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短歌12: 「こんな世界で」30首
暗闇に見える光のようなもの希望も闇に逃げたっていい
どうしても生きたい理由は見つからず死にたい理由もまた見つからず
目の前の誰も救えず泣いている神様に差し出したハンカチ
大丈夫ナイフで刺せば血が出るし殴れば歯とか抜けるよあいつも
せめてもの抵抗無言で舌を出すマスクの中はいつも強気だ
「あこもこばりぐだめぐな」と祖母が言う分からないけど頷いておく
味のないガム、溶けたチョコ、結末に意味の
俳句05:「繰り返す孤独」20句
見飽きたの葉桜君の横顔も
たんぽぽは踏み潰されたけんけんぱ
すり減った心の数だけ剥くアスパラ
春まけて通学帽が並ぶ朝
心中は未遂に終わり三冬尽く
夕焼けは誰のものでもありません
誰からも好かれていないあの金魚
助走つけ踏み込む初夏を飛び越へて
おぼろげな紫陽花目には涙落つ
サンダルを投げ捨て少女何処へゆく
袖口を林檎の如く齧りけり
ふみつぶす銀杏わざと子は笑ふ
秋の蝶逃げ道
俳句04:「いつか咲くまで」30句
泡立てる卵に殺意一欠片
拝啓をつける間もなく花は葉に
長閑さとねむたさ混ぜる朝の匙
飛花落花誰も気づかぬ爪の色
花曇りマスカラを塗る誰のため
あの日々と違う香水すれ違う
木の芽時雁字搦めの日々だった
彷徨った如月声もあげず泣く
五月闇わたしを守る傘がない
蝉の声だけが聞こえる暗い部屋
ソーダ水飲み込む言いたいこと全部
塗りたくる苺ジャムまだ怒ってる
向日葵になりたい少し大き