九条 モモ

赤が好きな詩人。 そんなにいつまでも ひろがってゆくイマージュがある。 ー 「愛」谷…

九条 モモ

赤が好きな詩人。 そんなにいつまでも ひろがってゆくイマージュがある。 ー 「愛」谷川俊太郎

記事一覧

ハッピーエンド【エッセイ2】

わたしは、ハッピーエンドしか知らない。 正義は、誰かの正解を定義する。 正解に対しては、間違いがある。 誰かAにとっての正義は、誰かBにとっての間違いだ。 そして、…

九条 モモ
8日前
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What If If Only―もしも もしせめて/A Number―数【鑑賞記録11】

未来とは、本当に、無限に広がっているものなのだろうか。 迫り来る進むべき未来を、どう愛すか。 現在が1つなら、未来もただ1つなのではないだろうか。 「愛する人の…

九条 モモ
2週間前
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夏目アラタの結婚【鑑賞記録10】

寂しかった。

九条 モモ
2週間前
1

死の笛【鑑賞記録9】

あなたは、彼女を愛している。 それだけでは、駄目でしょうか。 いや。愛が本物なら、あなたを縛らなかった。

九条 モモ
2か月前
1

ディア・ファミリー【鑑賞記録8】

なにかを成すとは、どういうことだろう。

九条 モモ
3か月前

午後2時の公理

それはメロン味の飴が溶けていくようで まるでメロン味の飴が溶けていくようで あなたとわたしの「距離」も溶けていったから この氷が溶けていく速さも 昨日降った静かな…

九条 モモ
4か月前
1

潜在意識

花束、茶髪に散って、枯れた空、青天に パズルし薔薇に、空気壊れ ケーキでキスして、共に甘やかに ほつれ糸の緑、祝祭に映える 一方で、 曇天の黄昏から舞い降りた鳩 薄…

九条 モモ
4か月前

きらり

What a spectacular. 四ツ葉にブラックホール 裂けて、咲いたダリアの花 が、ガガガガガッと割れて、 モーゼの海 に、そそり立つ三島が燃やした金閣寺 さんごじゅうごで…

九条 モモ
5か月前

最後の恋

東京タワーを見上げていた。 酸いも甘いも何度も噛んで、 あなたと出逢った。 「あなたは、初恋の人に似ていただけ」 突き放すわたしを、 「恋は、落ちたそのときが、い…

九条 モモ
5か月前

理由

「雪が好きだ」とあなたが言って、 名前を呼ばれたような気持ちになった。 「どうしたの?  あんまり唐突に言うから、  わたしの名前を呼んだのかと思った」 と笑ったら…

九条 モモ
7か月前

哀れなるものたち【鑑賞記録7】

ベラ・バクスター「poor things. lol 」 エンドロールの最後に、 彼女は、そうジョークを言って、笑った。

九条 モモ
7か月前
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ウォンカとチョコレート工場のはじまり【鑑賞記録6】

夢を見ることは、時に、 人生を残酷に映すこともあるだろう。 それでも、君は、夢を見る。 なぜだろう。 夢は、最後のその時も、 きっと、夢見る君のそばにいる。 さあ…

九条 モモ
9か月前
4

気持ち

背伸びして、あなたのロングコートの 1番上のボタンをとめる 唇を躱すより あなたを傷つける方法を知りたくて 合いそうになる目をそらす あなたを送り出した後 リビング…

九条 モモ
10か月前

冗談

「海だなぁと思って」 港町のテラスで、 君は当たり前のことを言ってみせる 晴れた日には、いつもわざと、 クラウディー・アップルを頼んでみせる 優しく海が薫る店内に…

九条 モモ
11か月前

窓ガラス【エッセイ1】

包摂性とは、外れることを、語れるようになること、だと思う。その先に、お互いを外れていると思わないようになること、それが多様性なのではないだろうか。 外れているこ…

九条 モモ
11か月前
3

かなしみ

悲しかった恋が、 東京タワーの優しい灯りに消えてゆく 「あと何度、  愛してると、  伝えればいいだろう」 と哀しむわたしに、 「変えられるものが、  運命だとは、…

九条 モモ
11か月前
1

ハッピーエンド【エッセイ2】

わたしは、ハッピーエンドしか知らない。

正義は、誰かの正解を定義する。
正解に対しては、間違いがある。
誰かAにとっての正義は、誰かBにとっての間違いだ。

そして、誰かBにとっての正解は、誰かAにとっての不正義になる。

不正義を正したい熱情は、怒りとなるだろう。

怒りと怒りのぶつかり合いが形を迎えるものは、
この星の日常にいまも溢れている。

わたしも、「正義」を振りかざした頃がある。

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What If If Only―もしも もしせめて/A Number―数【鑑賞記録11】

What If If Only―もしも もしせめて/A Number―数【鑑賞記録11】

未来とは、本当に、無限に広がっているものなのだろうか。

迫り来る進むべき未来を、どう愛すか。

現在が1つなら、未来もただ1つなのではないだろうか。

「愛する人のために覚悟したのは、未来だ。」

そう思った。物語に。

死の笛【鑑賞記録9】

死の笛【鑑賞記録9】

あなたは、彼女を愛している。

それだけでは、駄目でしょうか。

いや。愛が本物なら、あなたを縛らなかった。

午後2時の公理

午後2時の公理

それはメロン味の飴が溶けていくようで
まるでメロン味の飴が溶けていくようで

あなたとわたしの「距離」も溶けていったから

この氷が溶けていく速さも
昨日降った静かな雨も
これから
「ふたりだけの公理」を築いていくことも

それはメロン味の飴が溶けていくように

あなたとわたしの「距離」を溶かしていく

薔薇の花束を贈った翌日のお返しには、一輪のハイビスカスを
あなたがプラモデルを組み立ててくれた

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潜在意識

花束、茶髪に散って、枯れた空、青天に
パズルし薔薇に、空気壊れ
ケーキでキスして、共に甘やかに
ほつれ糸の緑、祝祭に映える

一方で、

曇天の黄昏から舞い降りた鳩
薄紫の綿毛をつけたタンポポは
窓格子に張付き
それはまるで、ホコリ

あなたを禁止された
駐車場で
徐行する
高圧ガスと書かれたトラックの
運転手に
あなたをさらわれる
わたし
思いがした

昨晩
自販機の上を走るパイプ管が
人知れず

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きらり

What a spectacular.

四ツ葉にブラックホール
裂けて、咲いたダリアの花
が、ガガガガガッと割れて、
モーゼの海
に、そそり立つ三島が燃やした金閣寺

さんごじゅうごで
モナリザとにらめっこしましょ
笑ったら、ダメよ

あっち向いて、来い

奇異な旅人よ、サルーテ!

紅いシャクナゲ揺れ
硝子窓に、サイレン赤く鳴り
蒼いヒマワリ咲き
硝子窓に、体液青く飛ぶ

月の火山が爆発した日

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最後の恋

最後の恋

東京タワーを見上げていた。

酸いも甘いも何度も噛んで、
あなたと出逢った。

「あなたは、初恋の人に似ていただけ」
突き放すわたしを、
「恋は、落ちたそのときが、いつも初恋」
と、あなたは追いかけてきた。

病院の待合室で、テレビが教えてくれた、
ありふれた恋の理論。

「こんな理論さえ当てはまらないわたしたちに、」
「明るい未来が待っているとは、思えない?」
と、あなたは笑ってくれた。

「未

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理由

理由

「雪が好きだ」とあなたが言って、
名前を呼ばれたような気持ちになった。

「どうしたの?
 あんまり唐突に言うから、
 わたしの名前を呼んだのかと思った」
と笑ったら、
背中越しのあなたの気配が一歩近づいた。

なのに、「ん?」としか返事をしなかったから、少しむっとして振り返ると、
あなたは、オルゴール店内の背の高いクリスマスツリーを見上げていた。

「夏のほうが好きだったんだ」と言ったあなたは、

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哀れなるものたち【鑑賞記録7】

哀れなるものたち【鑑賞記録7】

ベラ・バクスター「poor things. lol 」

エンドロールの最後に、

彼女は、そうジョークを言って、笑った。

ウォンカとチョコレート工場のはじまり【鑑賞記録6】

ウォンカとチョコレート工場のはじまり【鑑賞記録6】

夢を見ることは、時に、
人生を残酷に映すこともあるだろう。

それでも、君は、夢を見る。

なぜだろう。

夢は、最後のその時も、
きっと、夢見る君のそばにいる。

さあ、醒めない夢を見よう。

夢は、君の人生を、
チョコレートのように甘くする。

気持ち

背伸びして、あなたのロングコートの
1番上のボタンをとめる

唇を躱すより
あなたを傷つける方法を知りたくて
合いそうになる目をそらす

あなたを送り出した後
リビングに戻ると
カーテンが風に揺れていることが
いつも、気になる

あなたはこの部屋にいない、と
風に教えられているような気持ちに
なるんだろう

あなたがくれる沢山の幸せや愛よりも
たった一言が許せない、わたし

クリスマスの光に彩られ

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冗談

「海だなぁと思って」

港町のテラスで、
君は当たり前のことを言ってみせる

晴れた日には、いつもわざと、
クラウディー・アップルを頼んでみせる

優しく海が薫る店内に夕陽が差込み始める頃、
グラスにジュースを少し残し、
君が言い始める冗談に、
わたしは渾身の防衛戦

「アップル・ジュースが、
 夕陽より紅くなればね」

なんて、言ってみせた

「雪は、冬の花だよね」

と当たり前のことを言ってし

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窓ガラス【エッセイ1】

包摂性とは、外れることを、語れるようになること、だと思う。その先に、お互いを外れていると思わないようになること、それが多様性なのではないだろうか。

外れていることと、窓ガラスを割ることは、違う。しかし、この国では、外れていることと、窓ガラスを割ることが、まだまだ同義で語られてしまい、取り締まりと気づかずに取り締まりに近いことが行われている。

外れていることを、個性と、なぜ捉えられないのか。まだ

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かなしみ

悲しかった恋が、
東京タワーの優しい灯りに消えてゆく

「あと何度、
 愛してると、
 伝えればいいだろう」

と哀しむわたしに、

「変えられるものが、
 運命だとは、思わない」

と哀れを溶かしてくれたあなた

「忘れていいんだ」

と言うあなたに、

「忘れていいのかな」

しか、わたしは返事することできなかったのに、

あなたは、

「嘘でいいんだよ、好き、なんて」

とは決して言わなかっ

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