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平井敏晴著 岡本敏子監修「岡本太郎が愛した韓国」アドニス書房

1964年11月、俺が生まれた年に岡本太郎は韓国に初めて訪れている。
当時の韓国といえば一般家庭に電気の供給が行き届かないほど困窮し北朝鮮よりも貧しかったころだ。当時のイメージとしては、今の北朝鮮をみつめるような視線だった。しかし、岡本太郎の人間的な肉眼は韓国文化の真髄を見事に見抜いていた。
「ここは人間の本来的生き方のふるさとなのだ」
「貧困、そして苦しい闘いは必ずしも暗さではない。そんな生活の神秘を
韓国は猛烈につきつける」
俺が12年かけて感じたその世界を瞬間的に感じ取っている。すごい感性だ。半島の運命、日帝時代の傷跡、南北分断の現実といった悲運や悲哀を笑い飛ばすバイタリティ、その楽天的で情に溢れた世界・・それは韓国人の生活に飛び込んでみて初めて分かる世界だ。岡本太郎の言葉一つ一つにとてつもなく親近感を覚える。というか何か運命的な繋がりを感じるのだ。
彼にとてつもなく影響を与えたチャンスンと仮面劇。。それらは70年の大阪万博で太陽の塔として結晶となる。この万博で実際に俺は小学校1年生でこの塔を見ている。
(でも実際はここで迷子になってしまったのだが・・^^!)
韓国の芸術を今後語る上でも大変参考になった一冊!
でも俺にとってはそれ以上のものを感じた一冊でもあった。

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