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記事一覧
【 短編小説 】 永遠のフライト。
学校からの帰り道、僕はいつもこの土手を通って帰る。
ここは広い景色を見ることが出来て気持ち良いし、河原にちょいちょい吉沢さんがいるから。
いつもなら吉沢さんはベンチに腰掛けて本を読んでいるはずだった。
今日はそのベンチが机になり、吉沢さんは熱心に紙飛行機を折っている。
僕は土手を降りて行った。
久しぶりに声を掛けてみる、、といっても一週間前にここで会ったけど。
「何してるの?」
3機
【 短編小説 】une grasse matinée ~ アロマの香りと共に ~
宜しかったら、音楽をかけながら、どうぞ。
雨が静かに降り続いている。
湿度を感じる、少し遅く起きた朝。
部屋を満たすアロマ。
深呼吸で香りを体の中に染み込ませる。
穏やかな時間。
息を細く吐き出す。
心地良い目覚め。
ベッドから起き出して、テーブルのペリエを口に含む。
体温と同じ炭酸は身体を優しく起こしてくれる。
スツールに腰掛けて、ペリエの炭酸をしばらく眺めた。
冷蔵庫から
【 短編小説 】 ホログラム裁判 #2000字のホラー
「・・・実証実験を重ねておりました『記憶ホログラム』が、99.99%の整合性と確認され、物的証拠として裁判で採用される運びとなりました。」
「・・・合わせて簡易裁判所にて刑期等が検討済となっている裁判において、先入観の無い子供達による裁判員制度も同時に施行される運びとなり・・・」
何でまた、こんなしょうもない事になってんのかねぇ。もう、執行猶予付きの判決が出てるじゃねぇかよ。同じことをガキ
【短編小説】 あの日泊った旅館にて。 #2000字のホラー
友達のAちゃんとF県のとある温泉地へ一泊旅行へ出掛けた時の話です。
ちょっと鄙びたところの方がゆっくり出来るよね。
Aちゃんとは大学からの同級生で、就職してからも時々会っては食事へ行ったり、遊びに行ったり。
久しぶりに旅行でも行こう!
ある日、私の部屋で宅飲みをしていたら話が盛り上がり、勢いでネット検索をしていて偶然見つけた旅館でした。
そのままの勢いで電話をしてみると、ちょうどキャンセ