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おりたらあかんの読書ログ

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年間100冊を15年間続けてきました。でも、本当に知らないことばかり!というかアウトプットがまだ少ないなあと感じています。過去に読んだ本は「読書ログ」としてまとめてきたので、それ…
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#韓国

尹健次「『在日』を生きるとは」岩波書店

尹健次「『在日』を生きるとは」岩波書店

先週、昨年起きた「ウトロ地区放火事件」に対する実刑判決が下った。この事件は京都府宇治市にある在日コリアンの居住区に「ウトロ平和祈念館」が建てられることを知り、それに抗議する形でかなり衝動的に放火に走った青年の犯行だった。在日=反日というSNSの主張があたかも真実のように思い込み、ウトロの歴史も実情もしらないまま憎悪を膨らませたというわけだ。

近年、在日は日韓関係や日朝関係が悪化したりすると、真っ

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岩淵秀樹「韓国のグローバル人材養成力」講談社現代新書

岩淵秀樹「韓国のグローバル人材養成力」講談社現代新書


「そもそも国という仕組みは複雑である。それをわかりやすいシナリオで語ることは本来不可能であり、特に何か一つの要素に還元しようとするのは危険である。国を語る上では、一つの見方で断定せずに、多様な見方、色々な要素の組み合わせで捉える必要がある」(KAIST金甲秀教授)

ここ数年「韓国から学ぶことなど何もない」といった乱暴かつ幼稚な説を唱える方が多々いらっしゃるが、本当にそうだろうか?

確かに厳し

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千葉望「ワダエミ 世界で仕事をするということ」新潮社

千葉望「ワダエミ 世界で仕事をするということ」新潮社

黒澤明監督「乱」の衣装デザインでアカデミー賞に輝き、北京オリンピックでは開会式パフォーマンスの衣装デザインを中国の若手演出監督、陸川監督の情熱的なオファーで引き受け、中国のアーチスト達の尊敬を集めた。京都の実業家の家に生まれ、気鋭の演出家和田勉と結婚し、自分の哲学を貫き通してきた。ワダエミの哲学とは「自分の言葉で、自分の意見を語ること」「組織に頼らず、一人で立ち向かうこと」「一度信頼した人は徹底的

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内沼晋太郎編著「本の未来を探す旅 ソウル」朝日出版社

内沼晋太郎編著「本の未来を探す旅 ソウル」朝日出版社

5年前に呼んだ本だが、感覚はまだ新鮮!当時ソウルで流行った面白い本屋はいま全国でさらにユニークに展開をしている。

韓国の個性的な本屋が熱い!「本の逆襲」を書いた著者がソウルを訪れ、個性的な本屋を探検している。「韓国から学ぶ」という考えに乏しい日本人にはなかなか手がでない本かもしれないが、俺の目にはまっさきに飛び込んできた一冊だった。このムーブメントを日本ではほとんど扱ってない。「韓国の出版界は日

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平井敏晴著 岡本敏子監修「岡本太郎が愛した韓国」アドニス書房

平井敏晴著 岡本敏子監修「岡本太郎が愛した韓国」アドニス書房

1964年11月、俺が生まれた年に岡本太郎は韓国に初めて訪れている。
当時の韓国といえば一般家庭に電気の供給が行き届かないほど困窮し北朝鮮よりも貧しかったころだ。当時のイメージとしては、今の北朝鮮をみつめるような視線だった。しかし、岡本太郎の人間的な肉眼は韓国文化の真髄を見事に見抜いていた。
「ここは人間の本来的生き方のふるさとなのだ」
「貧困、そして苦しい闘いは必ずしも暗さではない。そんな生活の

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伊藤千尋「凛としたアジア」新日本出版社

伊藤千尋「凛としたアジア」新日本出版社

「凛とした」と聞くと、すぐに茨木のり子が浮かぶのだが、ここで取り上げられた国は韓国、ベトナム、フィリピン、スリランカの4カ国。韓国とベトナムはかかわりが深いのですぐにピンときたが、フィリピンとスリランカは意外だった。それだけ俺がまだアジアを知らないということの証左だ。
ドイツ政治週刊誌「シュピーゲル」の元東京支局長であるヴィーラント・ワーグナー氏はこう言っている「昔の日本は前向きだった、今はあらゆ

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高崎宗司「朝鮮の土となった日本人」草風館

高崎宗司「朝鮮の土となった日本人」草風館

県民カレッジの講座で日韓交流に貢献した人物を紹介する内容があって調べてたら、新しい発見があった。日本が朝鮮を植民地支配していた当時、朝鮮の陶磁器の美に感銘し、朝鮮民族博物館を設立した柳宗悦については知っていたが、その柳宗悦をして開眼にいたらせた人物がいたのだ。浅川巧。名前は知っていた。だが「朝鮮の膳」を書いた人物である程度で、漠然としたことしかわからなかった。彼は朝鮮総督府の林業試験所の職員でしか

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법정스님「산에는 꽃이 피네」 동쪽나라法頂「山には花が咲いている」東方の国(出版)

법정스님「산에는 꽃이 피네」 동쪽나라法頂「山には花が咲いている」東方の国(出版)

私が敬愛する法頂!この方は高僧であるが、山の奥で電気もガスもない生活をしながらこのエッセイを書いた。
「物を所有することによって、その物に所有される」という法頂節がここでも随所に見られるのだが、最後のところでパピヨンの話が出ていたのが興味深かった。そう俺が大好きな映画「パピヨン」希望を失わず最後まで脱出に命をかける男の話。失望、挫折に屈しない生き方、これは俺の人生観に直結する。この本ではあまりに多

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