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日本刀

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第1468号 いつか日本刀を買おうと決意した

1、日本刀は買えないけど

先日こちらにお邪魔してきました。

ちゃっかり私も写っていますが、

「刀剣商による日本刀基礎講座」ということで

きっちり座学を受けた後に刀の持ち方、鑑賞の仕方を学んできたので

少しだけシェアさせていただければと思います。

2、現状と課題、そして魅力

まずは日本刀の現状。

現在日本の法律、銃刀法で所有が認められる美術品としての刀は約230万本。

この数字を多

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第1201回 意外なところで名を残す

1、日本刀レビュー118今回はディアゴスティーニの『週刊日本刀』118号をご紹介します。

ちなみに前回はこちら。

2、僧侶も名刀を持つ時代巻頭の【日本刀ファイル】は景光・景政。

ここにきて初の合作刀の紹介です。

備前長船派の三代となる景光は鎌倉時代後期から南北朝時代中期、

作刀期間が40〜60年に及ぶことから2代もしくは3代で名乗っていたのではないかとされています。

一方で景政は来歴が

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第1196回 名刀が集まるところとは

1、日本刀レビュー117今回はディアゴスティーニの『週刊日本刀』117号をご紹介します。

ちなみに前回はこちら。

2、蛍と科学巻頭の【日本刀ファイル】は信房。

古備前派から古一文字派の過渡期に位置付けられている刀工で

鎌倉時代初期の御番鍛冶にも名を連ねています。

小牧長久手の戦いで活躍した酒井忠次に徳川家康が下賜し、

孫の忠勝が庄内藩主となってから代々受け継がれていたようです。

現在

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第1191回 現役の職人をランク付するという時代

1、日本刀レビュー116今回はディアゴスティーニの『週刊日本刀』116号をご紹介します。

ちなみに前回はこちら。

2、概要まとめ巻頭の【日本刀ファイル】は謙信景光。

その名の通り上杉謙信が愛用した短刀です。

景光は備前長船派の三代目。

掲載作は刀身彫の名手と呼ばれる景光らしく、

「秩父大菩薩」の文字と「大威徳明王」を表す梵字が彫られています。

武蔵国出身の大河原時基が播磨国に任官した

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第1186回 立志伝中の人とその刀の行方

1、日本刀レビュー115今回はディアゴスティーニの『週刊日本刀』115号をご紹介します。

ちなみに前回はこちら。

2、今回は九州の話題多め巻頭の【日本刀ファイル】は祐定。

末備前と呼ばれる往時の勢いを失った長船派のなかでも

技工集団として名を馳せ門流を江戸時代まで保ったのが祐定一門でした。

江戸時代まで含めるとゆうに100人を超える「祐定」がいたと推定されています。

掲載作は加藤清正が

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第1181回 芸術作品にはそれに見合った環境が

1、日本刀レビュー114今回はディアゴスティーニの『週刊日本刀』114号をご紹介します。
ちなみに前回はこちら。

2、親よりも子が高名になると巻頭の【日本刀ファイル】は親国貞。

子の井上真改が一時二代目国貞を名乗っていたために「親」とついているようです。

飫肥藩(現在の宮崎県日南市)のお抱え刀工で、真改の他にも国義や国隆、貞則など多くの弟子を育てます。

掲載作は国貞最晩年の作刀で、藩主に隠

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第1176回 後には何も残さない愛刀家

1、日本刀レビュー113

今回はディアゴスティーニの『週刊日本刀』113号をご紹介します。ちなみに前回はこちら。

2、肝心な時にいないやつ巻頭の【日本刀ファイル】は稲光。

鎌倉時代末期、相州伝草創期の刀工、光房の作。

光房は所伝も極めて少なく、作例もわずかなため、その来歴は不明な点が多いながらも

新藤五国光から行光、そして正宗へと受け継がれた相州伝の本流とは一線を隠した作風で、あるいは正

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第1170回 刀身の断面図ってなんだかゾワッとする

1、日本刀レビュー112今回はディアゴスティーニの『週刊日本刀』112号をご紹介します。

ちなみに前回はこちら。

2、信長という刀工はなんともインパクトありますね巻頭の【日本刀ファイル】は菊造腰刀。

大和国の当麻派の刀工の手による短刀です。

当麻派は興福寺一乗院の末寺である当麻寺に刀剣を納めていたとされ、

大和国と河内国を結ぶ当麻路沿いに開かれていた定期市との関連から

市場向けにも作品

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第1165回 文化財には「協会」がつきもの

1、日本刀レビュー111今回はディアゴスティーニの『週刊日本刀』111号をご紹介します。

ちなみに前回はこちら。

2、エピソードが薄くなってきた巻頭の【日本刀ファイル】は姫鶴一文字。

同じく備前の刀匠長船派と切磋琢磨した福岡一文字派の代表作です。

一文字派は鎌倉時代から南北朝時代に繁栄し、諸派に分かれていきますが皆「一」文字しか刻まないため刀匠個人を特定するのが非常に難しいようです。

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第1159回 名刀には個性の強い人物の伝説がつきもの

1、日本刀レビュー110今回はディアゴスティーニの『週刊日本刀』110号をご紹介します。

ちなみに前回はこちら。

2、名刀には個性の強い人物の伝説がつきもの巻頭の【日本刀ファイル】は國廣。

日向国(現在の宮崎県)出身の刀匠で、地元の戦国大名伊東氏に仕えていました。

伊東氏が島津氏との戦いに敗れると山伏鍛冶になった、と記されています。

山伏鍛冶とはあまり聞き慣れない言葉ですが、全国を放浪し

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第1157回 古名刀をどうやって再現するか

1、日本刀レビュー109今回はディアゴスティーニの『週刊日本刀』109号をご紹介します。

ちなみに前回はこちら。

2、四国と美濃巻頭の【日本刀ファイル】は一竿子忠綱。

前号の【日本刀ストーリー】紹介された大坂新刀の名工です。

津田助広が考案した濤瀾乱刃という「波頭がぶつかりあうような」躍動感をあふれる刃紋と

埋忠明寿など一流の彫刻師と並び称される刀身彫を特徴とします。

掲載作にも珠追龍

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第1153回 「利刃なる幅広刀」と称えられた刀

1、日本刀レビュー108今回はディアゴスティーニの『週刊日本刀』108号をご紹介します。

 ちなみに前回はこちら。

2、徳川家康も呆れた律儀者巻頭の【日本刀ファイル】は真光。

備前長船派の体制を築いた長光の子とも弟ともされる人物です。

掲載作はその代表作とされ、国宝に指定されています。

織田信長から長篠の戦いで功を立てた酒井忠次が拝領し、代々庄内藩に受け継がれ、現在では致道博物館に収蔵さ

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第1146回 有力大名のはざまでしたたかに生きる刀匠

第1146回 有力大名のはざまでしたたかに生きる刀匠

1、日本刀レビュー107今回はディアゴスティーニの『週刊日本刀』107号をご紹介します。

ちなみに前回はこちら。

2、本号の概要巻頭の【日本刀ファイル】は国吉。

後鳥羽上皇の御番鍛冶を勤めた粟田口六兄弟を第一世代、

則国を第二世代とすると

相州伝の祖となった新藤五国光や短刀の名手吉光らとともに第三世代に位置付けられます。

粟田口派の特徴は「梨地肌」と呼ばれ、「灰被茶碗」にも例えられた細

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第1143回 刀に対する態度も兄弟で違う

1、日本刀レビュー106今回はディアゴスティーニの『週刊日本刀』106号をご紹介します。

ちなみに前回はこちら。

2、刀匠はまだまだ巻頭の【日本刀ファイル】は光世。

平安時代末期に九州は筑後国三池に登場した典太光世を開祖とし、

南北朝時代まで続く流派として栄えたのが三池派です。

掲載作は加藤清正の菩提寺として建立された肥後国妙本寺に伝来したもの。

熊本藩主8代細川斉茲の差料だったと伝え

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