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教育の不思議

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教育にまつわる様々な疑問を解説して、議論の裾を広げます
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#学校教育

「どうして勉強しないといけないの?」という疑問に答えられますか?

「どうして勉強しないといけないの?」と多くの子どもはいいます。
大人になると、少なくとも学校の勉強からは解放され、大して日々勉強もしてないのに、この質問には、とりあえず「将来のため」などといって本当にあるのかどうかもわからない、将来を子どもに押し付けて難を逃れます。

しかし、それでいいのでしょうか?
ある人は堂々と意味がなかったというかもしれませんし、とりあえず「将来のため」と逃げの一手を使いま

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学校の中の評価って何だろう

学校に通った人なら、必ず受けてきた評価、例えば、通知表や、テストの点数、内申点など、色々な点数をつけられてきました。

評価とはなんかしらの価値を定めることです。
例えば英語の点数が高いということは、英語の理解度が高いと評価されるということです。

しかし、先生が自分の好き嫌いで適当に評価を決めてしまったら、評価の価値や学校の価値もなくなってしまいますし、子どもにとって良いとも言えないでしょう。

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教員の精神疾患による休職・離職の問題

以前学校では残業代はでないよという話をしました。
https://note.com/banbirokon/n/ne873471a4c18

残業代が出ないにもかかわらず、定時以降に部活動の顧問や、モンスターペアレントの対応、子どもたちの生徒指導と明らかに大変な仕事です。
筆者の大学院時代の知り合いに精神疾患で退職をした、教員の方がいました。本人は自分の能力がなかったことと、よい教育をしようとして、

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学級崩壊の構図

学級崩壊という言葉があります。
最近はあまり聞かなくなりましたが、文科省の調査を参考にするなら、

「子どもたちが教室内で勝手な行動をして教師の指導に従わず、授業が成立しないなど、集団教育という学校の機能が成立しない学級の状態が一定期間継続し,学級担任による通常の方法では問題解決ができない状態に立ち至っている場合」

となります。主に1990年台の後半にマスコミに取り上げられ、大きな話題となりまし

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教える―学ぶの関係

最近、小学生に人気のyoutuberを教えてもらいました。なんで人気なのかを聞くと、フォートナイトというゲームの元世界一位だからだと教えてもらいました。

なるほど、確かになというふうにと思いましたが、「教えるー学ぶ」ということは、先生と生徒が逆転しても成り立つことがわかります。

基本的なことですが、教えると学ぶとはどんな関係なんでしょうか。
今回は広田照幸先生と宮澤康人先生の2人の著書から見て

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いじめという問題

「いじめ」という言葉があります。
おそらく、これを読んだ人はいじめというものわ、見たり聞いたり、中には体験した人もいるかもしれません。

いじめという言葉を聞いて気分が悪くなる人は、この記事を読まないのが得策でしょう。

さて、いきなりですが、「いじめ」とはなんでしょうか?
例えば、長年連れ添ったコンビ芸人が、相方のことをボコボコに罵っています。そういう芸です。
これは「いじめ」でしょうか?
多く

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部活の意義の歴史

教員の働きすぎの問題もあって、その一つに部活動が、教員の多忙化に一役かってるのではないかと話題になりましたね。

教員は残業代が出ない(基本給の4%はじめから残業代ときてついているだけ)にもかかわらず、部活動は平然と行われています。
これらは、教員の方々の奉仕活動によって成り立っています。ではなぜ、部活動はそこまでやるようになったのでしょうか。

(出典)加藤一晃「部活動は学校において合理的な

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校則の法的根拠はあるの?

校則というのは、皆さんも経験したことがあるでしょう。
服装は指定の制服で、靴下は白などと、決められたあれです。

中には生まれつき髪が茶色なのに校則で色が黒と決まっているから、黒にしてきなさいと理不尽なことを言われた人もいるかもしれません。
最近では「ブラック校則をなくそう」といった運動も起こっています。
校則とはなんでしょうか?

私たちの世界にはルールがあります。これは誰かが不利にならないよう

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教育の二つの対立軸

教育という行為が近代以降に注目されるようになってから、常に2つの考え方の対立があります。
おそらく読んでいる皆さんも体験したことがあるのではないかと思います。その2つとは

詰め込み教育
  VS
主体的な教育

この二つの対立軸がありますよ、というと簡単に主体的な教育の方が良いんだという人がいます。
本当にそうでしょうか?もちろん詰め込み教育に弊害があるのは明白です。行き過ぎた詰め込み教育は暴力

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個性重視という言葉の弱点

前回不登校について、まとめたときに、様々な選択肢があれば不登校というのは問題にならないよねという話を書きました。

https://note.com/banbirokon/n/ncd997a823605

こうした考えの時に出てくるのは、「個性の重視」 という言葉です。例えば有名な臨教審の答申ではこんなことを言っています

臨時教育審議会 教育改革に関する第一次答申(昭和60年6月26日)

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不登校を図にしてみる

不登校という言葉は、学校に通ったことのある人なら一度は聞いたことがあるでしょう。
かつては登校拒否と呼ばれていたのを知っている方もいるかもしれません。

不登校はよく社会の問題として捉えられます。なぜでしょうか?図にあらわしながら考えてみたいと思います。

不登校の定義文部科学省によると、「何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景により登校しない、あるいはしたくともできない状況にある

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勉強ができると頭が良いの違い

よく、「頭がいいね」と言われると、勉強ができるねという意味と、頭が切れるねといった意味合いがあると思います。

この違いは明確にあるように思います。
ということで、今回はこの辺りを考えていきたいと思います。

勉強ができるの勉強とは勉強ができるの意味合いは、ほぼ学校での勉強ができるという意味です。
しかも、そこには音楽や図工ができるといった意味はほとんど入ってきません。(音楽も図工も大切な学校の勉

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教育改革の読み方

はじめにこんにちは、最近学校というと常に何かしらの改革が必要だと言っている方がいらっしゃいます。
もう改革が多すぎて何をしたいのかよくわからないというのが、読者の現状ではないでしょうか?
私たちからすると、何を変えたいのか?教育は最終的にどういう目標なのか?この辺りがぐちゃぐちゃになっているのではないかと思います。
今日は学校の改革論には目標の段階で既に対立があるということを整理したいと思います。

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教員の働き方改革~変形労働時間制は裁量労働制と何が違うの?~

教員の働きすぎの問題今回は教員の働き方の改革について、ご紹介しようと思います。
今回のキーワードは給特法、裁量労働制、変形労働時間制です
最近、教員の働き方改革が言われていますが、一体どのくらい働いているのでしょうか。

2018年OECD加盟国に対して調査された、国際教員指導環境調査(TALIS)によると、中学校の教員の仕事時間が、週56.0時間、小学校の教員の仕事時間が、週54.4時間と加盟国

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