジタリアン、もしくはそれらにご興味のある方へ、アンケート実施中です!

日本でも少しずつヴィーガニズムが普及し、「ヴィーガン」という言葉もめずらしいものではなくなってきました。しかしながら、まだまだヴィーガンやベジタリアンにとって住みやすいとはいいがたいのが現状。今回は、ヴィーガンやベジタリアンの人権という観点から、動物運動の広め方を考えてきます。

動物問題連続座談会 視聴者募集※ヴィーガン・ベジタリアンや、それらを目指しているけど悩んでいる方限定。

2月1日(木

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動物から考える日本の暴力構造③後半 壁を打ち崩すために 【ゲスト:アニマルライツセンター】

動物から考える日本の暴力構造③後半 壁を打ち崩すために 【ゲスト:アニマルライツセンター】

*前半の続きです。

なんで日本はアジアの中でも遅れているの?

関 わたしは今年、台湾に行く機会があったのですが、台湾ではヴィーガンレストランもたくさんあるし、どのレストランに行っても1品は必ずヴィーガン対応のご飯がありました。さっき、韓国とタイはブロイラーの飼育面積にちゃんと法律があるという話もありましたが、欧米だけではなく他のアジアの国と比べても日本は遅れているんだと驚いています。それにはい

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動物から考える日本の暴力構造③前半 日本が遅れている理由もろもろ 【ゲスト:アニマルライツセンター】

動物から考える日本の暴力構造③前半 日本が遅れている理由もろもろ 【ゲスト:アニマルライツセンター】

2023年下半期からはじめたシリーズ「動物問題連続座談会」。第2回目は、実際に日本の動物たちの現状を大きく変えてきたNPO法人アニマルライツセンターより、代表の岡田千尋さん・スタッフの鈴木萌さんをゲストにお呼びし、日本における動物の扱いにはどういった問題があるのか、また、それらがハラスメント運動・野宿者支援・フェミニズムなどとどういった共通点や差異があるかを比較しながら、日本の暴力の構造的な問題に

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