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エッセイ

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自身の記事の中から、エッセイをまとめています。
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#自然

秋の手をとる

秋の手をとる

今年は暑さが長く続くと聞いていた。
だから秋が遠い、もしくは来ないのではと、遠く秋へただ手を伸ばしていた。

しかし9月が近づき始めると、秋の足音がするではないか。空に浮かぶ雲は秋へと流れ、虫の声は移ろい秋を呼んでいる。まだまだ猛暑日と言われるなか、どことなく以前より過ごしやすく感じ、秋の気配へ目を移す。

そして思うのだ。
ごめんね。
ありがとう。

それはまるで、親が子を思う様に似ている。

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季節の途中

季節の途中

このところ、身体の不調に囚われている。
持病のリウマチが再燃したのか?と疑う反面、季節の変わり目のせいかとも思う。

昨年の5月には、近くの公園でピクニックをしたから、今年もするぞとワクワクしていたのに、春を楽しみきれないまま、低空飛行モードになってしまった。

身体が重く、疲労感がなかなか取れない。
散歩と軽い運動を習慣にしているのに、それも気が乗らなくなってきた。
最近少し忙しくしていたので、

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春眠としくじり

春眠としくじり

しまった。機会を逃してしまった。
私は飛び起きた。

昨晩は珍しく、
夜中一度も目覚めずに
今朝まで眠り続けることができた。

またずいぶん寝汗をかいていたけれど、
眠れたことの方が嬉しかった。

起きて朝食を済ませてからも、
まだ眠い。
結局うたた寝をし、そのまま正午まで。

しまった。
目を開けたか開けていないか、
意識があったかそうでないか、
という夢と現実の隙間で気がついた。

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憧れの君

憧れの君

とある画家がある朝、起き出したかと思ったら一気に白いキャンバスに色を置いていく。そんな風に、目覚めたら世界が一気に春になっていた。

冬が嫌いというわけではないけれど、春になると、ようやく会いたい人に会えた様な気持ちになる。わくわくするとか、ときめくとか、そういった気持ちに自動的になる。

春ってどこか特別で、主役級の華やかさがあるけれど、でも「主役」ではない。そんな感じがするのは、とてつもないイ

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雨傘

雨傘



⁡今日は昼からずっと雨だった。
だから私は安心していた。
少し浮かれてもいたかも知れない。

⁡晴れた日に外出しないと抱く
あの罪悪感はなんだ。いや、
罪悪感と言うより、「損をしている」感。

⁡そんな不本意な「感」を綺麗さっぱり流してくれる。
雨はどこか、消極的な感情を許してくれる気がする。



⁡いつか、テクノロジーの発展で
傘を持たずして、濡れずに外を歩ける日が
来るのだろうか。

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