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猫と金木犀と私の地球会議 【最終話】
「学校で学ぶことだっていいし、学ばないことだっていい。必ず笑顔で挨拶をするだっていい。むしろ、これは最も難しく素晴らしいことなんだけどね。君が好きなこと、君が嬉しくなること、得意なこと・・・」
「例えば・・・ただ、石を集めるとかでもいいの?私、石が好きなんだけど」
「もちろん!石を集めるのが『大好き』なら、石を集めている方が勉強するよりよっぽどいい。ただ、もし『好き』程度のものなら、勉強もした方がいいかもね。嫌いなら無理にする必要はないけど」
「どうして?」
「学校で学ぶ勉強って。君が住んでいる日本なら特にそうだと思うけど。まだまだ・・・色々変わらない気がするの。つまり、一人ひとりに寄り添っていないというか、みんなが先生の授業に寄り添う感じだと思うの。これは先生の問題じゃなくて、教育のシステムの問題。ずっと変わらないってむしろ自然じゃないのにね。ごめんなさい、ちょっと話がずれたね。とにかく、『ただ好き』程度のものなら、ひとまず勉強した方がいい。勉強はそれ自体に意味があるというより、想像力とはまた違う、君の脳を進化させてくれる練習になるし、一つのツールだから。そして、それはまた、君が必要になった時により大きな想像力に繋がっていったりするものなんだよね」
私はなんとなく、ママが勉強をさせたい意味がわかった気がした。
少し、言葉が足らなすぎるなとも思ったが、ママの想いが伝わってきた。
突然、別次元から戻ってきたように、スマホから音楽が流れてきた。
友だちのワダから電話だ。
「珍しい着信音だね!」
猫がしっぽを立てながら、金木犀の周りをぐるぐると歩き始めた。
「最近のお気に入り。SUGEEって人の曲。この人ね、勉強して大学出た後、世界のシャーマンに会いに行くって。沖縄、アジア、アフリカって・・・世界中を旅したんだって!そうしてミュージシャンになったの」
「そう。じゃあ、間違いなくマザーアースの声に従って旅をしたんでしょうね」
金木犀が風に揺れて、まるでダンスを踊っているみたいで、とても美しかった。
「どうやらワダも学校休んだみたい。今日は一日、秘密基地にいるって電話」
私が二人にそう言うと、
「友達が待っているんだね?行っておいで。そこには二人を繋ぐ心地よい風が吹いているんでしょう。留守は守っておくよ」
「ありがとう!」
気づいたら西日がさして、空がオレンジ色に染まっていた。
耳を澄ますと、遠くで豆腐売りの笛の音が聞こえ始めた。
もうそろそろ、町には「ふるさと」が流れる。
「人間なんてこんなものね」
私は口角を上げて自転車のグリップを握りしめ、勢いよくペダルを強く踏み込んだ。
おしまい。
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読んで頂き、誠にありがとうございました🙇♀️未来の地球を生きる方々に活かしていきたいと思います。時々、アイスカフェラテ代に使わせて頂きます。初めてサポートして下さった方が、そうおっしゃったので🤭🎶