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俳句05:「繰り返す孤独」20句
見飽きたの葉桜君の横顔も
たんぽぽは踏み潰されたけんけんぱ
すり減った心の数だけ剥くアスパラ
春まけて通学帽が並ぶ朝
心中は未遂に終わり三冬尽く
夕焼けは誰のものでもありません
誰からも好かれていないあの金魚
助走つけ踏み込む初夏を飛び越へて
おぼろげな紫陽花目には涙落つ
サンダルを投げ捨て少女何処へゆく
袖口を林檎の如く齧りけり
ふみつぶす銀杏わざと子は笑ふ
秋の蝶逃げ道
俳句04:「いつか咲くまで」30句
泡立てる卵に殺意一欠片
拝啓をつける間もなく花は葉に
長閑さとねむたさ混ぜる朝の匙
飛花落花誰も気づかぬ爪の色
花曇りマスカラを塗る誰のため
あの日々と違う香水すれ違う
木の芽時雁字搦めの日々だった
彷徨った如月声もあげず泣く
五月闇わたしを守る傘がない
蝉の声だけが聞こえる暗い部屋
ソーダ水飲み込む言いたいこと全部
塗りたくる苺ジャムまだ怒ってる
向日葵になりたい少し大き
俳句03:「水泡に帰す」30句
クラス替えひとりがふたり浮いている
春の風悲しみ連れていってくれ
春の闇、憂鬱、明日がもう今日に
誰だって春が好きだと思うなよ
春時雨 震える瞼に光るラメ
桜花迷いも全部酔いに消え
楽しいの対義語は夏嫌いな日
すぐに死ぬ蝉ですら泣く死にたいと
逃げ惑う金魚を笑ういじめっ子
生きるのは下手でもラムネ開けられる
感情を殺すためにある生ビール
射的屋で嫌いなあいつ浮かべ撃つ
月兎