ゴミから見える私たちの生活(滝沢秀一:『このゴミは収集できません』)
読むと普段の考え方がガラッと変わる1冊に出会えたので紹介します。
今回の本は、滝沢秀一さんの『このゴミは収集できません』(角川文庫)です。
著者の滝沢さんはお笑い芸人をしつつ、ゴミ清掃員の仕事もしています。もともとは生活のために始めたゴミ清掃員の仕事ですが、実際にやっていくうちに意外な面白さや自分が知らなかった現状を感じるようになります。この本ではこのようなゴミ清掃員の日常が面白おかしく、時には真面目に書かれています。
世の中になくてはならないゴミ清掃員の仕事について知れるのはもちろん、今の私たちが知っておきたい日本におけるゴミの現実についても学べる1冊です。
作品概要
読んだ感想
ここからは読んだ感想として、私が印象に残った箇所をいくつかポイントを絞って紹介します。
ゴミ清掃員あるあるが興味深い
この本の面白いところは、なんといってもゴミ清掃員の著者だからわかる「あるある」の数々。
まず捨ててあるゴミを見るだけで、捨てた人がどんな生活をしているか推測できるという話には驚きました。個人情報が想像以上に多く捨てられている光景に恐ろしさを感じた滝沢さんは、シュレッダーを購入してしまったくらいだそう。また集積所やコンビニのゴミ箱を見るだけで、治安のいい地域かどうかかがわかるといった知識もなかなかに役立ちそうです。
他にも捨ててあった意外なゴミの話とか、ゴミ清掃員を襲う季節ごとの刺客の話も面白かったです。でも前者は正しい分別の仕方について結構勉強になるところもありました。ゴミの中にはリサイクルすることで新たな役目が生まれるものもある。ゴミの分別って本当に大切です。
あるあるや面白エピソードに笑いながら、ゴミの捨て方に対する正しい知識も学ぶことができました。
日本のゴミの衝撃的な真実
あるあるを中心とした面白エピソードが多い中、滝沢さんがゴミ清掃員の仕事を通して知った日本のゴミの現状に関する話もかなり衝撃的でした。
私たちが捨てたゴミは清掃工場に運ばれて燃やされます。燃やされたゴミは灰となり、最終処分場に埋められます。しかしゴミの量があまりにも多すぎて、最終処分場はなんと数十年で日本からなくなり、ゴミを捨てられない未来があるかもしれないそうです。
お店で食べ残される料理、売れ残るコンビニの弁当、安い物を気軽に買える環境etc…私たちの身の周りは想像以上に「モノ」で溢れかえっており、容易くゴミも生まれる世の中になっていることを読んで実感しました。
特に安くて魅力的な物があると私もついつい買ってしまいがちです。100円ショップも大好きです。でも買って数回しか使わなかった物、結局使わずゴミに出してしまった物も少なくはなく、この本で書かれていた現状は「他人事ではない」と強く思いました。「お金を出してゴミを買っているように見える。」(p205)という一文も図星でした…。
未来がどうなるかはわからないけど、少しでもゴミを減らすことは今の私にもできるはず!ゴミの分別はもちろん、これから物を買う時は大切に使うかどうかもよく考えて買うよう心掛けていきたいです。
最後に
お笑い芸人が書いた本とのことだったので、ゴミ清掃員の面白エピソードをまとめた本なのかなと思ってました。でも実際に読んでみると、面白い話だけでなく、身近に潜む重大な課題を知ることもでき、普段の行動を変えたくなる1冊でした。
私の感想をここまで読んだあなたに、この本は強くおすすめしたいです。誰もが関わる「ゴミ」のことだからこそ、今のうちに知っておきたい話がこの本にあります。ちょっとでも「面白そう」「気になる」と思ったら、ぜひ読んでみてください。いつも捨てているゴミについて、この本を読んで考えてみませんか?
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