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「ハードなアプローチは有害か?その3 吉福伸逸さんとの出会い」
吉福伸逸さんは、私が最も影響を受けたセラピストです。
1970年代後半から1980年代、トランスパーソナル心理学は、世界中に強烈なインパクトを与えました。
人はあらゆる二元論を超越した境地にまで成長することができる、人はどこかで繋がっている、人が成長するための道はあるのだ・・・といった考え方は、当時20代だった私をワクワクさせました。世界が変わるかもしれない・・・と、当時思ったものです。
そ
「グレート・ギャツビー」 F・スコット・フィッツジェラルド 著 村上春樹 訳 中央公論社
だいぶ前、多分20代の頃に読んだ時、僕は、なぜこれが傑作なのかわかりませんでした。なんか引っかかる作品ではありましたが・・・。
要は、一人の男が、一人の女性に恋をしたけれど、戦争で離れ離れになっている間に女性は結婚してしまう。諦めきれない男は、彼女が夫と子供と共に暮らす邸宅が内海を隔てて正面に見える場所に居を構え、いつか彼女に会えないかと、週末ごとに派手なパーティーを開きます。彼女が、パーティに
「反オカルト論」 高橋昌一郎 著 光文社新書
コナン・ドイルも、原子タリウムを発見したウィリアム・クルックスも、ノーベル生物学・医学賞を受賞したシャルル・リジェも、インチキ霊媒師にころっと騙されました。一方、当時の奇術師ハリー・フーディーニは、すぐにトリックを見破りました。「理性的」と思われる人たちは、実は神秘的なものに騙されやすいのかもしれません。
これは、少しわかるような気がします。僕は、もともと理系ですが、「現在の」数式や論理で見落と
「新しい世界 世界の賢人16人が語る未来」 クーリエ・ジャポン編 講談社現代新書
2021年1月に出版された本です。賢人たちの主張の検証は、これからなされることになるでしょう。
16人の「賢人」たちが語る、パンデミック以降の世界についてのインタビュー集です。横断的に、賢人たちが今パンデミックの中で、何を考えているのかがまとめられていて、とても興味深い本でした。
ほとんどの人は、行き過ぎたグローバリズムに対する懸念を語っています。それをどうするかについては、それぞれ独
「バッティングピッチャー」 澤宮優 著 集英社文庫
僕にとって、落合博満は、最高の打者です。素人視点なのですが、落合のスイングは、バットのヘッドが他の打者よりもっと遅れて出てきて、バットのやや上にボールを乗せて、一気に振り抜くように見えました。ボールは、理想的な軌道を描いてスタンドに向かって飛んでいきました。長嶋も王も張本もそれぞれ個性的な素晴らしいスイングだったのですが、僕には、落合のバッティングが最もしなやかで美しかったのです。
この落合のバ
ハードなアプローチは有害か?その1 Aさんの事例
以前は、激しい動きや大声を出すグループセラピーが多かったのですが、最近では、もっとソフトなアプローチが主流になっています。かつてのようなハードなアプローチで、逆にバランスを崩す例もあることは事実です。また、ハードなアプローチをすると予後が悪いと言う人もいます。僕は、この「予後が悪い」という意見には懐疑的です。予後について、徹底的にカウンセリングアプローチとの因果関係を調査した例を僕は知らないからで
もっとみる「ファイト」 佐藤賢一 著 中公文庫」
左回り、左回り、ダンス、ダンス、蝶のように舞い、それから高速の左ジャブ二発、ステップ、ステップで横に流れて、左右のワンツーを蜂のように刺す(p.32)・・・"蝶のように舞い、蜂のように刺す “(Float like a butterfly, sting like a bee)。モハメド・アリのボクシングは芸術です。
「ファイト」は、アリの4つの戦いを描いた小説です。対リストン戦、対フレー
「BUTTER」 柚木麻子 著 新潮文庫
最初の方に、暖かいご飯の上にバターを冷たいまま乗せ、少し醤油をたらす、バター醤油ご飯の話が出てきます。バターは、エシレという高級品でなくてはなりません。バターが溶け始める瞬間に味わうのです。
それを語るのが、何人もの男性に対する殺人容疑で東京拘置所に留置されている梶井真奈子です。彼女は、バターをたっぷり使った手の込んだ料理で、40代から70代の男性にふるまい、結婚をほのめかすのですが、決して結婚
「クマにあったらどうするか」 姉崎等 語り 片岡龍峯 聞き手 ちくま文庫
語りの姉崎さんは、アイヌのクマ撃ち猟師です。北海道にいるヒグマは、雄の成獣で200キロくらい、中には400キロもある巨大グマがいるそうです。
姉崎さんにとって、クマは師匠だと言います。クマの足跡を辿れば、山を歩くことができます。クマが食べているものは、人間が食べても大丈夫です。
姉崎さんは、自然の中で熊になったような気持ちになって熊を追います。常に熊の歩いた後を歩いているので、熊が逃げそうなと