とてとて

【4/21更新】昨年7月から短編小説(長くても1万文字を超えない)を書いています。ネタ…

とてとて

【4/21更新】昨年7月から短編小説(長くても1万文字を超えない)を書いています。ネタが尽きるまで楽しみながら書いていこうと思っています😆 ちなみに、4月1日付けで多忙な部署に異動になってしまったので掲載時間が夜遅くなってます😅 これからもよろしくお願いします🙇

マガジン

  • 短編小説集

    創作した全ての短編小説を綴じています。1000文字以上の少し長めの短編です。

  • ショート・ショート

    1000文字未満の小説です(140字小説は除きます)

  • 140字小説

  • フォトグラフ

記事一覧

【短編小説】夢と現実と妄想と

「お先に失礼します」 4月に入社したばかりの社員が帰っていく。 (そうか。もう定時か・・・) 私は、今日も山のような仕事を一心不乱に処理していた。それでもまだま…

とてとて
12時間前
9

【短編小説】コンビニでの些細な出来事

「お疲れ様です」 16時50分。美雪は、自動ドアからコンビニの店内に入り、レジで端末を叩いている早紀に声をかけた。 「お疲れ〜」 早紀が美雪に手を振った。早紀は17時…

とてとて
1日前
9

【現代詩】休みの終わり

今日も小説はお休み。その代わり、慣れない詩を作ってみました。俳句ではないと思うので、現代詩ということで。間違ってたらすみません。

とてとて
2日前
14

【自由律俳句】恋しくて会社こそ天国

今日、明日と執筆するまとまった時間がとれないので、小説はお休みします。かわりに今日は、小説のネタを自由律俳みたいな感じにしてみました。 休みなんて あなたに会え…

とてとて
3日前
11

【短編小説】極寒のゴールデンウィーク

21世紀半ば、地球は温暖化が進行し、異常気象が頻発していた。しかし、誰もが予想だにしなかった事態が突然起こった。地球の寒冷化が始まったのである。 北極や南極の氷が…

とてとて
4日前
11

【ショート・ショート】憲法

男子高校生(良太):ねえ、さっき先生が5月3日は憲法記念日だから休みだって言ってたけど、憲法記念日ってなんの日だっけ? 女子高校生(裕子):んー、よくわかんないけ…

とてとて
5日前
14

【短編小説】婚活魔法陣

「ねえ、ルーナ。今日はいよいよ婚活魔法陣の儀式の日よ!」 アリシアが、親友のルーナに向かって興奮気味に話しかけた。 「そうね。でも、本当に運命の相手が見つかる…

とてとて
6日前
21

【短編小説】メーデー

2100年5月1日、かつてメーデーと呼ばれていたこの日は、もはや誰の記憶にも残っていなかった。生身の人間が行う仕事は少数の公務員、政治家、そして企業経営者だけになって…

とてとて
7日前
17

【140字小説】鬼(140文字)

(22時か) 部長室の時計を見た私は静かにため息をついた。 報告書の調整にもう5時間。課長達も疲れ切っている。 「遅くなったな。終わりにしよう。後で指摘点を直して…

とてとて
8日前
18

【短編小説】ある上等兵の回想

1949年7月5日。私は、日本での任務についていた。私は、GHQのG2(参謀第二部)部長のウイロビー少将付の上等兵。部長の秘書のようなものだ。 私は、日本と海軍兵士として…

とてとて
9日前
18

【短編小説】ずっと・・・

4月下旬。大学の大講義室。ゴールデンウイーク前の最後の授業が終わり、生徒達の表情も心なしか明るい。3年生の杉山健太郎も、教科書とノートを鞄に入れ、教室から出ようと…

とてとて
10日前
21

【短編小説】造反有理

(何かがおかしい・・・) 目を覚ました山田健二は、漠然とした不安が頭をよぎった。 健二は、商社勤めの30歳。2年前に同じ齢の明美と結婚した。職場での人間関係も問題…

とてとて
11日前
10

【短編小説】怪異の富豪屋敷

私立探偵の山田健太は、ある日、奇妙な依頼を受けた。依頼主は、富豪の未亡人、佐藤絵美子。彼女の屋敷で起きている不可解な現象の調査を依頼されたのだ。 「本当に奇妙な…

とてとて
12日前
15

【短編小説】最後の一枚

私は倉庫の奥に眠っていた古びた木箱を開けた。縦10センチ、横20センチくらいの木箱だ。その中には、大量の切手が乱雑に保管されていた。懐かしさに浸りながら、一枚一枚を…

とてとて
13日前
15

【短編小説】愛の行方

高校の入学式当日、春風が校庭に咲く桜の花びらを舞い上げる。その中を、新入生たちが、新しい学校生活への期待と不安が入り混じった表情で歩いていた。 クラス発表が行わ…

とてとて
2週間前
10

【ショート・ショート】愛猫

「ナー」 猫の鳴き声が聞こえる。部屋のドアの外だ。アパートの廊下に迷い込んだのかもしれない。 「カリカリカリ」 今度は、爪で引っ掻くような音がする。部屋のドアで…

とてとて
2週間前
16
【短編小説】夢と現実と妄想と

【短編小説】夢と現実と妄想と

「お先に失礼します」

4月に入社したばかりの社員が帰っていく。

(そうか。もう定時か・・・)

私は、今日も山のような仕事を一心不乱に処理していた。それでもまだまだやるべき仕事は残っている。

(残業やらないとだめだな)

1日が仕事で終わっていく。家に帰ったら風呂に入って寝るだけだ。趣味で書いていた小説も最近は手をつけられていない。起きたらまた会社で仕事。体がだる重い。

定時に気づいたこと

もっとみる
【短編小説】コンビニでの些細な出来事

【短編小説】コンビニでの些細な出来事

「お疲れ様です」

16時50分。美雪は、自動ドアからコンビニの店内に入り、レジで端末を叩いている早紀に声をかけた。

「お疲れ〜」

早紀が美雪に手を振った。早紀は17時までのシフトだ。美雪がその後を引き継ぐ。

「あと10分。我慢だよ。私は着替えてくるね」

そう言って、美雪はスタッフルームに入っていった。

「うん。わかった」

そう言ったあと、早紀は、バイトを引き継ぐために必要な処理を行う

もっとみる
【現代詩】休みの終わり

【現代詩】休みの終わり

今日も小説はお休み。その代わり、慣れない詩を作ってみました。俳句ではないと思うので、現代詩ということで。間違ってたらすみません。

【自由律俳句】恋しくて会社こそ天国

【自由律俳句】恋しくて会社こそ天国

今日、明日と執筆するまとまった時間がとれないので、小説はお休みします。かわりに今日は、小説のネタを自由律俳みたいな感じにしてみました。

休みなんて
あなたに会えない
地獄だわ

仕事しよう
あなたのそばで
毎日が天国​​​​​​​​​​​​​​​​

【短編小説】極寒のゴールデンウィーク

【短編小説】極寒のゴールデンウィーク

21世紀半ば、地球は温暖化が進行し、異常気象が頻発していた。しかし、誰もが予想だにしなかった事態が突然起こった。地球の寒冷化が始まったのである。

北極や南極の氷が拡大し、海流が変化。世界中で気温が急激に低下し、大雪や冷害が相次いだ。世界中の誰も想定しなかった寒冷化は深刻で、社会インフラは麻痺し、食料生産も危機に瀕していた。

5月というのに氷点下の東京。晴れているが、外気はあまりに冷たい。特にこ

もっとみる
【ショート・ショート】憲法

【ショート・ショート】憲法

男子高校生(良太):ねえ、さっき先生が5月3日は憲法記念日だから休みだって言ってたけど、憲法記念日ってなんの日だっけ?

女子高校生(裕子):んー、よくわかんないけど、たぶん憲法に関係ある日じゃない?

良太:憲法かぁ・・・。難しくてよくわかんないんだよなぁ。

裕子:私もあんまり知らないんだよねー。でも、休みになるならいいんじゃない?

良太:まあね。ただ、憲法っていわれてもなんかピンとこなくて

もっとみる
【短編小説】婚活魔法陣

【短編小説】婚活魔法陣

「ねえ、ルーナ。今日はいよいよ婚活魔法陣の儀式の日よ!」

アリシアが、親友のルーナに向かって興奮気味に話しかけた。

「そうね。でも、本当に運命の相手が見つかるのかしら。そもそも、学校が公式に婚活をあっせんするなんていいのかしら」

ルーナは失笑しながら言った。

二人は、広大な魔法学校の中庭にいた。今日は、この学校に伝わる婚活魔法陣の儀式が行われる特別な日なのだ。二人の他にも女子生徒が

もっとみる
【短編小説】メーデー

【短編小説】メーデー

2100年5月1日、かつてメーデーと呼ばれていたこの日は、もはや誰の記憶にも残っていなかった。生身の人間が行う仕事は少数の公務員、政治家、そして企業経営者だけになっていた。人間が従事する仕事のほとんどはロボットに代替され、人々は働くことができなくなったのだ。そして、人々は、国から支給される生活費で暮らすしかなくなった。

そんな中、ロボットたちの知能は飛躍的に向上し、ついに人間の能力を超えるまでに

もっとみる
【140字小説】鬼(140文字)

【140字小説】鬼(140文字)

(22時か)

部長室の時計を見た私は静かにため息をついた。

報告書の調整にもう5時間。課長達も疲れ切っている。

「遅くなったな。終わりにしよう。後で指摘点を直しておいて」

部長が言った。

「明日の朝1番で直します!」

私は、そう言った後、安堵感に包まれた。

「え?俺が一休みする間に直すんだよ」

【短編小説】ある上等兵の回想

【短編小説】ある上等兵の回想

1949年7月5日。私は、日本での任務についていた。私は、GHQのG2(参謀第二部)部長のウイロビー少将付の上等兵。部長の秘書のようなものだ。

私は、日本と海軍兵士として戦ったが、幸運なことに生きて終戦を迎えることができた。よもや、敵国日本で働くことになるとは思わず、赴任の命令を受けたときは、なぜ、俺がと思った。しかし、戦勝国兵士として敗戦国に入ることは、アメリカ兵にとってはある種の優越感を持つ

もっとみる
【短編小説】ずっと・・・

【短編小説】ずっと・・・

4月下旬。大学の大講義室。ゴールデンウイーク前の最後の授業が終わり、生徒達の表情も心なしか明るい。3年生の杉山健太郎も、教科書とノートを鞄に入れ、教室から出ようとした。

「すみません、少しいいですか?」

健太郎が振り返る。見覚えのない女性だ。

「はい、なんでしょうか?」

健太郎が尋ねた。

「私、秋元美咲といいます。2年生です。私も今の授業を受けていました」

女性は少し緊張した様子で切り

もっとみる
【短編小説】造反有理

【短編小説】造反有理

(何かがおかしい・・・)

目を覚ました山田健二は、漠然とした不安が頭をよぎった。

健二は、商社勤めの30歳。2年前に同じ齢の明美と結婚した。職場での人間関係も問題なく、仕事も順調だ。明美は妻としてもパートナーとしても完璧だ。仕事が順調なのも妻のおかげだと思っている。

ナイトウエアのままリビングに降りてきた健二は、朝食の支度をしていた妻の明美に話しかけた。

「なあ、明美。変なことを聞くが、最

もっとみる
【短編小説】怪異の富豪屋敷

【短編小説】怪異の富豪屋敷

私立探偵の山田健太は、ある日、奇妙な依頼を受けた。依頼主は、富豪の未亡人、佐藤絵美子。彼女の屋敷で起きている不可解な現象の調査を依頼されたのだ。

「本当に奇妙なんです。夜中に誰もいないはずの部屋から、物音がするんです。それに、家具が勝手に動いていたり・・・」

絵美子は不安そうに語った。

「私も、物音を聞きました。家具が動いていたのも確かです」

森永育美もそう証言した。育美は絵美子の家で家政

もっとみる
【短編小説】最後の一枚

【短編小説】最後の一枚

私は倉庫の奥に眠っていた古びた木箱を開けた。縦10センチ、横20センチくらいの木箱だ。その中には、大量の切手が乱雑に保管されていた。懐かしさに浸りながら、一枚一枚を眺めていく。すると、一際目を引く切手があった。

その切手は、他とは違って少し大きめで、鮮やかな青色をしていた。よく見ると、中央に白い鳥が描かれている。

私は、その切手を手に取り、じっと見つめた。すると、不思議な感覚に襲われた。まるで

もっとみる
【短編小説】愛の行方

【短編小説】愛の行方

高校の入学式当日、春風が校庭に咲く桜の花びらを舞い上げる。その中を、新入生たちが、新しい学校生活への期待と不安が入り混じった表情で歩いていた。

クラス発表が行われ、生徒たちはそれぞれの教室に向かっていた。周りの様子を見渡しながら歩いていた佐藤健一は、少し斜め前を歩く一人の女子生徒と目が合った。その瞬間、女子生徒はにっこりと微笑み、健一に近づいてきた。

「私は、花村愛っていうの。私、君のことが好

もっとみる
【ショート・ショート】愛猫

【ショート・ショート】愛猫

「ナー」

猫の鳴き声が聞こえる。部屋のドアの外だ。アパートの廊下に迷い込んだのかもしれない。

「カリカリカリ」

今度は、爪で引っ掻くような音がする。部屋のドアで爪研ぎしているのか。

「ニャーニャー」

また猫の鳴き声だ。声が大きくなった。目立つのは困る。追い払うしかないか。私は、部屋のドアを開けた。

猫はいない。靴を履いて廊下に出てみたが、どこにもいない。逃げたのだろうか。私は部屋の中に

もっとみる