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【読書感想文】まとめ

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本が好きな中年女性のとるにたらない読書感想文たち。本を読んだ感想や、読んだ後に思い描いた物語を書いています。 子どもの頃から「友だちいないけど本があるから、まぁいいっか」と、思っ… もっと読む
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記事一覧

『SOTNER』を読んで【本好きの読書感想文】

『SOTNER』を読んで【本好きの読書感想文】


本の概要について

本のあらすじ(KEY WARD)

ある一人の男の一生を描いた小説。

本のあらすじ(ストーリー)

STONERを読む意義とは?

果たして彼は幸福であったのか、それとも不幸であったのか。
その生涯において繰り返された不可抗力的な(時には嵐の様な)出来事たちによって成す術もなく薙ぎ倒されていった彼自身を知ったとき、私たち読者が見出すものは何だろう。
人生とは?という問いに対

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向田邦子の『メロンと寸劇』を読んで【本好きの読書感想】

向田邦子の『メロンと寸劇』を読んで【本好きの読書感想】

本の概要

食にまつわるあれこれが、完璧な一つのシーンになって顕われる「食いしん坊エッセイ」
どこか懐かしい気持ちになったりお腹が減ったり。

読むと、心と体が不思議な暖かさで満たされる。
そんな一冊。

゜゚・:.。..。.:・''・:.。. .。.:・゜゚・ ・゜゚・:.。..。.:・''・:.。. .。.:・゜゚・゜゚・ ・゜゚・:.。..。.:・''・:.。.

感想文

向田邦子さんとい

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『塩一トンの読書』を読んで【本好きの読書感想文】

『塩一トンの読書』を読んで【本好きの読書感想文】

須賀敦子からはじまる文学への扉

【本の内容】

「本を読むということについて」

しっかり本と向き合いたいと言っている私だけれど、早々にその言葉の重みを再び無くしそうなくらい日々の忙しさに追われていた。
だからこうしてゆっくりと一日中ダラダラと、この本を読めたことは本当に素敵な事だったと思っている。

須賀敦子さんのこの一冊は、もう随分前にある人から薦められてた。(その人はもしかするとそんな事は

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『バカロレアの哲学』を読んで【本好きの読書感想文】

『バカロレアの哲学』を読んで【本好きの読書感想文】

バカロレアとは?

「バカロレア 仏語: Baccalauréat 」とは、 フランス の 国民教育省 が管理する、高等学校教育の修了を認証する 国家試験のことです。(Wikipedia参照)厳密には別物なのですが、日本で置き換えて考えるのならば、大学入試やセンター試験にあたるものと考えても良いと思います。バカロレアには、以下の3つの種類があり、各々の進路希望に沿って受験をします。

普通バカロレ

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『アントワネット』を読んで【本好きの読書感想】

『アントワネット』を読んで【本好きの読書感想】

#読書の秋2022

この物語は、いささかの勇気をわたしに与えてくれました。

家族のかたちを想像したとき

生きていく上で、
例えば家族と言うものを想像したとき、
私たちはそこにどんな人物を描けば良いのだろうか?

私は幼い頃(多分高校生位までは)自分が子供を産む必要はないと本気で考えていた。それは、子供が嫌いだとか自分が子供を産みたくないとかそういったことではなくて、単純に世の中には、親を必要

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『千年の読書』を読んで【本好きの読書感想】

『千年の読書』を読んで【本好きの読書感想】

【この本を選んだ理由】先日行った蔦屋書店。
沢山の本が(本以外も)そこかしこに魅力的に溢れている。まるでそこはワンダーランド。
あれもこれもと目移りしてしまいながら、どんな本を選ぶのか私自身もわからないままそのメイズを楽しみながらら彷徨ったその果てに辿り着いた答えの一つがこの本でした。

本書では、
幾つかのテーマを章立て、
その中で数冊づつ本の紹介をしてくれています。

「私たちはどうして本を読

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『冷静と情熱のあいだrosso』を読んで【本好きの読書感想】

『冷静と情熱のあいだrosso』を読んで【本好きの読書感想】

ずっとずっと幼い頃からある記憶
大人になってから覚えた記憶

江國香織の描いた小説にある登場人物の想いや過去が、まるでそのまま自分のものであるかのように感じてしまう女性はきっと多いと思う。
わたし自身もずっと子どもの頃から彼女の作品が大好きで、その理由がまさに「懐かしさ」とも言うべき、この不思議な感覚にあるのだと思っている。

そんな彼女の作品を紹介するにあたって。

「冷静と情熱のあいだ」を、久

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『冷静と情熱のあいだblu』を読んで【本好きの読書感想】

『冷静と情熱のあいだblu』を読んで【本好きの読書感想】

愛を描いた小説はたくさんあるけど、
この小説は格別だと思う。

冷たい刃で切り取った現実。
燃えるような記憶。

そのどちらもが、
等しく、狂おしく、愛おしい。

何もかもが、愛おしい。

刹那さに、愛おしい。

芽美もあおいも順正も、
みんなみんな愛おしい。

愛することに生きる人たちの
どうしようもない孤独が
どうしようもなく愛おしい

あおいや芽美へは、もう一度恋をして欲しいと願い、順正には

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『若きウェルテルの悩み』を読んで【本好きの読書感想】

『若きウェルテルの悩み』を読んで【本好きの読書感想】

#読書感想文

若いときは、辛い思いをすることがあります。

若いからこそする、辛い思いがあります。

例えば恋の苦しみが、そのまま生きる苦しみになる様に。生きる意味を考えて、生きる意味を見失ってしまう様に。

そんな時代を人は過ごして大人になります。

ですが残念なことに、大人になったところで恋が苦しいのも、生きる意味が見つからないのも変わりません。

ただ歳を取ると何故かその苦しみに耐えられる

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本好きの読書感想【蛇にピアス/金原ひとみ】

本好きの読書感想【蛇にピアス/金原ひとみ】

痛い。とにかく痛い。

最初の数ページ、

文字から得られる情報全ては

私の全ての感覚に痛みをもたらした。

只ひたすら痛くて、

なぜかお尻の辺りがゾワゾワぞくぞくしてきたので、

思わず椅子に乗せていた弛んだそれをきゅっと浮かせてしまった。

痛いは痛い。

しかしそこに暗い不安が存在する事は間違い無く、

その為予定調和的と言えるほどに

ぼんやりとその先が見えてしまうような感覚もあった。

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本好きの読書感想【くるまの娘】

本好きの読書感想【くるまの娘】

宇佐美さんの小説を読んだのはこれが3冊目だ。
一番最初に「かか」を読み、
その熱量と文章の力強さに眩暈がしそうな程、嬉しくなった。
二冊目に読んだ「推し、燃ゆ」は芥川賞受賞作でもあり、その筆の力に私は文字通り背骨を砕かれる感覚を受けとった。
そして今回「くるまの娘」を読んで、
やっぱり私は嬉しくなった。

内容に関しては、一貫して前作、前々作と同様に「生きづらさ」を抱えた人間の儘ならなさや苦しみ、

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本好きの読書感想【東京の空の下オムレツの匂いは流れる】

本好きの読書感想【東京の空の下オムレツの匂いは流れる】

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○チーズ入りオムレツ(クリームソース)
○野菜オムレツ(トマトソース)
○揚げじゃがいものオムレツ(トマトソース)
○ベーコンオムレツ(トマトソース)
○きのこのオムレツ(クリームソース)

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果たして、石井好子さんみたいなご婦人は何処にいらっしゃるのでしょうか。
と思いながら読みました。
少なくとも私は違う(そ

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本好きの読書感想⑤【物語のなかとそと】

本好きの読書感想⑤【物語のなかとそと】

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 ー私がいま帰ろうとしている場所は、   ー

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※中年女性の戯言です※
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恋人の不在について。

朝から次の日までまる一晩、
その不在という存在が少し嬉しい。

わたしはその日ほんの少し身軽になれる。
食べたくなければ食べなくても良いし、
一日中寝ていても良い。
じっと黙って本を読んでいても

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本好きの読書感想③【空飛び猫シリーズ】

本好きの読書感想③【空飛び猫シリーズ】

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 「私はこの屋上庭園でひなたぼっこをしながら、
この子がお前たちと一緒に、自由に空を飛びまわっている夢でも見るわ。
それが私にとっての幸福というものなのよ」
72p( CATWINGS RETURN )
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猫、可愛い。
表紙を見て、すぐに手に取りレジへ向かったのは猫好きなら誰でもわかると思う。(村上春樹訳ってい

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