マガジンのカバー画像

この本いいよ!

258
これまで私がnoteに投稿した読書感想記事をまとめたマガジンです。本選びの参考になればいいなと思います。
運営しているクリエイター

2022年11月の記事一覧

ゴミから見える私たちの生活(滝沢秀一:『このゴミは収集できません』)

ゴミから見える私たちの生活(滝沢秀一:『このゴミは収集できません』)

読むと普段の考え方がガラッと変わる1冊に出会えたので紹介します。
今回の本は、滝沢秀一さんの『このゴミは収集できません』(角川文庫)です。

著者の滝沢さんはお笑い芸人をしつつ、ゴミ清掃員の仕事もしています。もともとは生活のために始めたゴミ清掃員の仕事ですが、実際にやっていくうちに意外な面白さや自分が知らなかった現状を感じるようになります。この本ではこのようなゴミ清掃員の日常が面白おかしく、時には

もっとみる
自分の「選択」でこの世界を生き残る(鵜飼有志:『死亡遊戯で飯を食う。』)

自分の「選択」でこの世界を生き残る(鵜飼有志:『死亡遊戯で飯を食う。』)

今後の展開が気になる作品を見つけたので紹介します。
今回の本は、鵜飼有志さんのライトノベル作品『死亡遊戯で飯を食う。』(MF文庫J)です。

今作はいわゆる「デスゲーム」ものですが、主人公がデスゲームに挑む理由がなかなかに個性的な作品だと思います。

「生き残る」ためならどんな方法でも勝ちに行く。主人公の幽鬼にはじめはぎょっとするかもしれません。だけど読み進めていくと彼女の活躍にシビれ、いつの間に

もっとみる
美しい和菓子と高校生の恋(仲町鹿乃子:『わたしと隣の和菓子さま』)

美しい和菓子と高校生の恋(仲町鹿乃子:『わたしと隣の和菓子さま』)

今回の本は、仲町鹿乃子さんの『わたしと隣の和菓子さま』(富士見L文庫)という作品です。

この本は著者・仲町さんのnoteを見て知りました。仲町さんは和菓子愛溢れる投稿が多く、どんな物語を書くのか気になり手にしてみました。

和菓子をテーマにした作品は少なくはありませんが、高校生ならではの悩みや恋愛が強く描かれているところが今作の大きな特徴かと思います。現在高校生の人は登場人物たちに感情移入しやす

もっとみる
現代の吸血鬼の姿から考える「人間」の課題(万城目学:『あの子とQ』)

現代の吸血鬼の姿から考える「人間」の課題(万城目学:『あの子とQ』)

読んでいてとても楽しい気持ちになれた作品があるので紹介します。
今回の本は、万城目学さんの『あの子とQ』という作品です。

レトロでポップなカバーイラストと魅力的なキャッチコピーに惹かれて手にしてみた1冊。カバーだけでも仕掛け満載で(例えば帯を外すと違う弓子の姿が現れます)、読む前からわくわくした気持ちでいっぱいになりました。

今作は「青春小説」や「ファンタジー」のジャンルにカテゴライズできる作

もっとみる
現代を生きる尊さを感じる物語(二宮敦人:『さよなら、転生物語』)

現代を生きる尊さを感じる物語(二宮敦人:『さよなら、転生物語』)

読むと今の自分に自信が持てる物語に出会ったので紹介します。
今回の本は、二宮敦人さんの『さよなら、転生物語』(TO文庫)という作品です。

今、この感想文を読んでいるあなたは、「他の時代の人間に生まれてみたい」と思ったことがありますか?今作では不思議な力によって、過去を生きる人間に転生した現代人たちの物語が描かれます。

転生というとラノベなどでは定番のモチーフですが、転生を通して時代ごとの価値観

もっとみる
世の中には気になる場所がいっぱいある!(最東対地:『この場所、何かがおかしい』)

世の中には気になる場所がいっぱいある!(最東対地:『この場所、何かがおかしい』)

今、この記事を読んでいるあなたには、「気になるけど行くのは躊躇ってしまう場所」がありますか?今回はそんな思いを叶える本を紹介します。

今回紹介するのは、最東対地さんの『この場所、何かがおかしい』という本です。
著者の最東さんはホラーのジャンルで活躍している作家さんなのは前から知っていましたが、この本のように趣味全開の本も書くんだなと気になって読んでみました。

この本では、最東さんが訪れた全国各

もっとみる
どんな趣味でも、強力な「個性」になる(似鳥鶏:『夏休みの空欄探し』)

どんな趣味でも、強力な「個性」になる(似鳥鶏:『夏休みの空欄探し』)

今回紹介する本は、似鳥鶏さんの『夏休みの空欄探し』という作品です。

今作では、謎解きに熱中する高校生たちの夏休みが描かれます。
似鳥さんの作品で恋愛を描いた作品はこれまでにもいくつかありましたが、今作はその中でも特に恋愛色が強めな内容かと思います。

「こんな青春を過ごしたかった!」がいっぱい詰まった最高のミステリー作品です!

ストーリー感想主人公・頼伸には、「役に立たない知識」を集めるという

もっとみる
「11月7日」が繰り返される話(恒川光太郎:『秋の牢獄』)

「11月7日」が繰り返される話(恒川光太郎:『秋の牢獄』)

今日(11月7日)限定で恒川光太郎さんの『秋の牢獄』という短編作品が全文無料公開されていたので読んでみました。(作品はカドブンから読めます)

この作品は主人公・藍が何度も繰り返される「11月7日」の中で「リプレイヤー」と呼ばれる同じ境遇の人たちに出会い、彼らと交流しながら好きなように過ごす様子が描かれていました。

何をしても、11月7日の朝になればすべてが元通り。(ただし「北風伯爵」なる謎の生

もっとみる
最推し作家さんの新作万歳‥‥‥(阿部暁子:『金環日蝕』)

最推し作家さんの新作万歳‥‥‥(阿部暁子:『金環日蝕』)

こんにちは、あみのです(^^)
今回の本は、阿部暁子さんの『金環日蝕』という作品です。私が1番推している作家さんの最新作です!初めての単行本!!

感想の前に、まず阿部暁子さんへの愛を語らせてください。
私が阿部さんの作品と出会ったのは、高校生の時に読んだ『鎌倉香房メモリーズ』の1巻でした。

謎解きと少女漫画のような恋愛が融合したストーリーに魅了され、更には作品に登場する雪弥さんというキャラが当

もっとみる