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【4/21更新】昨年7月から短編小説(長くても1万文字を超えない)を書いています。ネタ…

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【4/21更新】昨年7月から短編小説(長くても1万文字を超えない)を書いています。ネタが尽きるまで楽しみながら書いていこうと思っています😆 ちなみに、4月1日付けで多忙な部署に異動になってしまったので掲載時間が夜遅くなってます😅 これからもよろしくお願いします🙇

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  • 短編小説集

    創作した全ての短編小説を綴じています。1000文字以上の少し長めの短編です。

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最近の記事

【短編小説】怪異の富豪屋敷

私立探偵の山田健太は、ある日、奇妙な依頼を受けた。依頼主は、富豪の未亡人、佐藤絵美子。彼女の屋敷で起きている不可解な現象の調査を依頼されたのだ。 「本当に奇妙なんです。夜中に誰もいないはずの部屋から、物音がするんです。それに、家具が勝手に動いていたり・・・」 絵美子は不安そうに語った。 「私も、物音を聞きました。家具が動いていたのも確かです」 森永育美もそう証言した。育美は絵美子の家で家政婦として働いている30歳くらいの女性だ。 健太が調査を開始するとすぐ、絵美子の

    • 【短編小説】最後の一枚

      私は倉庫の奥に眠っていた古びた木箱を開けた。縦10センチ、横20センチくらいの木箱だ。その中には、大量の切手が乱雑に保管されていた。懐かしさに浸りながら、一枚一枚を眺めていく。すると、一際目を引く切手があった。 その切手は、他とは違って少し大きめで、鮮やかな青色をしていた。よく見ると、中央に白い鳥が描かれている。 私は、その切手を手に取り、じっと見つめた。すると、不思議な感覚に襲われた。まるで、切手が私に語りかけているかのように。 私は目を閉じ、切手の言葉に耳を傾けた。

      • 【短編小説】愛の行方

        高校の入学式当日、春風が校庭に咲く桜の花びらを舞い上げる。その中を、新入生たちが、新しい学校生活への期待と不安が入り混じった表情で歩いていた。 クラス発表が行われ、生徒たちはそれぞれの教室に向かっていた。周りの様子を見渡しながら歩いていた佐藤健一は、少し斜め前を歩く一人の女子生徒と目が合った。その瞬間、女子生徒はにっこりと微笑み、健一に近づいてきた。 「私は、花村愛っていうの。私、君のことが好きになったみたい。付き合ってくれない?」 まったく予想していなかった言葉に、健

        • 【ショート・ショート】愛猫

          「ナー」 猫の鳴き声が聞こえる。部屋のドアの外だ。アパートの廊下に迷い込んだのかもしれない。 「カリカリカリ」 今度は、爪で引っ掻くような音がする。部屋のドアで爪研ぎしているのか。 「ニャーニャー」 また猫の鳴き声だ。声が大きくなった。目立つのは困る。追い払うしかないか。私は、部屋のドアを開けた。 猫はいない。靴を履いて廊下に出てみたが、どこにもいない。逃げたのだろうか。私は部屋の中に戻った。 「ニャ」 ドアを閉めてすぐに、また猫の鳴き声が聞こえた。 「トン

        【短編小説】怪異の富豪屋敷

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        記事

          【ショート・ショート】静かな侵入者

          健司と理恵子の夫婦は、結婚5年目を迎え、まさに幸せな日々を送っていた。少なくとも周りは、人も羨む夫婦だと噂していた。夫婦とも一流会社に勤め、30代の夫婦が住むとは思えない豪邸に暮らしている。子供にも恵まれ、家族が一緒に出かける様子はテレビドラマを見ているようだった。 ある日、健司は自宅の書斎でテレワークをしていた。ヘッドセットを使わずに同僚女性とWeb会議をしていたため声が少し大きくなっていた。 理恵子が偶然書斎の前を通りかかると、少し開いていたドアから健司の声が聞こえて

          【ショート・ショート】静かな侵入者

          【短編小説】迷宮なしの名探偵

          ※ 今日の小説は、今絶賛上映中の例のアニメが元ネタなので、見たことない(読んだことない)人は恐ろしくつまらないと思います。すみません。 俺は、とある事情があって、高校生というのに小学生1年生くらいの容姿になってしまった。 しかし、俺は、その頭脳とあらゆることをこなすことができる器用さ(音痴であることは除く)で難なく小学一年生の生活に馴染んだ。そして、高校生というのに「探偵」と呼ばれていたこともあり、小学生とは思えない洞察力で、刑事事件を陰で解決している。解決と言っても、公

          【短編小説】迷宮なしの名探偵

          【短編小説】ツツジの咲く頃に

          木村健太は、30歳を過ぎた独身男性だ。平凡な日々を送る彼にとって、週末の土曜日は特別な日だった。 いつものように自分のアパートから図書館へ歩いていく。4月も第3週になった。もう、ツツジが咲き始める頃だ。健太は公園を通り抜けながら、ピンク色の花々を眺めていた。健太は、春の陽気を味わうようにゆっくりと歩いていった。 健太は中堅の製造会社で事務職として働き、総務の仕事をこなしている。仕事ぶりは申し分ないが、寡黙な性格のため、会社では友人がいない。 健太は両親を早くに亡くし、学

          【短編小説】ツツジの咲く頃に

          【短編小説】そして伝説へー第0章ー

          魔法使いのアレクサンダーは、リンデンブルク村を集団で襲ってくる怪物から村を守るため、村民から雇われた。優れた魔法の腕前を持つアレクサンダーの名声は、遠く離れた地にまで知れ渡っていた。 村の入り口に立つアレクサンダーの前に、うごめく怪物の大群が現れた。100体以上の怪物たちが、牙をむき出しにして唸り声を上げながら、一斉に襲いかかってきた。しかし、アレクサンダーは微動だにせず、静かに目を閉じて呪文を唱え始めた。 次の瞬間、アレクサンダーが両手を高く掲げると、炎の渦が怪物たちを

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          【短編小説】良心の呵責がない人

          春の雨が窓を叩く。オフィスビルが並ぶ通りは、調子外れのピアノが音を奏でているようだ。 俺は、傘もささず雨に濡れながら、会社から帰る道を歩いていた。頭の中では、先週のできごとが何度も何度もぐるぐると回っていた。 「私、もう、疲れたわ。別れましょう」 彼女の唇から、信じられない言葉が放たれた。 俺は彼女と結婚するつもりでいた。彼女もそのつもりだったと思っていた。しかし、突然、彼女から別れ話が投げかけられた。 「俺の何が悪いんだよ。言ってくれよ、なおせばいいんだろ」 俺

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          【短編小説】タクシードライバー

          昼下がりの駅前、タクシーが静かに停車した。30代半ばの男性が乗り込むと、「△△商事まで」と告げた。運転手は頷き、車は滑らかに発進した。 男性の名前は、藤島幸一。彼は午前中の商談を終え、別の打合せに向かっていた。車内の芳香剤の香りがきつく、幸一は一瞬顔をしかめた。 「お客さん、この辺りにはよく来られるんですか?」 運転手の問いかけに、幸一は現実に引き戻された。運転手はミラー越しに後部座席を見つめている。運転手は50過ぎのように見える。 「一か月に数回くるかな」 「そう

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          【短編小説】If my wishes can be true..

          新緑の美しい3月末、入社2年目の鈴木秀樹は、年度末の仕事に追われる日々を送っていた。内示の日、今の係長が異動となり、新しい係長が着任すると聞かされた。新しい係長は、8歳年上の独身女性、佐藤麻衣だった。 佐藤係長が部署に現れた瞬間、秀樹の心は止まったかのように感じた。凛とした佇まいに、柔らかな笑顔。知性と優しさを兼ね備えた美しい瞳。秀樹は心を奪われてしまった。。 「初めまして、佐藤麻衣と申します。今日から皆さんの係長を務めさせていただきます。どうぞよろしくお願いします」

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          【短編小説】新卒の絶望

          「おはようございます!」 私は精一杯の笑顔で同期の佐藤さんに挨拶した。 「おはよう!」 佐藤さんは元気よく返してくれた。 私は大手IT企業に新卒として入社し、早くも2週間が経過した。しかし、この2週間は、これまでの人生で経験したことのないものだった。 ※ 「昨日の報告書、課長に褒められたよ!」 隣の席の田中さんが嬉しそうに話している。 (私なんて、まだできてもないよ・・・) 私は心の中でつぶやいた。 この会社の労働環境の良さには驚かされる。定時になれば、総

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          【短編小説】日曜日の終わりに

          日曜日の午後、美咲は家でぼんやりとしていた。ソファに横になり、窓の外を見る。少し暗くなってきた空に、夕焼けの名残りがかすかに残っている。 ドアの鍵が開く音が聞こえ、美咲は我に返る。健太が合鍵を使って入ってきたのだ。 「よお」 健太が顔を見せた。 「お疲れ様。休日出勤だったんでしょ?早かったね」 美咲が振り向くと、健太が疲れた表情で立っていた。 「まあね。15時に終わったから、まだよかったよ。しかし、働き方改革の時代に日曜出勤だよ。まったく。疲れたよ。昼も食べてな

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          【短編小説】恋愛相談

          「保奈美・・・」 玲次はため息をついた。 保奈美は、玲次と同じ大学の同級生だ。そして、同じテニスサークルに参加している。 玲次は、大学1年の4月、テニスサークルで保奈美と知り合ったときから、ずっと彼女のことを密かに想い続けた。保奈美とは気軽に話せる関係で、気が合うことが多かった。彼女の明るい性格と容姿に、玲次は強く惹かれていた。 そして、2年生になった4月。ちょうど先週の土曜日。玲次は、サークルの練習からの帰り道、保奈美に勇気を出して告白したが、振られてしまった。

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          【140字小説】ステキなクラス替え(140文字)

          「孟!また、同じクラスじゃん」 「あー。また美波が一緒かぁ。迷惑だな」 「それはこっちのセリフよ」 美波は頬を膨らませた。 「今度は違うクラスかと思ってたんだけどな。高2まで同じだからな」 「いつもあんたが同じクラスにいるのって迷惑」 「なんでだよ」 「だって、孟がいると胸がドキドキするから」

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          【140字小説】届かぬ想い(140文字)

          「もう、終わりにしてくれ」 彼の口から放たれた言葉が、私の胸に着弾した。 胸の痛みで息ができなくなった。 「どうして?」 「わかっているだろ」 「私はこんなに好きなのに!他の女がいるのね?」 私は泣きながら叫んだ。 「違う」 「じゃあ何よ!?」 「僕は君のこと知らないんだ!付きまとわないでくれ!」

          【140字小説】届かぬ想い(140文字)