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KILLING ME SOFTLY【小説】131_花びらが千切れる

キヨタカと夏輝は即座に年の離れた友人だとアピールするも、事実関係はさておき、互いに〈色々と〉炙り出されて逃げ場を失い、集中砲火を浴びた。ついに彼女の現住所まで割れる。

勝手気ままな振る舞いの代償を顧みれば、夏輝には遅かれ早かれ天罰が下る筈だが、どうも釈然とせず、素直に喜べる程、腐った人間ではないらしい私さえ怪しまれた。


『やっぱ菅原と繋がってたんじゃん』『てかスケープゴート』『元々ケースケの本命は凛々香』『バレバレだよね』『逆に彼氏盗られたしアイツのせいで仕事もなくなって相当恨んでそう』『週刊誌に売って正解』『面白いわ』『もっと暴露して欲しい』『またモデルやってぶっ潰せ』『いま付き合ってるヤツの動画コメ欄閉鎖されてた』『ガチでフツーの学生』『スガよりギター弾けてて笑った』『昔コイツの弾き語りバスってたし』『あれか!声すげーの覚えてる』


実に下劣で幼稚な雑音が纏わり付き、いずれにせよ対立する構図を描くだろう。魔の手は恋人の千暁にも迫る。
恨み辛み?1ヶ月前に燃えるゴミで処分しました、ゴチャゴチャうるせえな、ほっとけよ。


頭痛に加えて、冷えとのぼせが交互に体を蝕み、しかし平熱というミステリーに怯え、風邪薬を飲んで眠りに落ち、そのまま欠勤した。
ふと玄関のチャイムによって起こされる。

年末帰省の人混みに揉まれつつ、千暁が見舞いに来た。





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