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連載小説・タロットマスターRuRu
【第十六話・変化】
その後も悪くなっている葉の手入れや、雑草を抜いたりと、一時間ほど作業は続いた。体力仕事など久しぶりの丘咲は、明らかに疲れている。最後の方は琉々の動きと指示に、ノロノロとついて行くだけになっていた。
「だらしないわね!暑いのはわかるけど、もう少し素早く動けない?」
琉々は呆れた表情だ。二人が同じ太陽の下にいるとは思えないほど涼しげである。
「はぁ…だって琉々さん…」
しゃ
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【第十五話・空白の日】
月曜日の昼の休憩時間、琉々は食後のコーヒーを、日陰のベンチで楽しんでいる。駅地下にある、お気に入りの店のものだ。時間に余裕がある日は、食後の散歩がてら、駅前まで買いに行くことがある。カップの蓋を外してコーヒーの薫りを楽しみながら、ゆっくりと口をつける。
「琉々!お疲れ様」
通りかかった奈都子が隣に座った。手にはコンビニのアイスコーヒーを持っている。
「お疲れ様〜」
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【第八話・予定外の訪問者】
「ごめんなさい。もう閉店なの」
丘咲の姿を確認しながら、女は言った。丘咲の想像していた主とは全く違い、かなり若く、女にしては背が高かった。実際、丘咲と目線が同じくらいの高さであった。
「あ…そ、そうですか」予想外の人物の登場に、丘咲は少し面食らって言葉に詰まったが、気になる事が沢山ある。ゆっくりと扉を閉めようとする女に話しかけて、引き止める。
「え…ここって占いの
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【第七話・深夜の散歩】
ほろ酔いで店を出た丘咲は、大きく伸びをして駅とは違う方向へ歩きだした。酔い覚ましも兼ねて、来たことのないこの周辺を、散歩してみることにする。この辺りの飲食店はガラス張りでテラス席のある店が多く、どの店も賑わっているのが見える。幸い、会社の知り合いは見当たらなかった。
裏通りを奥へ進むと、店がまばらになり、徐々にひっそりとした雰囲気になっていく。街灯だけが道を照らしていた
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【第三話・夕暮れ時】
しばらくの間、琉々がウトウトの心地よさを楽しんでいると、ノックの音がした。しかし、客が来るにはまだ早い時間である。
「はぁーい!」琉々は入口に向かって大きく返事する。インターフォンなどないこの屋敷では、こんな風に、アナログな対応を続けているのだ。琉々は、立ち上がって小走りで入口へ向かう。
『安川のおばあちゃまかしら?』そう推理してガチャリと扉を開けた。
「こんにちは!