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短歌12: 「こんな世界で」30首

短歌12: 「こんな世界で」30首

暗闇に見える光のようなもの希望も闇に逃げたっていい

どうしても生きたい理由は見つからず死にたい理由もまた見つからず

目の前の誰も救えず泣いている神様に差し出したハンカチ

大丈夫ナイフで刺せば血が出るし殴れば歯とか抜けるよあいつも

せめてもの抵抗無言で舌を出すマスクの中はいつも強気だ

「あこもこばりぐだめぐな」と祖母が言う分からないけど頷いておく

味のないガム、溶けたチョコ、結末に意味の

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短歌11:「ひとり彷徨う」30首

短歌11:「ひとり彷徨う」30首

広告に「楽しもう!」とか書いてある電車でみんな死んだ目してる 

気づいたら死んでたくらいの感覚で生きてみたいし死んでもみたい

帰り道知らない道を曲がるもうどこにも行きたくないはずなのに

丁寧な暮らしばかりが溢れてるタイムラインに殺される朝

沸々と小さな怒り沈めてくいちごがジャムになるのを見てる

悲しみは悲しみでしか救えない明るい歌は誰かの凶器 

吾輩は猫になり寝るだけでい

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短歌10:「憂鬱な帰り道」30首

短歌10:「憂鬱な帰り道」30首

なんとなく死にたくなった帰り道ネクターのない自販機に闇

まだ泣いてないから皆気づかないわたしがとっくに限界なこと

辛いなら頑張らなくていいなんて誰も教えてくれなかったよ

いつだって思ったことが顔に出る下手な生き方だけは上手くて

青春の抜け殻ばかり落ちている巣鴨駅前セブンイレブン

帰り道コンビニで買うロング缶1駅分の逃避行です

憂鬱と歩いて帰るこの街は今日も誰かの心を殺す

悲しみに不安

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短歌:09 自作テーマ5首

短歌:09 自作テーマ5首

最初からなにもなかったぼくたちは最後までまた被害者ぶって

絶望はいつだってすぐそこにあるゴミ捨て場には誰かの涙

ねえなんで誰も教えてあげないの神は誰にも微笑まないと

逃げ出そう安心できる居場所などないけど怖いことなどないよ

マネキンは私ではない試着室なんか違うが何回もある

短歌08:自作テーマ6首

短歌08:自作テーマ6首

テーマ「恋」

真夜中に電話したくて会いたくて傷つくことも承知の上で

すれ違うほんの瞬間思い知るあの子は私ではないことを

テーマ「ひとり」

まだなにも成し遂げてないそれなのに夜中にポテチひとりで食べて

今までもひとりだったしこれからもひとりで平気いい子でいれる

テーマ「電」

電柱についてる蝉が3日目で死ぬのを選ぶそれも自由だ

リモコンの電池が切れて買わなきゃと思って今も動けない部屋

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短歌:07 「生活」5首

短歌:07 「生活」5首

未練、傷、ひとりの時間ワンルーム伸びてる爪を切ろうか悩む

目玉焼き綺麗に焼けた丁寧な暮らしを見せる相手はおらず

悲しみが消えないうちにとりあえず袋ラーメン鍋に投げ入れ

かまわないほこりまみれの鏡でもどうせ見るのは嫌いな自分

うつむいて歩く視線の先にある影すらぼくを嘲笑うのか

短歌:06 「友の命日」6首

短歌:06 「友の命日」6首

「友の命日」6首

小説のようだと思った冷たい手友達がもう死んでいること

「ご冥福お祈りします」という声に親族席は俯いたまま

「久しぶり」そう言われても喜べず、級友達は頷き合うだけ

お焼香やり方調べ祖父以来参列してる友の葬式

葬儀場に響くお経と泣き声 遺影の写真だけが笑う

友達とスイカを食べたこの家に線香落ちる静かなお盆

短歌05:「孤独の泣き場所」 30首

短歌05:「孤独の泣き場所」 30首

その中に私は多分含まない「誰か遊ぼう」「皆大好き」

幸せなあの子のインスタ見ながら温めている冷凍食品

頑張った今日もなんとか生き延びたホールケーキはひとりで食べる

百均で必要のないものを買うそんな余裕が今は足りない

音楽を続ける彼等、観客の何者にもなれなかった僕

誰にも守られないから私は今日も1人で傘をさしている

君だけは許してあげて君だけは無様な僕をどうか許して

この場所で待ってい

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短歌04: 「笑い声が聞こえる」30首

短歌04: 「笑い声が聞こえる」30首

値引きシールに喜んで終わる今日主人公にはなれない僕達

神様にだって真夜中泣きじゃくることで耐えてる悩みもあるさ

満員の電車に溢れるため息と沈黙の中笑う広告

失った日々も君もそれでもまだここからずっと 動けずにいる

前向きに歩めばいいよこの線を踏み出し前へ歩めばいいよ  

ダメですか?このまま独り生きるのはでは死ぬのなら構いませんか?

「平気?」「はい、大丈夫です。」「もう少しだけ頑張り

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短歌:03  「暗闇」10首

短歌:03 「暗闇」10首

「幸せはそこになければないですね」探すことすらしないのか、神

そのまんま、そのまんだよ絶望は思った通りの形をしてる

終点に希望の残骸だけがある誰かが忘れたもしくは置いた

天国は意外と暗い こんなとこ来なきゃよかった生きればよかった

現実の壁がどこにも見あたらず 彷徨う僕らを「平和」と言うな

薄れゆく意識の中で暗闇の中にも光あるのだと知り

暗闇の中で掴んだ気がしてた希望は全部偽物でした

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短歌:02 「たべもの」10首

短歌:02 「たべもの」10首

知らないって言ってるでしょ捨てられた苺のヘタの気持ちなんかは

死にたさを紛らわすため真夜中にかき混ぜている生クリーム

かなしみがゆっくり消えてゆくチョコバナナパフェ一口食べる度に

深夜2時プリンを作るこんなことしてる場合じゃないのだけれど

誰かいるような顔してドアを開け、ひとりで食べるピザを受け取る

パンケーキメープルシロップ垂らしたらここは小さなワンダーランド

不器用なりんごの剥き方

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短歌:01  過去作品 25首

短歌:01 過去作品 25首

タイトルのセンスがない。すみません。

InstagramやTwitterに写真×短歌として載せているものをまとめました。

「また今日も殺してしまった。」そう言って電車はいつも泣きながら、朝

限界はすぐそこまできているあとごめんなさいを何回言えば

泣きながら祈り続ける幸せな日々が欲しいとそれが嘘でも

大丈夫悲しい時はかなしいと言っても良いと知っているので

生と死のふたつの海で生きるでも死

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