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猫と金木犀と私の地球会議 【最終話】
「学校で学ぶことだっていいし、学ばないことだっていい。必ず笑顔で挨拶をするだっていい。むしろ、これは最も難しく素晴らしいことなんだけどね。君が好きなこと、君が嬉しくなること、得意なこと・・・」
「例えば・・・ただ、石を集めるとかでもいいの?私、石が好きなんだけど」
「もちろん!石を集めるのが『大好き』なら、石を集めている方が勉強するよりよっぽどいい。ただ、もし『好き』程度のものなら、勉強もした方が
猫と金木犀と私の地球会議⑥
「了解!」と猫が縁側のふちに体をすり寄せ、金木犀の根本に座った。
「それには想像力が必要なんだ。そして、寄り添う心」
金木犀がまた、話をしてくれた。
「かつて、偉大な大樹が人間に大きな気づきを与えた。生命の樹や菩提樹。人間はいつも、人間に視点を合わせる。どこまでも、人間は自分主義。最近よく聞く発達障害?ASDを自分主義とか言っているけれど・・・私たちからすれば、人間はみんな自分主義よ。だって、ま
猫と金木犀と私の地球会議⑤
「物事は基本、今の君より低ければ君は落ち込む。君より高いと君を上げてくれる。それは全部じゃなくて、たった一部でもいい話。さっき私が空高くまで連れて行ったでしょ?その方法は、言葉だったり出来事だったり、そういった噂話、情報、まぁ人そのものだったりするけどね。とにかく、相手が君より高ければ、高いところまで見えるようになる。それはいろんな世界のいろんな景色に例えられる」
また、金木犀が話した。
「だから
猫と金木犀と私の地球会議④
「私は初めてだけど」
そう答えると、金木犀が「お久しぶりね。元気にしてたの?最近みなかったね」と軽快に返した。
「いやー、ここに来るのは久しぶりだよ。だって君たちが引っ越してきただろ?それまではよくここで昼寝してたんだよ。金木犀の香りがよくてね」
「そうね。ここでよく、二人でのんびり地球会議していたね」
「ああ!あそこの魚屋が、毎日おいしい魚をバケツに入れて出しておいてくれる。食べていいのかと思っ
猫と金木犀と私の地球会議③
今度は世界全体を見ながら、細かな町の様子まで確認できる。
「あれ?あの子、町の陰で・・・ゴミ山で暮らしているのかな。学校には行ってないみたい」
「あんなに緑がいっぱいの山奥に、ずいぶんショベルカーが入っていくんだね」
次の瞬間、私はさっきまでいたお気に入りの場所に座っていた。
そして、金木犀がこう話し始めた。
「ほらね。君は行ったことはなくても、こうして世界を上から眺めることができる。それ
猫と金木犀と私の地球会議②
「きこえているのね?ありがとう。」
「いえいえ。こちらこそです。あなたはとっても美しいですね!」
「まあ!そんなこと、人間に初めて言われた」
「そうなの?去年引っ越ししてきてから、ずっと思っていましたよ。家はオンボロだけど」
「ありがとう。君は、寄り添ってくれたのね」
「寄り添う?そんなことは意識してなかったけど」
私はどうやら、金木犀と会話をしているみたいだ。
「人間って、植物というか木とい
猫と金木犀と私の地球会議①
夜中まで強い雨が降っていたが、今朝は雨もあがりもわっとした空気が流れていた。
台風15号はどうやら通り過ぎたようだ。
今日は朝から自分の部屋に閉じこもっていた。
ママは学校なんか休んでいい、とは言ったものの、少しだけ困った顔をしていた。
この家に引っ越してちょうど1年。
都会から移ってきた田舎町。夕方6時になると町内ところどころにあるスピーカーから「ふるさと」が流れ始め、「パー