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かんなさんの自伝

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第113話 マドンナ専属2周年記念作品の裏側〜『麻縄に溺れた人妻』〜

第113話 マドンナ専属2周年記念作品の裏側〜『麻縄に溺れた人妻』〜


人生は思い出づくり

『Madonna専属2周年記念 藤かんな 緊縛解禁!! 麻縄に溺れた人妻』
 私のAVデビュー2周年記念作品のタイトルである。
「1周年記念ではソープ嬢を解禁しました。2周年ではドドンと緊縛を解禁したいと思っております。いかがでしょうか」
 2023年の末、マドンナプロデューサーから提案を受けた。
「ぜひお願いします。緊縛、初めてなので楽しみです」
 この時は迷いも不安もな

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第112話 14歳の私、父を訪ねて北九州に行く〜後編〜

第112話 14歳の私、父を訪ねて北九州に行く〜後編〜


待ち時間0分の『スペースワールド』

 父の単身赴任先である小倉に、1人でやってきた翌日、8月13日。朝早く起き、父と一緒に家を出発した。
「スペースワールドっていう遊園地があるねん」
 遊園地の言葉に心は浮き立った。この年、大阪は某テーマパークが開園5周年記念で盛り上がっていた。本当はティラノサウルスや超巨大ホオジロザメに会いたかったけれど、そんなことは口が裂けても言えない。
 小倉駅から電車

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第111話 14歳の私、父を訪ねて北九州に行く〜前編〜

第111話 14歳の私、父を訪ねて北九州に行く〜前編〜


 2024年7月27日、19時。分厚い雲の向こうから、ドーン、ドーンと太鼓のような音が響いていた。雨でも降るのかなとスマホを開くと、Xのトレンド欄に「#隅田川花火大会」が1番上に出てきた。
 ああ、今日は花火大会なのか。
 花火大会———この言葉は私にいつも、父と見た福岡県・門司港の花火大会を思い出させる。

「1人で九州行っといで」

 あれは中学2年生、期末テストが終わり、夏休みを目前に浮か

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第110話 藤かんな東京日記㉓〜鳳みゆに教わった、AV撮影の極意〜

第110話 藤かんな東京日記㉓〜鳳みゆに教わった、AV撮影の極意〜


 2024年3月17日、AV撮影。私はソファーの上に押し倒され、覆い被さる男優を仰いでいた。下腹部に男優の大きなものが当たっている。
「私、あなたの上司の妻よ。ちょっと落ち着いて・・・・・・!」
 この日の撮影では、夫の部下に犯される人妻の役だった。「そんなこと言いながら、こんなに濡れてるじゃないですか」と言いながら、ショーツの中に手を入れてくる男優の目を見た。
 ———そういえば鳳みゆさんは絡

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第109話 藤かんな東京日記㉒〜AV撮影で2年ぶりに再会した顔射男〜

第109話 藤かんな東京日記㉒〜AV撮影で2年ぶりに再会した顔射男〜


1ヶ月間、撮影への恐怖に苛まれる

「次の撮影なんですが、内容は複数名の男優との絡みになります」
 マドンナプロデューサーの冨野さんと、来月の撮影の出演契約をしていた。AVに出演する際は撮影の1ヶ月以上前に出演内容の説明を受け、出演承諾書にサインする必要がある。
 共演男優リストを見た。5名の男優の名前が書かれている。その中に・・・・・・『フランクフルト林』。
「あの、フランクフルトさんは、かな

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第108話 藤かんな東京日記㉑〜父、怒(いか)る〜

第108話 藤かんな東京日記㉑〜父、怒(いか)る〜


私は宗教に入っているのかという疑問

 父の母、つまり、私の祖母は、日本の宗教団体『S会』に入っている。この宗教は親が会員ならば子も会員になる。ほぼ必然的に親族は全員、会員になることで有名だ。祖母が会員なため、父も私も会員であって然りなのだが、私はS会には入っていない———

 2023年12月17日、小学館でエイトウーマンのイベントがあった。控え室ではつばさ舞ちゃん、八蜜凛ちゃんと一緒だった。

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第107話 藤かんな東京日記⑳〜与田りんのAVデビュー作撮影〜

第107話 藤かんな東京日記⑳〜与田りんのAVデビュー作撮影〜


与田りんのデビュー作撮影前夜本気で想うから「殺したい」

 2024年2月11日、18時。私は新幹線に乗っていた。とある用事で大阪に行っており、東京に戻る途中だった。熱海駅を過ぎたあたりで、社長からLINEが来た。
「今から神保町、来れる?」
 今日に限ってうっかり「こだま」に乗ってしまったのよなあ。
<まもなく、小田原です。お出口は左側です——>
 車内アナウンスを聞きながら、返事を書いている

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第106話 1st写真集『白鳥、翔ぶ』グラビア撮影in沖縄〜3日目〜

第106話 1st写真集『白鳥、翔ぶ』グラビア撮影in沖縄〜3日目〜


撮影場所は真っ黒なコンテナ

 2024年3月15日、5時、起床。顔を洗って、コンタクトレンズをつけて、テレビをつける。今日もどうやら曇りらしい。窓の外はまだ暗かった。
 6時過ぎ、メイクをしてもらいに、淳さんの部屋へ行った。
「沖縄は、日の出が遅いみたいだね」
 淳さんが言いながら、鏡の前にライトを足していた。まだ日が昇っていなかったのか。まるで海外に来たみたいだ。ある意味、海外だけど。

 

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第105話 1st写真集『白鳥、翔ぶ』グラビア撮影in沖縄〜2日目〜

第105話 1st写真集『白鳥、翔ぶ』グラビア撮影in沖縄〜2日目〜


「かんなちゃんはなんでAV女優になったの?」

 2024年3月14日、5時、スマホの目覚ましが鳴った。
「起きとるわ」
 アラームを止めながら、悪態をついた。昨晩はあまり寝られなかった。少し気分が悪い。のそのそと洗面台へ行き、顔を洗い、テレビをつける。天気予報は昨日と変わらず、曇り。
「とか言って晴れるんやろ」
 テレビに話しかけながら、ベッドの上でストレッチをした。西田さんの現場はいつも晴れ

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第104話 1st写真集『白鳥、飛ぶ』グラビア撮影in沖縄〜1日目〜

第104話 1st写真集『白鳥、飛ぶ』グラビア撮影in沖縄〜1日目〜

 ファースト写真集『白鳥、翔ぶ』(徳間書店)。
 撮影は沖縄で3日間、埼玉県郊外の廃工場で1日、行われた。
 沖縄の撮影では、なぜか昔のことをたくさん思い出した。壮大な自然と穏やかな空気がそうさせたのかもしれない。ここでは撮影の様子と、私の過去の思い出を書き残しておく。

撮影前夜

 2024年3月12日、グラビア撮影前日。19時にはもう寝る支度を始めていた。明日は4時に起きて、羽田空港。大切な

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第103話 藤かんな東京日記⑲〜劇場アニメ『ルックバック』を見て号泣・嫉妬する〜

第103話 藤かんな東京日記⑲〜劇場アニメ『ルックバック』を見て号泣・嫉妬する〜


映画『ルックバック』開始20分で泣く

「ルックバック、観に行ったほうが良い」
 2024年6月29日14時、社長から突然LINEが来た。私はひとまず「ルックバック」とパソコンで検索し、検索結果の1番上の記事をクリックした。
<劇場アニメ『ルックバック』藤本タツキ(「チェンソーマン」)が放つ青春物語が劇場アニメ化!———>
 どうやら映画なようだ。チェーンソーマンを描いた人か。ちなみに私はパワー

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第102話 藤かんな東京日記⑱〜親友『由紀乃』が登壇した大阪イベント〜

第102話 藤かんな東京日記⑱〜親友『由紀乃』が登壇した大阪イベント〜


由紀乃はAV女優になった私をどう思ったのか

「高校の頃からの友人が本を出すって、不思議な感じせえへん?」
 イベント後の打ち上げの席で、社長が私の親友『由紀乃』に聞いた。
「なんか、ありがとうって気持ちです。私は何の変哲のない、ワクワクしない人生を送ってるから、かんなの活躍を聞いてるだけで楽しい」
 由紀乃は言った。
「由紀乃殿、人生2周目なん?」
 私の正面に座っていた、つばさ舞ちゃんがつっ

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第100話 藤かんな東京日記⑯〜初書籍『はだかの白鳥』を初めて手にした日〜

第100話 藤かんな東京日記⑯〜初書籍『はだかの白鳥』を初めて手にした日〜


出来立てほやほやの『はだかの白鳥』と初対面

 2024年5月23日、13時、飛鳥新社の一室に通された。長机が2つと、キャスター付きの椅子が6つおいてある、10畳くらいの大きさの部屋だ。ここの部屋には何度来ただろう。月刊Hanadaのニコ生出演、『はだかの白鳥』の打ち合わせ、編集者との原稿チェック———壁に貼っている出版書籍のポスターの位置まで、正確に覚えてしまった。
 この日は、製本された『は

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第99話 美乃すずめ『ゴッドタン』収録の裏側

第99話 美乃すずめ『ゴッドタン』収録の裏側


美乃すずめは勝ち取った

 2024年、4月4日、20時半に上野の居酒屋に行った。店に入ると、社長と美乃すずめさんが座っていた。すずめさんは笑顔でこちらに手を振っている。なんだか嬉しい。
「あんな。凄いことあってん」
 私が席に座るなり、社長が言った。なんやなんや。
「その前にな、去年つばさ舞が『ゴッドタン』に出たやんか。あれは彼女がオーディションを受けて、勝ち取ったものやねん」
 つばさ舞ちゃ

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