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あとがき


何者かになりたかった
実生活が充実していない、社会に適合できないのであれば才能や実力はともかく創作で生きていくしかないと思った

漫画家になろうと思った。絵が下手だった
練習しようと思うほど絵を描くことが好きになれなかった

バンドマンになろうと思った。ギターが下手だった
練習しようと思うほど音楽を好きになれなかった

小説家になろうと思った。何も思い浮かばなかった
机に向かってみても、ただ一日が終わっていた


気づけば25歳になっていた
周りは結婚、出産、次のライフステージに進んでいた。相変わらず私には何もなかった


毎日、足掻きながら創作をする生活をしていた
親戚に結婚話を聞かれる度苦笑いで乗り切った
将来のことを思うと不安で逃げ出したくなった
何者にもなれず今もまだ澱みの底を生きている

毎日引きこもっていた中学生の頃
高校でひとりで食べたお弁当の味
大学で周りの恋話についていけなかったこと
小さな部屋の中絶望に苛まれて過ごした日々
全てが創作として糧になっていると信じたい


今の人生にあとがきをつけるならこうなります
変わらない日々を嘆き、踠き、開き直る日々も
何かが変わることを願う日々も愛おしいです。

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