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ドアを閉めて書け ドアを開けて書き直せ /ファシリテーション一日一話
昨日は新刊『君の物語が君らしく』の出版記念インタビューだった。読書会のファシリテーションはよくやるのだが、友人や大切な知人が本を出したときは、その出版記念イベントの進行役みたいなことも、よくやる。僕はまぁ、雑食のファシリテーターみたいなものなので、会議ファシリテーションを専門にしながらも、結婚式の司会から、井戸端会議の進行までやるのだけど。とりわけ、本を出すというのは、その人にとって大事な節目にな
もっとみるかけがえのない人と /ファシリテーション一日一話
先日、亡き友人の一周忌イベントを仲間内で開催した。まだ50才という若さで亡くなった友を忍び、親しかった仲間や世話になった面々が集い、黙祷を捧げ、歌をうたい、酒を酌み交わした。僕はスライド・トークを担当した。亡くなった彼が大学院時代に書いた修士論文を読み解く、というチャレンジだ。「文系の修士論文だったら読めるだろう」と、たかをくくっていた僕の予想を大きく外れ、内容は難解で苦戦を強いられた。一文目から
もっとみるなるべくコントロールしない /ファシリテーション一日一話
ある場の進行を終えて、帰路につく。その車内にて、参加者から「青木さんのファシリテーションは好きです。コントロールしようとしないから」というお言葉を頂いた。実のところ、ちょっと嬉しかった。僕がこの言葉を嬉しいと感じるのは、自分がそういうファシリテーターでありたいと願っているからだ。
逆に、また別の場で「マーキーは、ふだんはおちゃらけているのに<ここは大事>という場面では声色を変えている。洗脳的な声
100年後の未来を見据えて /ファシリテーション一日一話
この3日ほど、南方熊楠をテーマにした旅に出かけていた。熊野ゆかりの偉人が暮らした家を訪ね、ミュージアムをたっぷり巡り、彼が研究した森を歩き、お墓参りをした。南方熊楠が生きた時代は、明治・大正・昭和と激変する日本。若い頃にアメリカやイギリスに渡った彼は、市井の博物学者・民俗学者として知られ、粘菌研究なども行った。明治末期、政府の「神社合祀」政策が協力に進められると、これに怒る。数ある神社を統合・整理
もっとみるどんな舟に見えますか? /ファシリテーション一日一話
あるNPOの会議進行をお引き受けした時のこと。15年かけて育ててきた組織も、そろそろ転換期。設立者がバリバリに働ける年齢から逆算しても、ここ5-10年で、組織を転換させる必要のあるタイミングに見えました。
みんなで絵を描いて話そう
そこで今回は舟にたとえるワークを取り入れることにしました。「皆さんが参加するこの団体は、舟にたとえると、どんな感じでしょうか?」と問いかけ、全員に絵を描いてもらうの
身体感覚を研ぎ澄ます /ファシリテーション一日一話
瞑想やマインドフルネスの実践家であり研究者の藤野正寛さんのお話しをオンラインで伺った。ファシリテーターとして手がけている仕事のうち、今の段階だと1-2割がオンラインの仕事になる。オンラインだとどうしても限界がある、と思っていたのは単なる僕の思い込みで「おぉ!ここまでいけるんだ」と驚愕した。森の案内人・三浦豊さんといっしょに4年間開催してきた「みんなの森のサロン」でのひとコマ。
レーズンひと粒を用
会議で話が長い人には、どう対応したらいいのか? /ファシリテーション一日一話
昨日はある地域の中間支援組織からご依頼のあったファシリテーション講座の打合せ。地域活動や市民活動を進める上で、どのように会議進行をするかは、日々の悩みだ。この組織では毎年夏にファシリテーション講座を開催しているようで、参加者からよく出る質問のひとつが、表題の「話が長い人対策」とのこと。
この質問、古今東西・組織の種類も問わず、よく出る質問だ。年長者を重んじる日本や東アジア特有なのかなと思いきや、
人物を旅する /ファシリテーション一日一話 10
旅をするのが好きだ。全国各地に出かけていって会議のファシリテーションをするのが本職なのは、どこへ移動するのも全く苦にならないからだと思う。むしろ好き。仕事の時は一人で移動することが多い。初めて行く土地のことを調べたり、宿をとったり、交通経路を探るのは、もはや喜びでもある。
一人で旅するだけでなく、集団での旅を企画するのも、昔から好きだった。学生のころから、環境問題のスタディツアーなどを企画して、
ファシリテーターは図書館にも来て頂けますか? /ファシリテーション一日一話 9
子どものころから校長室が好きだった。どこか異質なものを抱えた僕は、あまり同世代と話が合わず、どちらかというと年配の先生と仲良くなるのが常だった。校長先生がオープンな人柄のときは、僕のような学生が顔を出しても、喜んで迎えいれてくれた。校長室には変な彫刻とか、誰か偉い人の書とか、難しそうな本が並んでいて、ソファも立派で好きだった。校長室で論語や仏教や社会問題の話をして盛り上がる、そんな感じの子ども時代
もっとみる歯を食いしばりなさい /ファシリテーション一日一話 8
亡くなった母はとても厳しい人で、彼女に「そこに座りなさい、歯を食いしばりなさい」と言われた時は覚悟を決めたものだった。正座して相対し静かな時が流れる。じっと睨まれて、「今、なぜ怒られているかわかるか」という問答があって、ことの核心までいたったところで、バチンと平手打ちが飛んでくる。今になってみると、当時小学生の自分が何をやらかして叱られたかのかは、さっぱり覚えてないのだが、そうやって平手打ちされた
もっとみる聴けてない /ファシリテーション一日一話 6
我が家の桜が見頃になったので、七輪で焼き鳥を楽しんだ。家族だけではもったいないと思って、近隣の友人に声をかけたら、ぶらりと来てくれた。持参いただいた日本酒を堪能して、うとうとしたころに、彼が人生を語りはじめた。自分が中高生のころあまり勉強ができなかったこと、そのせいで周りからひどく馬鹿にされたこと。社会人になってから自分の得意分野を見つけ、そこを深掘りすることで、周りから頼られるようになったこと。
もっとみるこれが最後の仕事だ /ファシリテーション 一日一話 5
僕が社会人一年生をやっていたころに、一から仕事の基礎を教えて下さった師匠は、こんなことを教えてくださった。
「人は、いつ死ぬかわからない。不慮の交通事故や急病で、ある日突然いなくなってしまうことだってある。だから今、手がけている案件が、青木将幸の最後の仕事だった、と言われていいように、全力を尽くしておきましょう」と。あの頃はまだ20代だったので、ちょっとピンと来てなかったが、年を重ねるにつれ、こ
休憩をケチるな /ファシリテーション一日一話 4
長時間の会議やワークショップに、休憩はつきものだ。お昼休みやトイレ休憩、おやつ休憩の時間には、実に豊かなものが流れている。観察をしているとよくわかるのだが、われわれファシリテーターが頑張って発言を促し、工夫を凝らして進行している時間より、休憩時間のほうが参加者同士のびのびと交流していたり、コミュニケーションが活発に起きていたりもする。ちょっと力んだファシリテーターの前では出せない本音や感想が交わさ
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