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短歌12: 「こんな世界で」30首


暗闇に見える光のようなもの希望も闇に逃げたっていい

どうしても生きたい理由は見つからず死にたい理由もまた見つからず

目の前の誰も救えず泣いている神様に差し出したハンカチ

大丈夫ナイフで刺せば血が出るし殴れば歯とか抜けるよあいつも

せめてもの抵抗無言で舌を出すマスクの中はいつも強気だ

「あこもこばりぐだめぐな」と祖母が言う分からないけど頷いておく

味のないガム、溶けたチョコ、結末に意味のないことなんてないんだ

破滅へと導くためのアルコール悲鳴を上げる身体と心

あの子の殻割ってみたいどんな中身が出てこようとも多分好き

散らかった部屋もアートだ憂鬱も個性だ少し黙っててくれ

この街は孤独がいっぱいいるのにどうしてみんなそんな早足

粉々になった心は止まったまま動き出す気配がないのです

壊れても治してくれる人はいないこころはいつもひとりぼっち

疲れたら休めばいいよ世界にも止まれの表示がいっぱいあれば

チョコバナナパフェは凄いや天国の入り口にでも置けばいいのに

つまらない普通の日々に笑ってるふりをしている人を指差せ

歯車が狂い始めた脳内の中ではずっと誰かが笑う

風の音泣いてるみたいそうやって許されてきたあの子の真似か

「死ぬの怖い」そう言いながらさっきから死んだ魚を何皿食べた?

欲望の赴くままに七味入れたまには悪いふりでもしよう

自らを人質に取り閉じこもる孤独の部屋で武器を片手に

コマンドのような愛想笑いする度にすり減っていくHP

この街に明かりはなくて夢なんて見ることすらも知らなかったよ

終電の人身事故に舌打ちが聞こえるこんな現実じゃそりゃ

生き方が下手どこだって馴染めないバレないように小さく泣いた

踏み潰す踵優しくない誰もピアスの穴に通る憂鬱

あの人もあの人ももういないんだこんな世界でなにをしようか

逃げ道もなくて途方にくれる夜何処探しても味方はいない

「助けて」が最後の合図天使でも死神でもいい迎えに来てよ

幸せになりたい君の優しさに怖がらないでついていきたい


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