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エッセイ

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自分のこと (機能不全家族、依存、仕事、恋愛、心療内科、発達障害)
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#教育

あなたはいい子

あなたはいい子

小学生の時、弟の付き添いで、週に二回、学習教室に行っていた。

大学の敷地内、周囲に木が鬱蒼と茂った小さな建物の中、薄暗くひんやりとした廊下の突き当りに、その教室はあった。

狭い教室の中は、ボランティアの学生さんや同年代ぐらいの子どもたち、付き添いの保護者の方たちでいつも賑わっていた。

後から知ったことだが、そこは、『通常の学級に在籍していて、学習面や生活面でつまずきがある子どもにとって適切な

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時分の花

時分の花

最近、空き時間に色々なクラスの支援に入っている。
後ろから見る先生方の指導、凄く新鮮だし勉強になる。
「だからあの時上手くいかなかったのか!」っていう答え合わせができるし、
「次はこうしよう。」ってアイディアがどんどん湧き出る。
Twitterでその日学んだことを連投してるから、フォロワーさんには「何事??」と思われていたのではないかと。

今のポジションも、悪いことばかりじゃないじゃない。
やる

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置かれた場所で咲く花に

置かれた場所で咲く花に

今日は、コメダ珈琲でモーニングをするって決めていた。
たっぷりサイズの珈琲を頼んで、ゆっくり考えたいことがあったから。



来年度は担任外になるかもしれない。
なんだかんだ言いながら、教員の仕事が好きだし、教員であることに誇りを持ってる。
特に担任として、一番近くで子どもたちの成長を見守れることに大きな魅力を感じてきた。
だからこそ、この人事に傷ついた自分がいる。
戦力外通告ってこと?私は必要

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君なりに精一杯やってる

君なりに精一杯やってる

年度末、子どもたちが落ち着かない。
今までの指導の積み重ねが3月に出るという。
行事が立て込んでいて自分自身の余裕もない。
余裕が無くて強く言ってしまう。
強く言うから反発を食らう。
更に強い指導をする。…悪循環。
毎日毎日、後悔ばかり。

子どもたちの意見に頭ごなしでダメだと言ってしまっていたな。
「楽しそう!」って笑って共感してあげれば良かった。
できない時は子どもが納得できるように理由まで考

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相手を救う道は自分が助かる道を全て棄てること

相手を救う道は自分が助かる道を全て棄てること

最近、"寄り添う"って凄く凄く難しい、と痛感している。

保護者の方に対して、「お子さんの気持ちに寄り添っていきます。」という言葉をよく使っていた。
軽々しく用いていたけれど、私の"寄り添う"ってペラいな…と、穴があれば入りたい気持ち。

私にとっての"寄り添う"は、「悩みを言ってきた子どもに親身になって話を聞いてあげ、解決策を一緒に考える」ということだった。
でも、本当に悩みを抱えた子は自分から

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美しさはいつも別れの中に

美しさはいつも別れの中に

2月の終わりが見えてきた。
もう今担任しているクラスも1ヶ月と少し。
やっぱり今年も緩い感じになっちゃったけれど、一人一人個性豊かで本当に可愛い子どもたちと毎日を過ごせて幸せ。

この仕事をしていると、別れる為に出会うのかな?という錯覚に陥ることがある。

4月、彼らと初めて出会った時を思い出す。
クラス替えがあったばかり。緊張した面持ち。
ピンと張り詰めた静寂。こちらまで息が詰まるような思いだっ

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傷つけるのに守りたくて

傷つけるのに守りたくて

最近、注意が多くなっていますよね。
先生は、どんなことを言っていたのかな?
授業中のお喋りや態度、物の使い方…そうだね。
じゃあ、どうして一つ一つ注意をするんだろう?
それはね、いいクラスになって欲しいからなんだ。
ちゃんとやってるのにって悲しむ人がいたら先生も悲しい。
ルールを破っても平気なんだ、できないなら諦めてもいいんだって思うような人になって欲しくない。その思いは自分のためにもならないし、

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心が痛くなったなら 手当てをしてあげる

心が痛くなったなら 手当てをしてあげる

クラスの子どもがキレて暴れた。
物を投げ、友だちに掴みかかった。
必死に制止する中で見えた彼は、涙をポロポロと流していて、私まで悲しくなった。
彼のとめどない苦しみが伝わるようで。

彼は、お家の人から暴力を受けて保護されたことがある。
キレ方を見るとその影響を感じた。
本人にはどうしようもない家庭環境という負のスパイラル。
断ち切ってあげたい。
でも、それはできない。
私にできることって何だろう

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私はここで待つ ただの止まり木でしかない

私はここで待つ ただの止まり木でしかない

私は子どもたちにとって「止まり木」に過ぎないな、と思う時がある。
子どもたちを変えることはできない。でも、情報や選択肢を与えることはできる。
成長する過程で、私という止まり木に寄って、少しでも彼らを認める言葉や成長を促すきっかけを与えられたらそれでいい。

教師となって一年目は、「ちゃんとさせなきゃ」という意識が強かった。
全員に正しさを強く求めた。
響きは良いが、目の前の子どもを見ておらず一方的

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教師のバトン

教師のバトン

ある話を書きたいと思っている。
教師について。
良さも苦しさも等身大に、そして、多くの人と関わり、全力で子どもと向き合う事で成長していく姿を。
誰かの為に、自分自身を変えていこうと必死にもがく姿を。
教師という仕事を、ポジティブに描けたらと思う。
この仕事にはネガティブなイメージが付き纏いがちだ。「#教師のバトン」で検索すれば阿鼻叫喚のツイート。
事実、働き方改革とは逆行している部分はある。
しか

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智目行足の一年に

智目行足の一年に

「智目行足(ちもくぎょうそく)をもって清涼池に到る」
という言葉があります。
仏教用語で、学問と実践にたいする基本姿勢を現したものです。

智恵の目(智目)とそれにもとづいた実践(行足)があってはじめて、清涼な池に象徴される悟りに至ることができるとされているのです。

清涼な悟りの境地に到達するためには、まず仏の教えを学び、知恵の目をもって悟りに至る道を見極めなけれはなりません。そして実際にその道

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母には敵わない

母には敵わない

「実はあなたの運動会、見に行ってたんだよね。」
突然の告白。
去年の秋、母は成人した娘の運動会を見に、
はるばる田舎まで足を運んでいたらしい。

「あなた萎縮してるし、落ち着きがなかった。普段からそんな感じで仕事してるでしょう。」

どういうこと?

「ミスしたくないって気持ちが先行して、上手く動けてないし、周りを気にしてばかりで忙しない。怒られたくないっていう気持ちが態度に出てるよ。」
…言い当

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小さな夢

小さな夢

小さな夢がある。
それは、自宅で小さなフリースクールを開くこと。

不登校のお子さんを担任した時に、その子のお母様が仰っていた言葉、
「この子はこの先どうなるのでしょうか?」
虚ろな瞳。私は何も言えなかった。心から申し訳なくて今でも心が痛む。
学校では限界がある。担任しているその他30人の子どもたちもいるから。

でもフリースクールなら、学校に居場所を見い出せない子どもたちの伴走者となり、勉強の楽

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