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エッセイ・コラム

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#エッセイ

でかいものが素早く動いていると人はどうしても見ちゃうよね

でかいものが素早く動いていると人はどうしても見ちゃうよね

子供は、動くモノに目を奪われる。男子は特にだが、車や電車といったものが好きである。
小さな子供が親と一緒に電車を見て、手を振っている様子は実にほほ笑ましいものだ。

「動くモノに関心を持つ」というのは小さな子供に特有のものかのように思ってしまうのだが、そうではなく多くの人にとってわりあい普遍的なモノなのではないか、と思う。より正確に言うと、何でもかんでも動くモノに関心を持つというよりは「でかいもの

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過去を振り返るってそんなに悪くないんじゃないか

過去を振り返るってそんなに悪くないんじゃないか

私は過去の思い出を振り返るのが好きである。
友人とそもそも久々に会うというイベント自体が好きなのだが、その際に昔話に話が咲いて、あまりのなつかしさにおセンチな気持ちになる。これが何とも言えない。

ときに「私たちは今を生きているのだから、過去の思い出ではなく未来の話を酒の肴にするほうがよほど良い。過去の話ばかりを取り上げていてはならぬ」といった言説がある。
確かに一理ある。未来の話で「こんなことを

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シブい男でありたいと思った

シブい男でありたいと思った

この間池袋を歩いていたとき、すれ違う人たちのなかに中性的な見た目をした男性たちがいた。ふと目を凝らすと、そういった「きれいな男性」が都心にやけに多いことに気づく。個人の性自認も多様化している時代であるし、男性が化粧をするというのも結構当たり前になりつつあるとも聞くし、時代の流れと言えば流れなのだろう。

もっとも、男性が女性に寄っていくことこそあれ、化粧をしない/一切スネ毛を剃らないなどをして、女

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青春と歌と人生と

青春と歌と人生と

電車なんかで若い中高生がギャアギャアと仲間内で騒いでいることがある。不快そうに彼ら・彼女らを見る乗客の傍らで、ふと私は「あんな風に過ごした何気ない日々こそが青春だったんだよな」と遠い目をしてみている。

かの有名な思想家であるJ・P・サルトルは「青春とは奇妙なものだ。 外部は赤く輝いているが、内部ではなにも感じられない」という言葉を残したとされる。確かに終わってみれば青春はあまりにも眩しいけれども

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器のでっかい人になりたいものですね

器のでっかい人になりたいものですね

娘が寝静まった夜にひとりでいるとき、忘れていた一日の疲労が肉体を蝕んでいることに気づくことがある。襲いくる眠気の中で肉体の動きが緩慢になっていくのを感じながら、こうした疲労感を世の中の大人が抱えていることを認識するようになった。

日常生活のなかで私たちはたくさんの人たちとすれ違っている。ある人は我先にと歩いていき、ある人は杖をつきながら歩いていき、ある人はベビーカーを押して歩いていき、ある人は仲

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マクドナルド高すぎ問題

マクドナルド高すぎ問題

会社にハンバーガー好きの社員がいる。それほどおしゃべりでもないその社員にある日突然「あの…」と話しかけられたので、仕事の相談かと思い幾分身構えたのだが、開口一番「月見バーガーの発売が始まりました」という報告をしてくれた。
それきり会話は終わったので私も無駄に身構えてしまったなと反省したのだが、とにもかくにも私の頭の中には「月見バーガーの販売が始まった」という事実だけがしばらく残っていた。

実は、

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都会に潜むグロテスク

都会に潜むグロテスク

哀しいかな、いまでは「パパ活」という言葉がすっかり広まっている。
20~30代の女性が経済的に余裕のあるおじさん(=パパ)と食事をしたりデートをしたり、時には肉体関係を取り結ぶことで対価としてお金をもらうことを指す。
食事やデートでお金をもらうのはともかくとして、肉体関係を取り結ぶと売春になるので法的に問題があるため、社会問題として多くの人が認知するに至っている。

夜に新宿・歌舞伎町のあたりにい

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学び続けることの意義

学び続けることの意義

いまでは「ガチャ」が一般に普及したこともあるのか「●●ガチャ」という言葉をよく聞くようになった。
人生もガチャのようなものだ、として「人生ガチャ」なんて言葉もある。昔であれば「人生は運ゲー」とでも言われていたのだろう。

確かに人生が運に左右されることは多い。いまでも付き合いのある友達との出会いの瞬間など、運以外の何物でもないし、受験なんて当日の問題が得意であれば受かるし、苦手なら落ちる。運の要素

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終わりゆく夏に見えるもの

終わりゆく夏に見えるもの

フジファブリックの名曲で「若者のすべて」という歌がある。
「♪真夏のピークが去った…」という歌詞から始まるのはあまりにも有名だが、私の奥さんの友達に毎年真夏のピークが去ったあとに「若者のすべて」を聞くという律儀な人がいる。
季節も相まって、若者のすべてが沁みるようで最高に感情が揺さぶられるらしい。

多くの歌には季節がある。歌詞はもちろん、メロディーによってさらりとした春の陽気を感じることもあれば

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富士スピードウェイで耐久レースを見た話

富士スピードウェイで耐久レースを見た話

欧州と比べるとモータースポーツが日本では盛んではないが、年に何度もレースが行われている。
モータースポーツのうち、日本で最も賑わうのが鈴鹿サーキットでのF1であろう。以前鈴鹿に行った話を書いたけれども、外国人も含めたくさんの人がおりそれはもうとんでもなく混雑していた。

F1以外のレースを知っている人はそれほど多くないだろうが、それこそ一般の人も参加できるようなレースイベントもあれば、日本国内での

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街並みへのまなざし

街並みへのまなざし

静岡にいる友人に会いに行った時の話である。
友人の奥さんが非常に豊かな感性を持った人で、話をさせてもらって非常に刺激を受けた。
極めて聡明な友人も奥さんの感性に惹かれて結婚を決めたほどであり、そのすごさを窺い知ることができるだろう。

友人の奥さんは長らく静岡にいたといい、大学進学を機に上京したという。地元の静岡ではほとんど変わらない街並みだったなかで、めくるめく変わり続ける東京の街並みは「生きて

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ラーメン二郎を食べていたら哲学が始まった

ラーメン二郎を食べていたら哲学が始まった

ラーメン二郎という有名なラーメン店がある。熱狂的なファンは「ジロリアン」と呼ばれ、いまや二郎は一つのブランドとして確立している感すらある。

とりわけ有名なラーメン二郎は、テレビのニュースで報じられたことのある「神田神保町店」だろう。
テレビの取材に対してある青年が「割とレベルの高い、合格点を超えてくるような二郎を、オールウェイズ出してくれる」と論評したことでその質の高さが我々一般人にも知られるこ

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「調子」を考える

「調子」を考える

パリオリンピック・パラリンピックが終わった。
選手のインタビューなんかを聞いていると「いい調子で臨めた」といったコメントなんかをよく聞く。この「調子」というのはなんとも不思議なものだ。

「パワプロ」なんかでは選手の調子が悪いときにひどくミートが小さくなったり、投手であれば変化球の曲がり具合がショボくなったりと様々な弊害が起きたりする。それだけにパワプロの選手育成モード「サクセス」では、彼女やチー

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夢中になれる日々も、暇で仕方ない日々も愛せたらいいよね

夢中になれる日々も、暇で仕方ない日々も愛せたらいいよね

バレーボール好きで、海外を飛び回っている友人がいる。この間たまたま近くにいるということで会って少し話をしたことがあった。

私から見れば、彼は海外でバレーボールを見たり、かなり有名な選手にも取材をしたりと充実している印象だったが、話の中で彼の口から「『YouTube見てえ』とか思わないくらい、夢中になれるものを見つけたい」という言葉が出た。海外と日本を行き来するくらいなので、バレーボールに国内外問

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