綱渡鳥@目指せ学芸員2.0

中世考古学が専門の行政内研究者。夢は晴耕雨読。歴史文化の価値が高まる社会の実現を目指す…

綱渡鳥@目指せ学芸員2.0

中世考古学が専門の行政内研究者。夢は晴耕雨読。歴史文化の価値が高まる社会の実現を目指す。仕事ポートフォリオ:自治体学芸員として【松島町歴史文化基本構想】考古学者として 【2018「中世」『宮城考古学』20】

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第1回 自己紹介

はじめまして綱渡鳥(つなわたりどり)と申します。 このハンドルネームは大学生の頃から使っていて愛着があります。 別に実名を出しても困ることはないのですが、ネット…

第1472回 飢饉より恐ろしいものは

1、読書記録348 今回ご紹介するのはこちら。 藤木久志2018『飢餓と戦争の戦国を行く』 本書のキモは8年ほどかけて作られたという中世の飢餓をひきおこす災害に関するデ…

第1471回 2024/4/22〜5/4の歴史ニュース

1、満喫している感はある GWも半ばが過ぎましたが、みなさまはいかがお過ごしでしょうか。 私は前半で地元サッカーチームの試合をスタジアムで観戦したり、庭でBBQ、石碑…

第1470号 いつかは漢詩を読めるようになりたい

1、禅寺で漢詩を学ぶ 本日は先日参加したこちらのご紹介。 宮城県松島町の瑞巌寺で老師による漢詩についてのご講話。 全4回のうち第1回目は4月14日に開催されました。 …

第1469号 2024/4/4〜21の歴史ニュース

1、世界観に浸れる読書に勝る喜びはない 4月ももう20日。 ミヤギでも桜は散ってしまいましたね。 今日は予定していた調査が同行者の体調不良で中止になったり、図書館来…

第1468号 いつか日本刀を買おうと決意した

1、日本刀は買えないけど 先日こちらにお邪魔してきました。 ちゃっかり私も写っていますが、 「刀剣商による日本刀基礎講座」ということで きっちり座学を受けた後に…

第1467号 人の心性はこんなところに現れるもの

1、読書記録347 本日ご紹介するのはこちら 平野多恵2024『おみくじの歴史: 神仏のお告げはなぜ詩歌なのか 』吉川弘文館(歴史文化ライブラリー 583) 2、こんなおみくじが…

第1466号 2024/3/23〜4/3の歴史ニュース

1、新年度になりました! なんかぬるっと始まりましたが、いまいちペースが掴めずイライラしがちな4月です。 どうも歯車がうまく噛み合わないこと多いし。 こんな時には…

第1465号 郷土の偉人を調べるきっかけに

1、読書記録346 本日ご紹介するのはこちら。 https://bookmeter.com/books/21702804 古田義弘2023『仙台領に生きる 郷土の偉人傳Ⅴ』 住宅問題評論家から郷土史家へと…

第1464号 「なんとなく」から「そうだったのか」に

1、読書記録345 本日ご紹介するのはこちら。 島村恭則2024『現代民俗学入門』創元ビジュアル教養+α 身近なところから、しかもかなり現代的な疑問をとっかかりに、 若…

第1463号 2024/3/3〜22の歴史ニュース

1、まだまだ寒いけれども もう3月ものこり10日あまり。 我が職場でも人事異動の発表があり、落ち着かない日々が続いています。 今年の大河ドラマを見ている影響か春の除…

第1462回 平泉を巡る研究最前線

1、公開講座記録 昨日東北学院大学で開催された公開講座、「陸奥国 古代から中世への展開─研究の最前線」に参加してきたのでその感想を紹介します。 これは毎年東北学…

第1461回 まだまだブラックボックスの中に

1、読書記録344 今回ご紹介するのはこちら 出版社の編集者で、昭和の歴史探偵、半藤一利氏と親しく交流していたことがあとがきに記されています。 そんな著者が、太平洋…

第1460回 社会現象を冷静に眺めるために

1、読書記録343 本日はこちら。 飯島渉2024『感染症の歴史学』岩波新書 2、記録し、歴史に位置付ける 新型コロナ感染症に翻弄された月日を地域としてどう記録していく…

第1459回 2024/2/21〜3/2の歴史ニュース

1、賑わいはうれしいが ついに3月。 昨日は珍しく仙台の街中まで仲間とお酒を飲みに行ったのですが 卒業シーズン、送別会の時期だからかどこの店も賑わっていましたね。…

第1458回 知っていた方が人生楽しい。それだけで学ぶ理由になる

1、読書記録342 今回ご紹介するのはこちら。 月刊文化財 令和6年3月号 通巻726号 ◆新指定の文化財ー建造物・伝統的建造物群 2、新指定の文化財 今号で紹介されて…

第1回 自己紹介

はじめまして綱渡鳥(つなわたりどり)と申します。

このハンドルネームは大学生の頃から使っていて愛着があります。

別に実名を出しても困ることはないのですが、ネット上での名乗りはこちらの方がしっくりくるので、こちらを使わせていただきます。

どうしても実名をお知りになりたければ連携しているFacebookをご参照ください。

1 立ち位置の説明中世考古学が専門の行政内研究者です。

言葉の意味を少

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第1472回 飢饉より恐ろしいものは

1、読書記録348

今回ご紹介するのはこちら。

藤木久志2018『飢餓と戦争の戦国を行く』

本書のキモは8年ほどかけて作られたという中世の飢餓をひきおこす災害に関するデータベース。

平成5年、1993年の冷夏による東日本の大凶作に衝撃を受けて調べ始めたといいます。

中世の記録や古文書に旱魃、長雨、疫病や飢饉に関わる記事を見出して年表風にしたもの。

7000項目余りのデータベースから11

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第1471回 2024/4/22〜5/4の歴史ニュース

1、満喫している感はある

GWも半ばが過ぎましたが、みなさまはいかがお過ごしでしょうか。

私は前半で地元サッカーチームの試合をスタジアムで観戦したり、庭でBBQ、石碑巡りツアーの下見をこなし

後半戦は息子とゴジラの映画をみたり

自宅の庭いじりからの日帰り温泉で汗を流す、など

休日をしっかり満喫しております。

さて、いつものようにヘッドラインの後ろのRはX(旧Twitter)でシェアした

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第1470号 いつかは漢詩を読めるようになりたい

1、禅寺で漢詩を学ぶ

本日は先日参加したこちらのご紹介。

宮城県松島町の瑞巌寺で老師による漢詩についてのご講話。

全4回のうち第1回目は4月14日に開催されました。

2、漢詩は人類の宝

初回ということもあり、まずは漢詩の歴史から。

老師は中国春秋時代にまとめられた『詩経』に始まり、8世紀初頭、唐の時代には完成した、と評していました。

日本最古の漢詩集『懐風藻』は天平勝宝三年(751)

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第1469号 2024/4/4〜21の歴史ニュース

第1469号 2024/4/4〜21の歴史ニュース

1、世界観に浸れる読書に勝る喜びはない

4月ももう20日。

ミヤギでも桜は散ってしまいましたね。

今日は予定していた調査が同行者の体調不良で中止になったり、図書館来てみたら休館していたりと、ままならないことが多い1日でしたね。

その代わり楽しみにしていたファンタジー小説の最新作を1日で読み終えてしまいました。

これもまあいい休日ですかね。

さて、いつものようにヘッドラインの後ろのRはX

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第1468号 いつか日本刀を買おうと決意した

1、日本刀は買えないけど

先日こちらにお邪魔してきました。

ちゃっかり私も写っていますが、

「刀剣商による日本刀基礎講座」ということで

きっちり座学を受けた後に刀の持ち方、鑑賞の仕方を学んできたので

少しだけシェアさせていただければと思います。

2、現状と課題、そして魅力

まずは日本刀の現状。

現在日本の法律、銃刀法で所有が認められる美術品としての刀は約230万本。

この数字を多

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第1467号 人の心性はこんなところに現れるもの

1、読書記録347

本日ご紹介するのはこちら

平野多恵2024『おみくじの歴史: 神仏のお告げはなぜ詩歌なのか 』吉川弘文館(歴史文化ライブラリー 583)

2、こんなおみくじがほしい

日本人でおみくじを一度も引いたことがない、という人はなかなかいないのではないでしょうか。

それだけ身近なものなのに、意外とその歴史は知られていません。

本来容易に決断できない時に、それを神仏にうかがうた

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第1466号 2024/3/23〜4/3の歴史ニュース

1、新年度になりました!

なんかぬるっと始まりましたが、いまいちペースが掴めずイライラしがちな4月です。

どうも歯車がうまく噛み合わないこと多いし。

こんな時には何をして気分転換しましょうね。

さて、いつものようにヘッドラインの後ろのRはX(旧Twitter)でシェアした時のリアクション数、コメントが付いたらCと表記しています。

ちなみに前回はこちら。

2、ニュースヘッドライン

①滋

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第1465号 郷土の偉人を調べるきっかけに

1、読書記録346

本日ご紹介するのはこちら。

https://bookmeter.com/books/21702804

古田義弘2023『仙台領に生きる 郷土の偉人傳Ⅴ』

住宅問題評論家から郷土史家へと変遷した稀有な経歴の持ち主の著者。

あとがきには米寿を迎えた、とありますからそのバイタリティに驚かされます。

しかもすでに郷土の偉人傳も5冊目ということ。

やはり継続することは素晴ら

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第1464号 「なんとなく」から「そうだったのか」に

1、読書記録345

本日ご紹介するのはこちら。

島村恭則2024『現代民俗学入門』創元ビジュアル教養+α

身近なところから、しかもかなり現代的な疑問をとっかかりに、

若手から中堅の研究者が解説してくれる、かなり手に取りやすい内容になっています。

なんと私の大学の時の同級生も一項目執筆していました。

2、身近な話題を掘り下げる

構成としては

1章 日常のなぜ

2章 四季のなぜ

3

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第1463号 2024/3/3〜22の歴史ニュース

1、まだまだ寒いけれども

もう3月ものこり10日あまり。

我が職場でも人事異動の発表があり、落ち着かない日々が続いています。

今年の大河ドラマを見ている影響か春の除目にヤキモキする朝廷の人々を連想してしまいます。

さて、いつものようにヘッドラインの後ろのRはX(旧Twitter)でシェアした時のリアクション数、コメントが付いたらCと表記しています。

ちなみに前回はこちら。

2、ニュース

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第1462回 平泉を巡る研究最前線

1、公開講座記録

昨日東北学院大学で開催された公開講座、「陸奥国 古代から中世への展開─研究の最前線」に参加してきたのでその感想を紹介します。

これは毎年東北学院大学文学部歴史学科が主催で、今回で25回目ということでした。

会場を見渡すと、学生から年配の方まで幅広い年代の方が受講されていましたね。

2、古代から中世へ

3人の先生が講演され、その演目は以下の通りです。

①「考古学からみた

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第1461回 まだまだブラックボックスの中に

1、読書記録344

今回ご紹介するのはこちら

出版社の編集者で、昭和の歴史探偵、半藤一利氏と親しく交流していたことがあとがきに記されています。

そんな著者が、太平洋戦争開戦のポイント・オブ・ノーリターン(帰還不能点)である昭和16年9月6日の御前会議に徹底的にこだわって調べまとめたのが本書です。

当時の新聞の縮刷版や、NHKアーカイブスの「日本ニュース」からの引用、

恵比寿にある防衛研究

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第1460回 社会現象を冷静に眺めるために

1、読書記録343

本日はこちら。

飯島渉2024『感染症の歴史学』岩波新書

2、記録し、歴史に位置付ける

新型コロナ感染症に翻弄された月日を地域としてどう記録していくのか。

常に考えていましたが、まずは我が国全体の状況を簡易にまとめた書物はないか、思っていたところにちょうどいい新書がありました。

本書は第1章を新型コロナのパンデミックについての記録とし、

2章以降でこれまでの感染症

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第1459回 2024/2/21〜3/2の歴史ニュース

1、賑わいはうれしいが

ついに3月。

昨日は珍しく仙台の街中まで仲間とお酒を飲みに行ったのですが

卒業シーズン、送別会の時期だからかどこの店も賑わっていましたね。

コロナ前もこうだったのか、と思い出すなどしました。

さて、いつものようにヘッドラインの後ろのRはX(旧Twitter)でシェアした時のリアクション数、コメントが付いたらCと表記しています。

ちなみに前回はこちら。

2、ニュ

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第1458回 知っていた方が人生楽しい。それだけで学ぶ理由になる

1、読書記録342

今回ご紹介するのはこちら。

月刊文化財 令和6年3月号 通巻726号
◆新指定の文化財ー建造物・伝統的建造物群

2、新指定の文化財

今号で紹介されているのは

令和5年11月24日に開催された文化審議会文化財分科会で重要文化財に指定すべき、と答申された、9件の建造物。6年1月19日付で官報告示され、正式に指定となります。

個別の所在自治体と名称は以下のとおり

埼玉県

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