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10代(ヤングアダルト)向け本の紹介「死にたい夜に効く話」ゆるゆる更新中です。

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死にたい夜に効く話【0冊目】はじめに

この世界は自分が思っていたようにはできていない。 そう気づいたのは、中学生の時。 学校生活で色々あって、メンタルがズタズタになった時でした。 そうだ、本を読もう…

Humi
4か月前
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血肉にしてこそ【死にたい夜に効く話.25冊目】『思考の整理学』外山滋比古著

なぜこうも『思考の整理学』は人気なのか。 先日寄った本屋さんでも、平積み山積み(しかもポップ付き)で並べられていた。わたしがまだ学生だった時もそんな感じで売られ…

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9日前
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家でも学校でもない居場所【死にたい夜に効く話.24冊目】『夜の光』坂木司著

友達はいた。部活にも入っていた。なのに、どうにも息苦しい。 高校生の頃、しょっちゅう昼休みや部活が始まる前に、一人でふらふら図書室へ行っては入り浸っていた。 図…

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2週間前
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「なんか好き」ってだけでもいいじゃんね?【死にたい夜に効く話.23冊目】『銀河鉄道の夜』宮澤賢治著

宮崎駿監督の「君たちはどう生きるか」を映画館で観た日、家に帰って速攻爆睡した。 実はこれって自分的には珍しい。 映画でもアニメでも小説でも、衝撃を受けたり、感動…

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2週間前
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弱さは強みになる【死にたい夜に効く話.22冊目】『弱いロボット』岡田美智男著

昔、ペットを飼っていた。 ビビりで体は弱くて、たまにドジをする。ただ、愛嬌のレベルが桁違い。 「もーしょうがないなぁ」 そうやって、面倒をみてあげているうちに、…

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3週間前
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死にたい夜に効く話【21冊目】『蜜蜂と遠雷』恩田陸著

数年前、話題になっていた頃はすごかった。 どこの本屋さんに行っても山積みで並んでて、図書館でも予約は数ヶ月待ち。 出版されて間もない頃、『蜜蜂と遠雷』からは「音…

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1か月前
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死にたい夜に効く話【20冊目】『古代ギリシャのリアル』藤村シシン著

テレビを捨てた生活を始めて早数年。わたしの日々の娯楽の中心はYouTubeになったわけで、日々刻々とすり減っていくバッテリーの消耗にヒヤヒヤしながら過ごしているのでは…

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死にたい夜に効く話【19冊目】『宇宙から帰ってきた日本人』稲泉連著

そういえば、子どもの頃から宇宙に行きたいと思ったことがないな。 いや、海外旅行にそこまで行きたいと思ったこともないし、国内旅行もろくにしないし、なんなら家の近所…

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死にたい夜に効く話【18冊目】『動物たちは何をしゃべっているのか?』山極寿一、鈴木俊貴著

以前読んだ新聞記事のことが、ずっと気になって仕方がなかった。それが、鳥の鳴き声に文法があることが発見された!っていう内容。 ちなみにわたしは学生の頃、文法という…

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3か月前
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死にたい夜に効く話【17冊目】『密やかな結晶』小川洋子著

小川洋子さんの小説を読むと、ナブナさんの「夜明けと蛍」が聴きたくなる。 『密やかな結晶』を読んでボロ泣きした後に、「夜明けと蛍」のアコースティックver.を聞いたら…

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3か月前
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死にたい夜に効く話【16冊目】『フラニーとズーイ』J.D.サリンジャー著;村上春樹訳

本は毒にも薬にもなる。 これもう、大学に入る前からずっと思ってる。 自分自身、軽い気持ちで読んだ一冊が、その後の人生の転換点になっていたってことがあるし、それか…

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4か月前
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死にたい夜に効く話【15冊目】『RDG レッドデータガール』荻原規子著

冬になると、『レッドデータガール』が読みたくなる。 学生時代の冬休み。石油ストーブの前で丸まって、当時出ていた全6巻を一気読みした。 午前に行った近所の本屋でなん…

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5か月前
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死にたい夜に効く話【14冊目】『かもめ食堂』群ようこ著

わたしはムーミンに恐怖を覚えるタイプの人間だ。少なくとも、これまで生きてきて、わたしほどムーミンにビビってる人間に出会ったことがない。 幼少期にムーミン案件で恐…

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5か月前
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死にたい夜に効く話【13冊目】『アナザー修学旅行』有沢佳映著

ああ…鹿に会いたい…。 今年はそんなことをぼやき続ける秋だった。 いや、行きゃいいんだけどね。新幹線使えば京都奈良ならわりとすぐだし。 でも修学旅行生の集団と被り…

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死にたい夜に効く話【12冊目】『聞く力』阿川佐和子著

我ながら、なかなかのコミュ障であった。 今でこそ、「わたしはコミュ障です」なんて話をすれば、「またまた〜w」と言ってもらえるぐらいには、人と関わることに困ってい…

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6か月前
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死にたい夜に効く話【11冊目】『チーズはどこへ消えた?』スペンサー・ジョンソン著;門田美鈴訳

世界的超ベストセラー『チーズはどこへ消えた?』を教えてくれたのは、大学時代に知り合った人だった。 知り合ってしばらくしてから、初めてこれまでの自分自身の話をして…

Humi
6か月前
死にたい夜に効く話【0冊目】はじめに

死にたい夜に効く話【0冊目】はじめに


この世界は自分が思っていたようにはできていない。

そう気づいたのは、中学生の時。
学校生活で色々あって、メンタルがズタズタになった時でした。

そうだ、本を読もう。

当時なぜその発想に至ったのかは謎ですが、有名作家の名前も大手出版社がどこかも知らない、別に読書が好きでもなかった中学生が、今では本に関係する仕事をしています。

そんなわたしですが、noteで「死にたい夜に効く話」と題して、10

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血肉にしてこそ【死にたい夜に効く話.25冊目】『思考の整理学』外山滋比古著

血肉にしてこそ【死にたい夜に効く話.25冊目】『思考の整理学』外山滋比古著

なぜこうも『思考の整理学』は人気なのか。
先日寄った本屋さんでも、平積み山積み(しかもポップ付き)で並べられていた。わたしがまだ学生だった時もそんな感じで売られていた記憶がある。

ロングセラー恐るべし。

昔読んだはずなのに、内容がかなりうろ覚え。そういうわけで、本棚の奥から、大学時代に買った『思考の整理学』を引っ張り出してきた。

『思考の整理学』を一言で言ってしまうなら、「考える」ということ

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家でも学校でもない居場所【死にたい夜に効く話.24冊目】『夜の光』坂木司著

家でも学校でもない居場所【死にたい夜に効く話.24冊目】『夜の光』坂木司著

友達はいた。部活にも入っていた。なのに、どうにも息苦しい。

高校生の頃、しょっちゅう昼休みや部活が始まる前に、一人でふらふら図書室へ行っては入り浸っていた。
図書室の一番奥まった廊下側。日本人作家の小説が並んだ書架の間は、陽射しが届かなくて、いつも薄暗く、人はいなかった。
中学生になってようやく読書に目覚め、小説の面白さに気づいた自分にとって、そこは宝の山だったのだ。
ずらりと並んだ本を前にして

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「なんか好き」ってだけでもいいじゃんね?【死にたい夜に効く話.23冊目】『銀河鉄道の夜』宮澤賢治著

「なんか好き」ってだけでもいいじゃんね?【死にたい夜に効く話.23冊目】『銀河鉄道の夜』宮澤賢治著

宮崎駿監督の「君たちはどう生きるか」を映画館で観た日、家に帰って速攻爆睡した。

実はこれって自分的には珍しい。
映画でもアニメでも小説でも、衝撃を受けたり、感動した作品に出会った時、家に帰ったらまず、ネット検索を始めるから。

インタビュー記事や、番宣の動画を探したり、ネットのあちこちに書き込まれているコメントをひたすら読み漁ったり、関連書籍を調べたり…。

感動した作品であればあるほど、その後

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弱さは強みになる【死にたい夜に効く話.22冊目】『弱いロボット』岡田美智男著

弱さは強みになる【死にたい夜に効く話.22冊目】『弱いロボット』岡田美智男著

昔、ペットを飼っていた。
ビビりで体は弱くて、たまにドジをする。ただ、愛嬌のレベルが桁違い。

「もーしょうがないなぁ」

そうやって、面倒をみてあげているうちに、家族全員は見事に手中に収められ、もはや、家はその子が中心に回っていたと言っても過言ではなかった。

弱いロボットを知った時、きっと目の前にしたら、かつての「もーしょうがないなぁ」な感情が出てくるんだろうなぁとは思っていた。

それにして

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死にたい夜に効く話【21冊目】『蜜蜂と遠雷』恩田陸著

死にたい夜に効く話【21冊目】『蜜蜂と遠雷』恩田陸著

数年前、話題になっていた頃はすごかった。
どこの本屋さんに行っても山積みで並んでて、図書館でも予約は数ヶ月待ち。

出版されて間もない頃、『蜜蜂と遠雷』からは「音が聴こえてくる」と話してくれた人がいたけど、その頃はちょうど、なんとなく「小説」ってもの自体から距離を置きたかった時期だったから、「へー」と聞くだけで終わってしまった。
だから、ようやく読み出したのは、文庫化してしばらくしてから。時代の波

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死にたい夜に効く話【20冊目】『古代ギリシャのリアル』藤村シシン著

死にたい夜に効く話【20冊目】『古代ギリシャのリアル』藤村シシン著

テレビを捨てた生活を始めて早数年。わたしの日々の娯楽の中心はYouTubeになったわけで、日々刻々とすり減っていくバッテリーの消耗にヒヤヒヤしながら過ごしているのではありますが、

ある日突然、この動画が上がって来た。

なんかすごい人おる!
そして、これまた偶然めぐり会えた「ゲームさんぽ」の藤村先生回を見て、すっかり先生のファンになってしまったのです。

こりゃあ、先生の書いた本も読むしかない!

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死にたい夜に効く話【19冊目】『宇宙から帰ってきた日本人』稲泉連著

死にたい夜に効く話【19冊目】『宇宙から帰ってきた日本人』稲泉連著

そういえば、子どもの頃から宇宙に行きたいと思ったことがないな。
いや、海外旅行にそこまで行きたいと思ったこともないし、国内旅行もろくにしないし、なんなら家の近所に出かけるのすらめんどくさい。宇宙どうこう以前に、単にわたしが出不精なだけな気がしないでもない。

そんなわたしでも、少なからず宇宙飛行士と呼ばれる人たちに興味があるのは、宇宙兄弟の影響であることはもう間違いない。

宇宙を目指す人たちと彼

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死にたい夜に効く話【18冊目】『動物たちは何をしゃべっているのか?』山極寿一、鈴木俊貴著

死にたい夜に効く話【18冊目】『動物たちは何をしゃべっているのか?』山極寿一、鈴木俊貴著

以前読んだ新聞記事のことが、ずっと気になって仕方がなかった。それが、鳥の鳴き声に文法があることが発見された!っていう内容。

ちなみにわたしは学生の頃、文法というものが実に好きではなかった。
現国も古文も英語も文法絡みの話は全てなんとなくでやってきた。なんとなくでやって、なんとかなってしまった。
考えるな、感じろのスタイルである。

そんなわたし、どうやら鳥業界の文法なら勉強する気が起きるらしい。

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死にたい夜に効く話【17冊目】『密やかな結晶』小川洋子著

死にたい夜に効く話【17冊目】『密やかな結晶』小川洋子著

小川洋子さんの小説を読むと、ナブナさんの「夜明けと蛍」が聴きたくなる。

『密やかな結晶』を読んでボロ泣きした後に、「夜明けと蛍」のアコースティックver.を聞いたら、余韻増し増しになって感動したのがきっかけだ。

その島では、何かが一つずつ失われていく。リボン、切手、香水、鳥やフェリー…。
彼らはそれを「消滅」と呼んでいた。

消滅が起こると、人々は消えたものについての記憶を全てなくしてしまう。

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死にたい夜に効く話【16冊目】『フラニーとズーイ』J.D.サリンジャー著;村上春樹訳

死にたい夜に効く話【16冊目】『フラニーとズーイ』J.D.サリンジャー著;村上春樹訳

本は毒にも薬にもなる。

これもう、大学に入る前からずっと思ってる。
自分自身、軽い気持ちで読んだ一冊が、その後の人生の転換点になっていたってことがあるし、それからの人生を左右するような考え方の基盤を変えてしまうきっかけになったってこともある。

それは、哲学書とか、自己啓発書とかに限らず、小説だって例外じゃない。むしろ、物語という形で伝えるからこそ、人間の奥深くの精神的な部分に、直接入り混んでし

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死にたい夜に効く話【15冊目】『RDG レッドデータガール』荻原規子著

死にたい夜に効く話【15冊目】『RDG レッドデータガール』荻原規子著

冬になると、『レッドデータガール』が読みたくなる。

学生時代の冬休み。石油ストーブの前で丸まって、当時出ていた全6巻を一気読みした。
午前に行った近所の本屋でなんとなく、1巻だけ読んでみるかーと思って買って読んだら、続きが読みたくなって、昼過ぎにまた本屋へ出かけ、夕方にまた続きが読みたくなってまた本屋へ出かけ、結局、真冬の寒い中、一日で家と本屋を自転車で3往復することになった。
最初から全巻買っ

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死にたい夜に効く話【14冊目】『かもめ食堂』群ようこ著

死にたい夜に効く話【14冊目】『かもめ食堂』群ようこ著

わたしはムーミンに恐怖を覚えるタイプの人間だ。少なくとも、これまで生きてきて、わたしほどムーミンにビビってる人間に出会ったことがない。

幼少期にムーミン案件で恐怖体験をしてからというものの、ムーミンは長い間トラウマだった。大学を出たあたりでようやくそこまで怖がらなくなったが、ムーミンを見かけるたび、いまだに「ムーミン…」と条件反射で身構えている自分がいる。

そんなわたし。
「海外行くならどこ行

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死にたい夜に効く話【13冊目】『アナザー修学旅行』有沢佳映著

死にたい夜に効く話【13冊目】『アナザー修学旅行』有沢佳映著

ああ…鹿に会いたい…。

今年はそんなことをぼやき続ける秋だった。
いや、行きゃいいんだけどね。新幹線使えば京都奈良ならわりとすぐだし。
でも修学旅行生の集団と被りそうだしぃ、とかだらだら渋ってたら冬が来てしまった。

鹿と言えば修学旅行でしょ。ということで、今日は修学旅行を題材にした小説を。

主人公の中3女子・三浦佐和子は、修学旅行を目前に足を骨折してしまい参加できなくなってしまう。が、参加し

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死にたい夜に効く話【12冊目】『聞く力』阿川佐和子著

死にたい夜に効く話【12冊目】『聞く力』阿川佐和子著

我ながら、なかなかのコミュ障であった。

今でこそ、「わたしはコミュ障です」なんて話をすれば、「またまた〜w」と言ってもらえるぐらいには、人と関わることに困っていない。
でも本当にひどかった。

小学生の頃は良かった。物静か=大人びている、といい感じに解釈されてたことや、なぜか周りの友達が陽キャばかりで、いい感じに輪に入れてたりと、なんだかんだ乗り切れてしまった。

だがしかし、中学で色々あってか

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死にたい夜に効く話【11冊目】『チーズはどこへ消えた?』スペンサー・ジョンソン著;門田美鈴訳

死にたい夜に効く話【11冊目】『チーズはどこへ消えた?』スペンサー・ジョンソン著;門田美鈴訳

世界的超ベストセラー『チーズはどこへ消えた?』を教えてくれたのは、大学時代に知り合った人だった。

知り合ってしばらくしてから、初めてこれまでの自分自身の話をしてくれた。
普段すごく明るいその人からは想像できないような苦労をしてきたことに驚いた。人はなんて見かけによらないんだろう。
そして、その人の人生の進め方は、わたしが出会ってきた誰とも違っていた。それは、わたしだったら不安で仕方なくなるような

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