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猫と金木犀と私の地球会議③

 今度は世界全体を見ながら、細かな町の様子まで確認できる。
「あれ?あの子、町の陰で・・・ゴミ山で暮らしているのかな。学校には行ってないみたい」
「あんなに緑がいっぱいの山奥に、ずいぶんショベルカーが入っていくんだね」

 次の瞬間、私はさっきまでいたお気に入りの場所に座っていた。
 そして、金木犀がこう話し始めた。
「ほらね。君は行ったことはなくても、こうして世界を上から眺めることができる。それが想像力だよ。君は生まれる時、すでに素晴らしいものをたくさん持って生まれてきている。脳だ。そして、心。あの子が学校に行ってないことを心配する心も持っている。行ってみたい場所があったら、行くためにその手と足を使えばいいんだよ」
 私ははっとした。
「君たち人間が作ったモノと同じくらい、いやそれ以上に、人間には誰しも神様が与えた才能が溢れている。そもそも君たち人間に、神様はたくさんギフトを渡しているはずなんだ。なのに、どうして足りない足りないといつも騒いでいるんでしょうね」
 金木犀がうつむいているように見えた。
「どうしていつも、誰かから奪ったりするんでしょう」

 私は、返す言葉が見当たらなかった。
「今まで、こうして想像力を使ったことがある?人間はいつもいつも、忙しいが口癖だからね。あと、お金がないもよく聞くわ。君たちは、君たちがつくった最新のパソコンと、何ら変わらないんだよ。だって、君たち人間がつくったものでしょう。もう一度言うね。神様は人間に、最高に性能のよい脳を渡しているの。ただ、使っていないだけ、使い方を知らなかっただけなんだよ」
 金木犀は、何かに集中しているように見えた。

「歴史はいつも変わっていく。まるで水のように流れていく。綺麗な水もあれば、泥水もある。未来の歴史もまた、今を生きる君たちがつくっていく。そして、未来の誰かが都合よく変えたりする。なぜか分かる?」
 私は首を横に振った。

「君は日ごろ、こんな風に生きることはない?お母さんに褒められたいから、話がややこしく複雑になるのが面倒だから、本当の話を少しだけ自分に都合よく変えたりして、伝えることはない?」
 私はまたはっとした。
「それと同じだよ。君の日常が世界の日常だ。全ては繋がっている。だからこそ、君の選択はとっても重要なんだよ。君があきらめたら、世界もあきらめる。君が信じたら、世界も信じるんだ」

 何かものすごく大きな、大切なことに気づいたような気がしたその時、庭の小屋の脇から一匹の猫があらわれた。彼は、私と金木犀が会話をしているちょうど真ん中にゴロンと寝転んであくびをすると、「やぁ!久しぶり!」と軽快に私たちに話しかけてきた。


読んで頂き、誠にありがとうございました🙇‍♀️未来の地球を生きる方々に活かしていきたいと思います。時々、アイスカフェラテ代に使わせて頂きます。初めてサポートして下さった方が、そうおっしゃったので🤭🎶