稲泉連

【80-生活】繰り返される豪雨災害 故・中村哲氏の治水意識に学べ|稲泉連

【80-生活】繰り返される豪雨災害 故・中村哲氏の治水意識に学べ|稲泉連

文・稲泉連(ノンフィクション作家) 「国土」や「地域」のあり方 作家の幸田文の随筆に『崩れ』という作品がある。齢70を超えた彼女が日本全国の山腹崩壊の現場を歩いたもので、富士山の「大沢崩れ」や安倍川の荒れ果てた上流域など、土砂崩れや川の暴れた後の風景が描写されている。同書のなかで、老いゆく自らの心情を目の前の風景に重ねつつ、幸田は次のような心の機微を吐露している。 〈この崩れこの荒れは、いつかわが山河になっている。わが、というのは私のという心でもあり、いつのまにかわが棲

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稲泉連さんのおふくろの話。

稲泉連さんのおふくろの話。

著名人が母親との思い出を回顧します。今回の語り手は、稲泉連さん(ノンフィクション作家)です。 サーカスで働いた理由 母は周囲からいつも、行動が唐突な人だと言われてきたらしい。確かに数年前も突然、「私は那須で暮らすことにした」と言い出し、同世代の知人が共同生活を営む高齢者向けサービス付の住宅地に引っ越していった。何事にも慎重な僕とは違い、物事を決めてからの行動がとにかく早い。その辺りは雑誌ライターやノンフィクション作家として、様々な現場を渡り歩いてきた習性みたいなものなのか

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野口聡一が見た宇宙という「暗黒の死の世界」と「絶対的な孤独」

野口聡一が見た宇宙という「暗黒の死の世界」と「絶対的な孤独」

宇宙飛行士の野口聡一さんが11月16日午前9時27分(日本時間)に、自身にとって3度目となる宇宙飛行へと旅立つ。イーロン・マスク率いるスペースXが開発した運用第一号機「クルードラゴン」に搭乗して、野口さんはISSへと向かい、今回もまた船外活動――EVAに従事する予定だ。日本人ではいまだ4人しか経験したことのないEVAだが、そこで宇宙飛行士たちは何ものにも遮られることのない「闇」を目にするという――。 野口聡一さんの宇宙飛行を記念して、『宇宙から帰ってきた日本人』(稲泉連著)

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地球から離れてどうだった?『宇宙から帰ってきた日本人』を読みました。

地球から離れてどうだった?『宇宙から帰ってきた日本人』を読みました。

経験したことがない体験の一端を知れるのは読書のよいところです。 宇宙飛行を経験した日本人は12人だけです。その12人が何を語るのか気になって、読みました。宇宙飛行を「出張」だととらえる人がいたり、人生がかわったり、その大なり小なりのインパクトがおもしろかったです。その感想を綴ってみます。 宇宙から見る地球 本書では、今まで宇宙に行った12人の日本人に対してインタビューを行っています。どのインタビューでも共通しているのは、「地球を宇宙から見た感想」でした。 その感想は似て

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◆ 気になった本 19

◆ 気になった本 19

「宇宙から帰ってきた日本人」(稲泉連 文藝春秋 9784163911076) 50年前とは違って いまでは 宇宙飛行士の存在意義もステイタスも随分と変わってしまったけど 日本人では12名しかいない宇宙飛行士 その全員とのインタビュー集は貴重 もうずいぶん前だけど ある提案で 目玉として“宇宙飛行士との対談”を企画したことがある 幸か不幸か その提案は採用されなかったからそのまま立ち消えに 今となっては その可能性すらないんだけど ボクの心の片隅には いつか“地球を飛び出し

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もう一つの“東京1964”「56年前のパラリンピック」卓球ダブルスで銅メダルを獲得した、ある女性の物語

もう一つの“東京1964”「56年前のパラリンピック」卓球ダブルスで銅メダルを獲得した、ある女性の物語

文・稲泉連(ノンフィクション作家) プロフィール/1979年生まれ。早稲田大学第二文学部卒。2005年、『ぼくもいくさに征くのだけれど―竹内浩三の詩と死―』で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。主な著書に『復興の書店』『豊田章男が愛したテストドライバー』『「本をつくる」という仕事』『宇宙から帰ってきた日本人』がある。 現在のパラリンピックの源流となる大会  今から56年前の1964年のことだ。10月に行なわれた東京オリンピックが閉幕した2週間後、選手村のあった代々木の「織田

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宇宙から帰ってきた日本人 日本人宇宙飛行士全12人の証言【特別公開】

宇宙から帰ってきた日本人 日本人宇宙飛行士全12人の証言【特別公開】

 11月15日、ノンフィクション作家・稲泉連氏の最新作『宇宙から帰ってきた日本人』が刊行された。稲泉氏は同書の執筆にあたり、日本人宇宙飛行士全12人にインタビューを行い、彼らの「宇宙体験」を徹底的に聞き出した。たった12人しかいない、宇宙へ行った日本人。彼らはそこで何を見たのか――。  同書の刊行を記念して、CHAPTER 1「この宇宙で最も美しい夜明け 秋山豊寛の見た『危機に瀕する地球』」を特別に全文公開する。 地球と宇宙のはざまの〝青〟  低軌道と呼ばれる地上四〇〇キ

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