#掌編小説
チータラ食って生きててくれよ
先輩が死んだ。
一年ぶりに中谷からメッセージが届いていた。電車で何気なく確認したスマホの画面。タップしてメッセージを確認する。
「先輩死んだって」
悪い冗談かと思った。一年ぶりのメッセージがこれなんて、悪趣味すぎる。
「ご愁傷さまです」
そう返信する。
中谷から返信が届いたのは、帰宅してからだった。コンビニ弁当で適当に夕食を済ませ、入浴の準備をしていた時。通知音には気づいたが、メッセージ
トリガーを引く【掌編】
今日も私はトリガーを引く。あなたの額に向かって。
非接触型体温計。拳銃のような形をしたそれを今日も握りしめる。
歯科医院の受付で働いている私は、感染症対策の為、受付の際に患者さんの体温を測っている。
このご時世だ。患者さんも理解を示してくれている。慣れた患者さんは、何も言わずとも、診察券を出すと同時に前髪をかきあげ、私に額を向けてくれる。
「撃つなら、撃てよ」
なんて言われているみたい