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美しさはいつも別れの中に

2月の終わりが見えてきた。
もう今担任しているクラスも1ヶ月と少し。
やっぱり今年も緩い感じになっちゃったけれど、一人一人個性豊かで本当に可愛い子どもたちと毎日を過ごせて幸せ。

この仕事をしていると、別れる為に出会うのかな?という錯覚に陥ることがある。

4月、彼らと初めて出会った時を思い出す。
クラス替えがあったばかり。緊張した面持ち。
ピンと張り詰めた静寂。こちらまで息が詰まるような思いだった。
今じゃすっかり騒がしく、「うるさい!」と笑い合える。
6月と11月、トラブルが多かった。子どもたち同士、泣いたり怒ったり、自分たちの思いをぶつけ合っていた。
乗り越えて、今ではすっかり仲良し。
女子のグループも無く、高学年には珍しく、皆が全員遊びを心から楽しみにしている。
賑やかで、皆仲良し、悪いことも皆でGO!笑
そして皆で怒られる。
でも3秒後には笑ってる。
そんな自慢のクラス。

一人一人に焦点を当てると、
反抗的だった、けれど本気で気持ちを伝えたら少しずつ勉強に向き合い始めたあの子とも、
毎日遅刻して来てたのに最近は朝から登校班で来れるようになったあの子とも、
挨拶の声がとびきり大きくて6年生への意欲十分なあの子とも、
控えめだけどいつも皆のために牛乳パックを並べてくれるあの子とも、
発表が苦手な子が頑張って帰りの会の司会をした後に、自然に拍手が出る優しいあの子とも、
3月で、きっとお別れ。
一年間で随分成長したね。
子どもたちの力って本当に、凄い。

皆、誰かにとっての宝物。
そんな尊い存在を預かる重責に押しつぶされそうにもなる。私には、授業力があるわけでも、圧倒的なリーダーシップがあるわけでもない。未だに色々上手くいかなくて凹む。
「私が担任じゃなければ…」
って思ってしまうこと星の数。
先生って別に、特別でも偉くもない。
寧ろ子どもたちの成長に携わらせて頂いてありがたい。
毎日学校に来てくれて、私なんかの授業を受けてくれてありがとうって伝えたい。

最後の日に、
「頑張ってね。貴方達なら何があっても大丈夫。」
と笑って伝えられるように、今から別れの準備をしよう。ここに居てくれてありがとうと感謝を伝え、来年はどうありたい?と問いかける。

アルプスの少女ハイジに好きな一節がある。
「人間でも、自然でも、最後のお別れの言葉がいちばん美しいものだ。夕やけはなあ、太陽が、山々に向かって、さようならのあいさつのしるしなんだよ。だから、あんなに美しいのさ。」

春の芽吹き。西日がさし始めた教室。皆の笑顔。「さようなら。」と駆け出すランドセルの後ろ姿。決して振り返らず前へ前へ。でも、それでいい。
私は共に進むことは出来ないけれど、せめて煌めく背中を見守らせて欲しい。

美しさはいつも別れの中にある。

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